ぼくらは夜にしか会わなかった

著者 :
  • 祥伝社
2.95
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本棚登録 : 598
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396633745

作品紹介・あらすじ

憶えていてね、と彼女は言った。忘れないで。-美しく純粋な魂が奏でる、せつない祈りに満ちた純愛小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 凄く凄く市川拓司。今までの作品とリンクしている感じがする。記憶が持たない小説家は『いま、会いにいきます』の巧だし、眠り続けたまま目が覚めない病気は『その時は彼によろしく』の花梨と同じ病。それらを市川拓司独特のファンタジー要素でくるんでできた作品がこれって感じ。現実感がありそうでないそんな感じの短編集。2012/184

  • 面白かったです。
    優しくて、寂しい恋の短編集でした。
    「花の呟き」「いまひとたび、あの微笑みに」が好きでした。
    「いまひとたび、あの微笑みに」はとても好きな空気でした。発症したら、数年で眠りに就く病にかかった子供たちの療養所というかホスピスみたいな場所が舞台のお話。柔らかな光に包まれた、セピア色のお話でした。感受性が強すぎることが一因らしいのですが、極度の不眠症でもある子供たちはいつか眠りに就くことが救いのようになっているのが切ないです。実は、それまですごく好きだったのに最後の一文が…と思うのですが、素敵な世界でした。
    上手く世間に順応して生きられない人たちが、優しく描かれていました。

    「今日もいい日だった。きみはどう?疲れてない?いやな思いはしてない?大丈夫。きみは幸せになれる。そのために、ぼくは今夜も祈るよ。
    おやすみ。いい夢をーーー」

  • やはりこの本にも純粋な愛があった。
    透き通るほど綺麗で、濁った自分を包み込んでくれる。
    欠けたところがあるからこそ、相手を大切にできるんだと気づいた。

  • 初めて読んだ市川拓司の作品でした。独特の雰囲気が漂う文章で、外の世界から切り離された、自ら切り離した自分たちの世界に閉じこもる人々を中心に物語が進んでいく。表題の「ぼくらは夜にしか合わなかった」で出てくる二人の世界感も独特だが、二人にとって安心できる唯一の世界であったのだろう。何度も出てくる大きな赤道儀のある天文台、近くの飛行場など、物語は東京西部?「今会いに行きます」「こんなにも優しい、世界の終わり方」は図書館で予約待ちです。

  • 同じモチーフの話が切り口を変えていくつか。
    まるでファンタジーの世界のような、透明な世界。
    こんなふうに心だけで生きられたらいいのにと思う。

  • 読んでいると他の拓司さんの作品を思い出す。
    設定が似ていたり、登場人物の名前が同じだったり、
    舞台になっている場所が同じところだったりして、
    拓司さんの作品をたくさん読んでいる人はそういう部分でも楽しめると思う。

    6作収録されている中で、『夜の燕』という作品が好きだ。
    たった一度の恋、別離、儚さ。
    拓司さんらしいと思ったし、
    こういう拓司作品を読みたかったんだよと思った。

  • 市川拓司、デビュー作から読んでて好きだったんだけど・・・・
    うーん、どうもだんだん心に響かなくなってきたのは歳のせいなのか、それとも。

    なんかね、心が弱い人の言い訳小説みたいに思えてしまう、とは言いすぎだろうか。

    純粋なこと、弱いことをあまりにも正当化しすぎてるようでね、少し違和感だわ。

  • ちょっと全体的に話が似通っていた気がします。

    誰もが幼い時に感じる気持ち。
    分かるようで分からない。分かってないつもりで分かっている。

    読み終わった後の余韻が好きです。

  • 過剰であったりあるいは欠乏していたり、どこかひとと違った異質さを抱え、それゆえに傷つきやすい人たちのラブストーリーだ。
    感傷的で、綺麗ではあるけれど実態をともなわない描写が続き、どうにも辟易してしまった。
    異質である主人公たち、は別にいいのだけれど、「ぼくらは人と違うから」と異質である自分を全肯定して自分の世界を閉じていくようなその被害者ぶった選民意識のようなものがどうにも鼻につく。
    もともと感傷的な作風な作家だとは思っていたけれど、市川拓司ってこんなだったかなぁと最近の作風を読んでいると思う。
    日々の生活で自分がこういった透明なものを以前のように愛せないようになってしまっただけかもしれないけれど。
    だって世の中の全部の人がこの短編集の登場人物のようだったら世界は機能しない。誰かが機能させ生産している世界に乗っかりながら「自分は傷つきやすいから」と逃げるのはずるくないか?

  • う~ん。何か同じような作風で、段々と良さが感じられなくなってきたのは私だけ?
    まあいいんじゃないですかって感じです。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。獨協大学卒業。'97年からインターネット上で小説を発表。2002年1月、「Separation」で出版デビュー、いきなり同作がTVドラマ化される。次作「いま、会いにゆきます」は映画化され、100万部を超えるベストセラーに。他の著書に「恋愛寫眞――もうひとつの物語」「そのときは彼によろしく」「弘海――息子が海に還る朝」「世界中が雨だったら」がある。

「2009年 『きみはぼくの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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