- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633615
感想・レビュー・書評
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表紙で選びました。だから初めての作家さんで、しかもエッセイからって。
出だしから衝撃告白。そうなのか~と驚き、真正直にいろんな事を書かれていて、でもそれがとても読みやすくなかなか面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中山さんの小説との向かい合い方。旅と小説の関係。下戸の苦しみ。猫への愛、というよりも敬愛、憧れ、近親感。住処と小説の神様の関係、または音楽との。何よりもどんなものよりも書くことを必要としている姿。山本周五郎賞受賞から『ケッヘル』を書き上げたすぐあとくらいを中心としたエッセイ。
作品ごとに彼女の恋の始まりと終わりが結びついていることが良く分かるエッセイでした。 -
各所に既視感あるなぁと思うと、案の定、作品の裏側が如実にわかるエッセイ。読んでない作品についてはネタバレになるかも。と言いつつその作品も読むだろうけど。。。
しかし斯くも身を削る職業なのね、小説家とは。 -
今、京都にいらっしゃるんですね!同じ関西だから、遭遇することもあるかも とありもしなさそうな閃きに、酔い痴れそうになった。
作品たちを今一度読み返してみようかと思った。 -
中山可穂さんのエッセイを読んだのは初めてでした。そういえば雑誌とかで遭遇した記憶もなかったような。
ひりひりするような小説を書く人だなという印象があります。「恋愛小説」と一言でくくれない、切迫した感じが肌に痛くて、次々に読破というわけにもいかず、読まない(読めない…じゃなくて)作品を何冊も残している作家さんです。
次は「サイゴン・タンゴ・カフェ」を読もう。
ピアソラを聞いて。
それから、「いけずに磨きのかかった意地悪ばあさん」と化した中山さんの「恋愛小説」も愉しみにしておこう。
〇〇大学の講師さんはその後、きちんと謝罪をしたのかな?
してて欲しいよね、中山さんのためにも、その講師さんのためにも、その講師さんがこれから教える学生さんたちのためにも。 -
小説を書くことと、焼け付くような恋愛、旅や音楽との関わりが、ある種の緊迫感を持って語られていた。
この方の小説を読んだことはなかったけれども、読んでみたいと思わせる、濃厚なエッセイだった。 -
著者の恋愛が赤裸々に描かれていて、驚いた。
驚かされたが、魅力的な方だなと実感。
他の作品も読んでみたい。 -
著者初のエッセイ集
山本周五郎賞受賞にあたり、ブエノスアイレスへの取材旅、京都引越し珍道中、大学への個人情報流出への怒りなど -
私の好きな中山可穂のエッセイ。
帯タイトルは、
「孤高の作家は日々、
爪を研ぎ、肉球をみがく。」
うーん、やっぱり綺麗な日本語がたくさん。
テキストで繋がる関係。
読者と小説家。
それが本来あるべき姿で、まともな距離感なんだろうなあ。
作者というより、作品が私の心のともだちになってくれる。
正しい読書のかたち。
きっと気難しくて繊細な方。
そして感情を表現する言葉選びがとても素敵な方。
物静かに見えて、実はすごく激情家な方なんだろうなあ。
エッセイってそうやって作者を近くに感じる事が出来る
特別なジャンルだと思います。
時間が多少前後、
また作者が書いているように少し前のものになっていますが
小説を書くことの苦労や幸せ、
どうやって小説に入っていくか、
ファンにはたまらない一冊です。
「無意識の隙間からこぼれ出る言葉を刻みつけることが
わたしの仕事だから、
できるだけしんとした空間が望ましいのだ。」
「あの無限の音のひろがり、宇宙のひろがり、
自分自身が拡大していくような陶酔感。」
いくつかのフレーズが私の中に残っていて
書きとめている中で一番残っている言葉たちが、
「あのときのK氏の声と、
その瞬間わたしの胸の中にひろがった弾けるような熱い波を、
わたしは一生忘れないだろう。」
この文章を読んだとき、
自分が体験しているわけではないのに
飛び跳ねたいような、胸がきゅーっとなるような、走りたくなるような、
何かの予感に満ちたものが迫ってきました。
それが熱い波なんですね。
そう、その感覚!
私も昔どこかで味わっているようでいて
その記憶はひどく曖昧だから
いつか私もと夢を見る。
憧れてやまない一文でした。 -
山本周五郎賞をとったとき、受賞の言葉を雑誌で読んで、それからこの人の小説を読み始めた経緯がある。それとは違うけど、審査員でいちばん貶していたY先生の手にキスしたかったとか、いろいろとおかしくて愛おしい。美しいエッセイ集です(個人的に、Y先生とこの人に小説談義をしてほしい。すごく面白いと思う)。
感性が鋭くて、内側にいっぱい詰まっているものがあるのでしょう。
気難しいけど、正直な人だ。自分をごまかして生きている普通の人間には、手が届きません。