潮鳴り

著者 :
  • 祥伝社
3.82
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本棚登録 : 370
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634223

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説だからこそ
    伝わりやすい
    感情がある

    時代小説だからこそ
    伝えやすい
    人が人として
    あるべき姿がある

    時代小説だからこそ
    伝えたい
    この世のあるべき姿
    がある

    葉室麟さん
    やはり いいなぁ

  • 「落ちた花は二度と咲かぬ」と言われる中で、落ちた花を咲かせる。想いを寄せる人の中、同じ苦悶を持つ人の中など、色々なところで花を咲かせる。伊吹櫂蔵とお芳とが最後に添い遂げることができなかったことが残念。

  • 泣けた。かなり泣けた。っていうかラストのどんでん返しのこのこのこのこの妙見院様と周りの側女たちの静かなる仕返しの怖いこと怖いこと。

    スッキリ。

    時代小説は読みづらいし時代背景わからないと面白くないもの多いんだけど、時代小説だからこそ楽しすぎるこの上下関係のどうしようもない序列を巧妙に使っていくやりとり。

    そこで絡んでくるのが、女の立ち位置ねぇ。笑笑

    これが微妙にうまいこと頭がどうしても上がらない妙見院様のような立場は下だけど、この人の言うこと聞かないわけには行かないという女の立場がうまーくうまーいこと絡んでくんのがたまらん。

    とにかく泣けたし、スッキリする。そんでもって、葉室麟の本で一番面白かった。時代版、半沢直樹って感じです。

  • 久々の著者作。うーん、ひたすら猪突猛進!?、熱さのみ一直線!、、の読後感。…こういう作品の面白さなんだろうけど、静粛な奥深さ・重み不足の感はあり、、

  • 5月-7。4.0点。
    羽根藩シリーズ第二弾。蜩ノ記との関連は無い。
    以前の失敗で、漁師小屋暮らしをして飲んだくれる主人公。
    腹違いの弟が、藩の借金問題で切腹。
    事情を探ると許せない訳が。
    弟と同じ役職に就いた主人公が、奮闘する。

    面白い。涙腺も緩んだ小説。葉室作品をもっと読もう。

  • 剣の達人であることが前提~伊吹櫂蔵は襤褸蔵と揶揄される豊後・羽根藩の舟手奉行の跡取りだったが,日田の掛屋で商人に媚び諂う武士の姿に触れ,剣の腕前を見せろと言われて,畳を叩いて持ち上げ,居合いで真二つにした不始末で,異母弟に跡目を譲って,浜の漁師小屋で暮らしている。新田奉行並になった弟の新五郎が突然訪れ,不始末で家財を売った一部を置いて,翌日切腹した。櫂蔵に遺した文では,日田掛屋の小倉屋に,藩で行われている明礬作りを振興するため,5千両を借りたが,江戸での費用として送られてしまい,詫びるつもりで297両を充てたというのだ。3両を呑んで博打ですってしまった櫂蔵は激しく後悔し,入水して果てようかと思い詰めたが,浜で飲み屋を開いている女・お芳に止められた。弟の直接の上司・勘定奉行の井形清左衛門が殿・三浦兼重の温情で,致仕していた櫂蔵に弟と同じ職で再び出仕する気はないかと聞いてきたのだ。生さぬ仲の継母・染子は,戻るなら奉公人は召し放ちにするという。櫂蔵は俳諧師で,三井越後屋の大番頭をしていた咲庵と,惹かれていることに気が付いた・お芳をゆくゆくは妻にしたいと,屋敷に連れてきて,更にかつての父の手先の宗平と娘の千代も伴ったが,継母の染子は極めて冷淡な態度だ。出仕すると,新田掛の配下の四五十代の侍のやる気はなく,若手の笹野信也は山廻りをして隠し田を見つけては新田として届けさせることに腐心しており,小見陣内は井形の間諜だ。咲庵が帳簿を調べると,何もしていない普請に公金が支出され,茗荷金として暫く後に同額が還ってくるが,それは博多の豪商・播磨屋が絡んでいることが判った。櫂蔵は播磨屋の出店に番頭を訪ねるが,唐明礬の輸入を止めて明礬の値崩れを起こさせない工夫を播磨屋は承知していることは判明し,追い返されてしまう。日田に行き,小倉屋に挨拶をしても同様だが,利があれば,商人を味方にすることができると咲庵は言う。染子に追い出されそうな女中勤めをしている芳は,風邪引きの自分に粥を作って取り入ろうとしているのかと詰られるが,お芳は汚れているかも知れないが嘘だけは吐かないのだと反論し,次第に染子に認められていく。サトという娘が親の為した借金の肩として女衒に売られそうになるのを見掛けた信也は,サトは死んだ新五郎の思い人で十両あれば救い出せると訴え,咲庵の伝手で十両を差し出した櫂蔵の気配りで救われたかに思われたが,他に三両の借金があって,博多に売られていった。配下の三名は,主君の吉原での乱費を止めようとして,国許に帰され,井形の監視を受けていたのだが,里の娘を親身になって心配する櫂蔵が,改革に本気であることを知らされ,再び改革の先手になる覚悟が伝わってきた。博多で商家の主と対面してあしらわれた櫂蔵は,咲庵の息子から,唐明礬を一手に扱う商家が播磨屋だと知らされ,江戸へ送られるはずの5千両は城下の播磨屋の蔵に眠っていると推量した。これを取り戻し,西国郡代を通じ,賄賂を送って,明礬輸入止めを実施させたらと小倉屋からの知恵を手に入れる一方,お芳を揺さぶって圧力を掛けようと言う井形の思惑は,お芳が井形の脇差しを奪って自分の胸を突いて自害した。復讐は弟の遺志を全うすることだと覚悟した櫂蔵は,大名貸しの播磨屋の主人が資金不足で5千両を博多に動かす企みを察知し,郡代の手先を連れて大八車を奪い,小倉屋に返還した。染子から井形の悪事を告げられた兼重の母・妙見院は,井形を閉門蟄居とし,息子が養子を迎えて隠居することを条件に,家中のすべての女が主君の敵になることを止め,櫂蔵は幕閣との交渉を行う勘定方として江戸に行こうとしていた~豊後羽根藩が舞台だけど,豊後って佐伯君も好きでよく舞台にしてますね。何故でしょう。さて…櫂蔵は剣の達人で,畳を叩いて立ち上がらせ,居合いで真っ二つにしただけでなく,大八車を襲って立ちはだかる小見の髷を切り落とすシーンがあるので含みとしては重要,でも人は斬らない。「落ちた花は二度と咲かぬ…か」,落ちた花をもう一度咲かせてみようじゃないかという決意と共に酒を断つ。襤褸蔵と呼ばれ侮辱されても死なない覚悟を持てるのは櫂蔵だけでなく,芳も咲庵もさともそうだった

  • 文武両道で優秀だったが、社会にに出て周囲とうまくなじめず、また大きな失敗をしてしまった主人公。
    弟に家督を譲り自らは襤褸蔵と言われるほど荒んだ生活を送るが、弟は仕事に失敗して自殺してしまう。
    そのため、再び弟の仕事の後を引き受けることに。

    一度落ちぶれてしまうと、そこから這い上がるのはとても難しいもの。
    でもそれを達成していく様子に、将来への希望を持つことができます。
    読んでいて楽しくなります。
    自分も頑張らねば。そんな気分になります。

  • 本屋さんで一目ぼれしました。
    とても読みやすく、ぐいぐいと引き込まれて、あっという間に読了です。
    お役御免になるほどの悪癖はどこへ?って感じですが、周りの人々にささえられながら、生きていく主人公に「がんばれ!」って思います。
    お芳や染子の一言がグッときます。

  • 襤褸蔵と呼ばれた落ちぶれた男の再生の物語。
    久しぶりに歴史小説を読んだ。先が気になって一気に読み終えた。
    義理の母の染子が素敵だった。

  • いいですね。泣きました。
    蜩もそうでしたが、ハッピーエンドではないけど、心に染みますね

著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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