ルナティック ガーデン

著者 :
  • 祥伝社
3.18
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本棚登録 : 68
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633622

作品紹介・あらすじ

不気味な警告、少女誘拐、幽霊騒動、自殺未遂…若き女性園芸家が、立ちふさがる事件と謎に挑む、SFミステリーの傑作誕生。

感想・レビュー・書評

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  • 月に住み始めた曰く付きの老人達の心を開いていく主人公
    なかなか面白いシチュエーションで忖度なく進めていくタッチは面白かった

  • 十五夜読書にて。

    70年後の架空未来世界。
    地球を捨てた老人達の住む月の豪邸に庭を作るという仕事の依頼を受けて、月へと降り立った園芸家のエチカ視点で紡がれる物語。
    些か突飛なお話かと思っていましたが、これがなかなか。
    SFでもありミステリでもあり。
    心に重石を抱える老人達の思いや絡まった糸を解きほぐしていくあたりはヒューマンドラマの様でもあり。
    月の描写が丁寧だったのですんなりと物語に入り込めました。
    環境や時が移っても基本的に人は然程変わらないのでしょうね。
    ファンタジックな結末は個人的には良かったです。
    エチカが本来描いた形も見てみたかった気もしますね。

  • 太田忠司さんのSFミステリ。毎回ながら、手に取った本がSFっだったとわかると、ちょっと気負ってしまう。もうそろそろSFに慣れてもいいとは思ってるんだけど…。

    あらすじ:
    著名な造園家が若き弟子・エチカに頼んだのは、ある場所へ庭をつくることだった。その場所とは――なんと月だった。
    宇宙エレベータに乗り、エチカは依頼人・有名音楽家エターナル・ダッドことT・タッドの住居傍観者の住居(オンルッカー・ハウス)へ向かう。エターナル・タッドをはじめ、そこに暮らす人々は全員腹に一物も二物もありそうな曲者ぞろいで、戸惑う。そんなところに事件が起きて――。
    世界環境機構からの妨害も入り、エチカの庭造りは難航する。加えて奇妙な夢と「キテハイケナイ」という声。その正体はいったい――。

    作中その名称では登場しなかったけれど、宇宙エレベーターか、と驚いた驚いた。SFは苦手だけれど、古くからSFの王道である宇宙エレベーターによって、盛り上がってしまった。きっとこの部分に共感してくださる方はいないと思うけれど(苦笑)。
    さて、内容内容。
    太田さんだからSFだろうと読みやすさはさすが。ただ、うううーん。なんだか中途半端じゃないか。それまでの展開とあの夢とその正体とその後の展開の結びつきが弱くないだろうか。
    一人一人が遭遇する事件を解決していく展開は、エチカと他の居住者との交流を描くうえで効果がある。序盤からにおわせていた声と謎の正体もまあいいけれど、あれがああなって(ネタバレになるからってこの表現はひどいぞ<申し訳ない)それをタッドがああ扱うっていうのが、ちと納得できないぞ。
    そしてエチカの選択。ええええ、あんなに必死だったのになんで、と。困難や謎、恐怖心に立ち向かっていくことで彼女の成長が描かれるものだとそれまでの展開から勝手ながら思っていたから、肩透かしをくらった。
    なんていうかさ、「愛があればすべてよし」じゃないけれど、強引な収集のつけ方な気がして、どうにも首をひねってしまった。
    うーん。中途半端な気がして、残念。

  • おもしろかった。
    太田さんのはどこか人にやさしい感じがするお話が多いので好き。

    月に庭をつくるためにやってきたエチカ。
    くる途中にとある誘拐を防ぐのだが、なるほど、そーゆー理由があったのか、と納得。
    迷惑ではあるけれど悪気はなかっとゆーことか。
    月からのメッセージ。
    ではなくかつて月にやってきたものからのメッセージ。
    正直外観は受け付けないが(足長的生き物は苦手)ストーリーとしてはありだと思う。

    最初の住人が倒れてたとこでは、てっきり殺人事件かと。
    閉鎖された空間での、ありえない殺人。犯人はだれなのか?
    観察眼のするどい庭師の活躍~!みたいな話なのかと思いきや、
    傷を負って、かたくなになっていた月の住人の心をひとりひとり
    解きほぐしてゆく、とゆう、とってもあったかいヒューマンなお話でした。
    まあ、みなさん頑なっぽいわりにあっさりほだされてましたが、
    エチカの役回りがいわゆる名探偵的で、すっきり読めました。

    最後のルナティックガーデン、は画として綺麗。
    意外と害のないもので安心しました。
    が、エチカが楊さんに魅かれるたのは結局なぜだったのかちょっと疑問。
    いや、愛に理由はないのだろうが・・・・・。
    まあ、最初に苦手だ、と思った時点が始まりだっとも。


    作者紹介のとこで霞田さんの本の紹介が・・・。
    天才ライバルなんていたっけ?
    つーかそれ、全部読んでないかも・・・と。
    うう、読みたい~

  • 個人的には好きなかんじのお話しでしたが、エチカと楊さんのくだりは蛇足だったかなと思うので☆3です。

  • 面白かったが、最後は尻つぼみな感じ。もっとドタバタしていたほうがいい。
    冒頭に宇宙エレベーターが出てきて、ステーションの名前がACクラーク駅なのは、SFファンにはうれしい。
    外国人が「月は無慈悲な夜の女王」という言うシーンがあるが、ここは原題とおり Harsh Mistress 厳格な女教師 と言ってほしい。

  • 月に庭園を作るために頑張ります。
    SFというかミステリのような感じ。

  • ●あらすじ●
    若き造園家・エチカこと山際絵智花は月に向かった。
    大富豪タッド・モリスが、地球を捨てて終の住処に選んだのは月面だった。傍観者の家(オンルッカー・ハウス)と名付けられた邸宅には、音楽家、小説家、投資家、大女優ら、曰くありげな老人たちが暮らしていた。そして人類最初の“月の庭”を作るべく、地球からエチカが呼ばれたのだ。
     軌道エレベーターで任地に向かう途中駅での少女誘拐に始まり、オンルッカー・ハウスでも幽霊騒ぎ、老小説家の身投げ未遂など不可解な事件が続く。さらに、苛酷な環境に立ち向かって造園を進めるエチカには、“キテハイケナイ”と告げる悪夢や、世界環境機関WEOの妨害、隕石騒動など、さまざまトラブルが降りかかった。
     やがて、“月の声”が聞こえるという“シェラの崖”を訪れた
    エチカは信じられないものを目にする。

  • 近未来が舞台のSFミステリー。庭園を造るために変人揃いの月面邸宅へやってきた主人公が、少しずつ住民たちの抱えた問題や月に隠された秘密に近づいていく、というお話。素材も味付けも大変好みでした。そしてこれもある意味ツンデレと外来者の組み合わせ……。

  • とても好きな雰囲気でした。
    なので是非続編を書いて欲しい!

  • 近未来、月に庭園を造るために派遣された女性の話。主人公が探偵役となって登場人物達の過去の謎を解いて心を開いていく展開や、月面での生活の設定は面白かったです。謎が日常の謎が多かったのも好みです。ただラストに至るまでちゃんと伏線が張られているのは分かるんですが、別の結末が見たかったなと思ってしまったのが残念。

  • 依頼されたのは『月に庭を造ってほしい』とのこと。軌道エレベーターや月面基地を経由してたどり着いたその場所。主人公のエチカは主が望む庭園を造ろうと奔走する。物資的な問題や、そこに住む一癖も二癖もある住人達との関わり。また、さまざまな奇怪な現象に遭遇してしまう。求められる『庭』を作ることは出来るのか。__月に植物を植えて庭園を造ろうとする壮大な考えや、設定を70年後の未来に想定してあり、良い意味で現実味を帯びた雰囲気を行間に読み取ることができた。
    ミステリー色は薄いが、ちょっと先の近未来を味あわせてくれる。
    377pあるが長さはちっとも感じられない。

  • なんか時代は全然違うけど、「さよならの殺人」を思いだしました。
    ノスタルジーがいい感じにきいていますね。

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著者プロフィール

1959年名古屋市生まれ。名古屋工業大学電気工学科卒業。81年「星新一ショート・ショートコンテスト」で「帰郷」が優秀作に選ばれる。その後、会社勤めをしながら「ショートショートランド」「IN★POCKET」にショートショートを掲載。1990年、長編ミステリー『僕の殺人』を上梓してデビュー。2022年『麻倉玲一は信頼できない語り手』が徳間文庫大賞2022に選ばれる。

「2022年 『喪を明ける』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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