蜩ノ記

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633738

感想・レビュー・書評

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  • 些細なきっかけから城内で刃傷沙汰を引き起こしてしまった庄三郎。命を救ってやる代わりに、と命じられたのは三年後に切腹が迫っている戸田秋谷の見張りだった…

    村人から厚い信頼を寄せられる郡奉行であり、また妻子に恵まれながら、女のために事を起こし、限られた命を生きる戸田。彼の人柄に触れるうち庄三郎はかの事件に疑問を抱き…藩主の家譜編纂という戸田の仕事を手伝いながらその真相に近づいていく…

    武士としての戸田の生き方も潔いが、その子の郁太郎、またその友 源吉の人格が素晴らしい。

    源吉のエピソードはきっと「ベロ出しチョンマ」から来てますね。10歳の子供とは思えない立派さ。斎藤隆介さんの絵本でも悲しかったけど…

    マリモさんが書かれていたように、私も「鯛ノ記」と覚えていました…(笑)蜩と付けた意味が分かれば、これほどぴたりと合うタイトルはないです。

    来年公開の映画も楽しみです。

    • マリモさん
      こんにちは♪
      あはは、タイノキ仲間がいてうれしいです(笑)
      意味も読みもわかった現在でも、ぱっと浮かぶ題名はタイノキだったり。
      来年映画公開...
      こんにちは♪
      あはは、タイノキ仲間がいてうれしいです(笑)
      意味も読みもわかった現在でも、ぱっと浮かぶ題名はタイノキだったり。
      来年映画公開なんですね!結末知っていてなお、助かってほしいと願ってしまいそうです。
      2013/07/24
    • hetarebooksさん
      マリモさん

      ありがとうございます♪ひぐらし、ってなかなか漢字で目にする機会ないですもんね(笑)
      そうそう、主演は岡田准一さんらしいですよ。...
      マリモさん

      ありがとうございます♪ひぐらし、ってなかなか漢字で目にする機会ないですもんね(笑)
      そうそう、主演は岡田准一さんらしいですよ。戸田さんはどなたが演じるのかな?
      2013/07/29
  • 「遠望すれば春霞の山々に桜の花びらが舞い、近くは谷川のせせらぎ、カワセミの飛翔、清浄な山間の風景に礫をもつ少年が姿を現す」美しい冒頭の描写から引き込まれる。藩内の権力争い、7年前の事件解明という推理仕立ての展開で進んでいく。本筋から少し離れたところで起こる、まさか、という事件。哀しさと切なさで胸を打たれる。漢詩が縦横に用いられ、情緒的で美しく作品に独特の香りを与えている。「カナカナカナ」と減衰していく蜩の鳴声が、人の命や世のはかなさというのか、寂寥が心に染み、源吉の笑った顔がいつまでも残る。

  • きのう直木賞が発表されましたが(朝井リョウくんすごいなー)、ちょうど1年前の受賞作です。

    家譜編纂をして切腹までの余命を過ごす秋谷と、彼を見張り死を見届けるよう命じられた庄三郎の交流を軸に、村の人たち、藩のお役人たちをめぐるミステリー要素もあって、淡々と赴きある文章ながら飽きずにおもしろく読めました。
    そういう時代だったといえばそれまでなのかもしれないけど、家族それぞれの生き方が潔くかっこいい。

    松吟尼や織江のラストのとこ切ない。
    武士の生き様やら男意気を描いていても、も少し女性の思いも書いて欲しかったな。

  • よい。
    藤沢周平ぽい。

    これほど清廉な死を描いた小説もめずらしい。
    「生きることは死ぬことと見つけたり」でなく、「死ぬこととは生きることと見つけたり」という感じ。

  • 源吉と秋谷が人として出来すぎている。そんな2人のさいご。報われないけど、報われた気がした一冊。

  •  殿様の側室との不義が疑われて切腹を命じられている武士を中心にした物語。そこへ見張り役に藩から派遣された武士が、なぜ不義が疑われるような羽目になったのかを調べるうちに、藩の闇の歴史に突き当たっていくというストーリー。やや藩の歴史が複雑すぎて途中でこんがらがってくるところは少し残念だったが、でも素敵な登場人物たちと素敵な雰囲気の物語だった。

  • 武士として、人として真っ当に生きることの清々しさ。

  • この読後感の良さはなんだろう? 命の期限を決められた秋谷の強くまっすぐな生き方がベースだけれども、松吟尼への潔くちょっと切ない想いの演出もイイ感じ。”悪代官"的キャラとの対決構造もわかりやすくて"後半一気"な面白さでした。

    • nori-kokkosanさん
      これ、よかったよね~
      ぜひ「狐笛のかなた」も読んでみてね。オススメです(=^0^=)/
      これ、よかったよね~
      ぜひ「狐笛のかなた」も読んでみてね。オススメです(=^0^=)/
      2016/09/16
  • 10月5日に映画を見る 主役の役所広司が好演 146回直木賞受賞作品
    家族のうえには重くのしかかる暗雲があるはずだ。だが誰もそのことに触れず、懸命に普段と変わらぬ会話をしている 正当な年貢などというものはない。百姓にしてみれば年貢などない方がよいのだ。だが武士は年貢がなければ食ってはいけぬ。おたがい生きるために食い扶持を取り合うのであるからして、いがみ合うのも無理はない この世に生を受けるひとは数えきれぬほどおりますが、すべてのひとが縁によって結ばれているわけではございませぬ。縁で結ばれるとは、生きて行く上で支えになるということかと思います 心がけの良きものはより良き道を、悪しきものはより悪しき道をたどるように思える

  • 葉室さん初読み。
    年をまたいで読んだからか私の読解力のなさか?^^;
    始めは数々の人物がごちゃごちゃになってかなり中盤まで話に入っていけなかった。
    でもオススメ下さった方々の言葉を信じて辛抱強く読んでたら・・・
    知らないうちに鼻の奥がツーンと(笑)
    庄三郎も秋谷も織江も郁太郎も薫も源吉も皆あまりにも真摯に生きていてそれだからこそ切なく哀しい面があるのだが
    読後感が清々しく自分もこうありたいと思った。
    特に源吉には恐れ入った。源吉の妹になりたかったな。
    あとクレームじゃないけど、羽根藩の方言はちょっと??な部分が。

著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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