家康、江戸を建てる

著者 :
  • 祥伝社
3.84
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本棚登録 : 1249
レビュー : 180
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634865

感想・レビュー・書評

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  • 最初は秀吉に任ぜられた未開の地の江戸が、お城を中心に住みやすく美しい街になってゆく過程が描かれています。水の流れ、貨幣の精度、飲料水の質と使いやすさ、城の石垣の角度や加重、天守閣の色に至るまで、家康の目利きにかなった職人の技が光ります。何世代にも渡って成し遂げる誠実な職人もいれば、時が減て腐敗と堕落の一途を辿るものもあります。1章にひとつは必ず膝を打つ言葉があって心に響きます。ここに登場する藤堂高虎は残念な男です。なるほどそれはダメやと納得。目利きと信頼と誇りの大切さを再確認する作品でした。

  • 歴女には程遠いし、時代小説もほとんど読まない。
    大河ドラマも興味がなく、戦国武将もあやふや・・・。

    そんな私がおもしろい!と思えたこの小説。
    直木賞の審査員からは「これは小説ではない」との厳しい意見も出たようだが、個人的にはこれはこれでいいのではないかとも思う。小説の形態は色々あっていいではないか。

    まあ、しかしこの本の主人公は家康ではない。
    関東のど田舎だった江戸を立派な都に至らしめた陰の主役たちに光を当てている。
    利根川の流れを変え、飲み水を引き、貨幣を流通させる。
    さらにシンボルとしての天守閣の建設などなど。

    どれもこれもへ~っと驚くことばかりで、ちょっとこの知識を自慢したくなった。
    利根川って元々どこに流れてたか知ってる?
    井の頭ってどうして井の頭だと思う?
    金座って聞いたことある?
    とかね(笑)

    この本を読んでから全く興味のなかった皇居東御苑も行ってみたいなと思うようになった。
    知ってると知らないじゃ大違い。
    面白く小説として読ませてくれた本書、とっても良かったです。

  • 関東には手つかずの未来がある!
    秀吉からの突然の国替えの申し出に対し、反対する家臣達に向かい言い放つ徳川家康。
    ここから家康の一大プロジェクトが始まった!
    問題多発の荒れ放題の土地の地ならしは、利根川東遷に始まり、日本史上初めての貨幣統一、上水道設置工事、強固な江戸城の築城……先人達の知恵と技術の賜物。

    感心するのは家康の人を見る目。
    無名の技術者を指名し務めを果たさせる。
    そして決して好機を逃さない時流を見る目……これぞ天下一のリーダー!
    お陰で今の東京、いや日本がある。
    江戸は一日にしてならず!
    そして今に続いている。

  • がんばって読んだ。

    第一話 流れを変える
    第二話 金貨を延べる
    第三話 飲み水を引く
    第四話 石垣を積む
    第五話 天守を起こす

    天下を治めた家康は、人、物、時間、金の使い方が巧みで、「時の流れ」や「運」、さまざまな物事の「理」さえも味方にするんだなぁ…と。呼ばれてうまく乗って、その流れを利用しているようで、なんだかすごいと思った。ところどころ自己啓発っぽく、ビジネス書ぽいな…と思った。ところどころで『開運!』みたいに光って見えた。


    個人的には「金貨を延べる」が面白かった~。一話の「流れを変える」で、意味が分からなくて、何度も古い地図を検索しながら読んで、それでも伝わってこない部分もあった。

    江戸時代も今もやってる事は根本的にはあまり変わっていないのかも。技術や科学、道具の発達により、かかる時間は変わってくるだろうけど、基本はそんなに差がないなと思った。

    あと大河ドラマの「真田丸」見てよかった。じゃないかったらきっと挫折して読むのやめていたかもしれない。あのドラマ見て初めて秀吉周辺に興味がわいた。なので読んでいる途中で知ってる人が出てくると、「真田丸」モードに自動で切り替わって楽でした。(真田幸村は一回だけチラッと出てきただけ)。

    ただ最初は面白かったけど四話あたりから面白味が減ったような気がした。

  • 徳川家康が江戸幕府を建国するまでの過程を小説仕立てにしており、歴史好きにはたまらない一冊。運河の工事、金貨の鋳造、天守閣の建設、飲料水の確保など、江戸幕府の開国に至った経緯を詳細な取材に基づいて描いており、筆者の歴史への造詣の深さに圧巻される。

    本書は歴史書に分類されるが、マネジメントやコミュニケーションといった、要素を含んだ一種のビジネス書のような一面も持ち合わせている。例えば、利根川の流れを変えるように家康の家臣が領主に依頼するシーンがある。なぜ川の流れを変える必要があるのかと訝しる領主に対して、家臣は利根川の流れを変えることで、年貢が増え、ひいては領主様にとって利益をもたらすことを主張しいる。これは、相手にとってのメリットを伝えて説得するという、現代のビジネスシーンでも用いられている交渉術である。
    家康が江戸幕府を開びゃくし、その後250年もの治世を維持することができた背景にあるのは、家臣の能力を見抜き先進的な取り組みを続けていた、家康のマネジメント力かもれない。

    以下に面白かった点を述べておく。
    ①小判の流通
    豊臣時代に流通していた小判は金の含有率が低く、市場の信用性が乏しいため、ほどんど流通していなかった。家康はこの点に目をつけて、金の含有率が高い小判を家臣に作るように命じた。より質の高い小判を江戸で流通させることで、悪貨を駆逐することができ、「徳川」の権威を高めるためである。

    ②天守閣の建築
    防衛の観点から見ても城に天守閣を建築する必要性はない。それでも、家康が天守閣の建築にこだわったのは、大名に金を使わせるためである。天守閣建築に関わる材料費や工事費を全国の大名に負担させ、彼らの経済力を弱めることに加えて、徳川家こそが天下の支配者であることを誇示することができる。

  • 秀吉の命により、家康が転封した江戸。
    関東の一寒村だったこの地が、今や世界に冠たる大都市となった所以は、やはり家康の先見の目と、職人たちの情熱と奮闘にあったことを改めて教えてくれる。
    街づくりのため、水害をもたらす元凶たる利根川を曲げてしまう伊東忠次。
    家康の意を受け、貨幣鋳造に生涯をかける橋本庄三郎。
    井戸水は、江戸の地の地質ゆえ塩辛くて飲めたものではないため、家康から水利措置を講じられた大久保藤五郎と春日与右衛門。
    江戸城の石垣に自ら見出した最上の最上の石を積もうとする、みえすき五平、喜三太。
    己の意を込めて天守閣を建てる家康とその真意を推し量ろうとする秀忠。
    著者の臨場感あふれる描写と緻密な実証により、直木賞候補になり、また今だにロングセラーを続けていることも、納得できる傑作。

  • とても面白かった。
    治水工事、上水道工事、通貨づくりに、城づくり。
    インフラは、一朝一夕に完成するものではなく、幕府を開けば即、江戸が栄えるわけでもない。
    それでも、その大工事に取り組んだ人々がいたからこそ、大都市・江戸が完成する。
    役人や職人の力で、大きな事業が完成していく過程に、わくわく。
    知っているエピソードもあるが、それでもストーリーが面白い。
    江戸を"建てる"というタイトルがぴったり。
    現在の地名も紹介しているので、実際の場所をイメージしやすい。
    適宜現代風の用語で説明しているのも、わかりやすい。

  • 文字通りに単なる広野に等しかった土地に江戸を作り込む話だけど、利根川を曲げ金貨を作り飲料水を引き江戸城の石垣を重ね天守閣を築き上げた5話の作品。それぞれの話に主人公が登場する。個人的には石工が登場する第4話が印象的だったかな。少し食い足りない感は残ったけど、東京の古の知識として興味深く読めた♪

  • 江戸の街づくりプロジェクトの一冊。
    面白かった。最初から最後まで興味深く読めた。
    今当たり前のようにある街にここまでの歴史があったとは考えたこともなかった。

    先見の明があったとはいえ、この時代の家康の巨大な大ばくち。
    ゼロからのスタート、それぞれの分野でのスペシャリストの命がけのプロジェクトと言っても過言ではない街づくりに感嘆のため息しか出ない。

    職人目線で描かれる過程が、そして心情描写が素晴らしい。
    迎えた終盤、白一色の天守に込められた想い、フィクションとはいえ、見事に描き出された家康の心にグッときた。

    日本人の心の中にそびえ立つ…物語の締めくくり方も秀逸。

    • けいたんさん
      こんばんは(^-^)/

      私江戸時代が好きなんだ。
      戦国時代から好きだけど、物語として読むなら江戸時代がいいな。
      そんな江戸をの街...
      こんばんは(^-^)/

      私江戸時代が好きなんだ。
      戦国時代から好きだけど、物語として読むなら江戸時代がいいな。
      そんな江戸をの街づくりなんて興味津々(⁎˃ᴗ˂⁎)
      この作者さんはどんな感じ。
      私も江戸の物語を読み終わって先週から何度も投稿しようと思ってはなかなか今夜できるかな。
      またその時は読んでみてくだされm(*_ _)m
      2019/04/20
    • くるたんさん
      けいたん♪こんばんは(●'∇')

      そうだったのね♪私は最近、なんとなく歴史モノに興味が出てきたよ♪

      これは読みやすい♪ドラマ化もされてた...
      けいたん♪こんばんは(●'∇')

      そうだったのね♪私は最近、なんとなく歴史モノに興味が出てきたよ♪

      これは読みやすい♪ドラマ化もされてたのね。

      銀河鉄道の父でも思ったけど、この作家さん、読みやすいし、心情描写もひきこまれる〜(* ॑꒳ ॑*)
      職人さんのお仕事がメインで読み応えあったよ。

      けいたん♪のまかてさんのレビューも気になってたの♡
      ゆっくり書いてね〜♪
      2019/04/20
  • なかなか読み応えのある小説でした。言うならば、家康と家臣の江戸建設プロジェクトXって感じでしょうか。

    しかし、歴史の場面に出てくる、秀吉と家康の小田原での連れしょんべんでの関東移封命令。

    まずはこのとんでもない秀吉の命令をよく黙って受け入れたものだといつも感心してしまう。このあたりが真の天下人となりえた家康の真骨頂。待つことの天才。

    しかしこの本は、私が今まで描いてきたどの家康のイメージとも違いました。鳴くまで待とう時鳥、これは天下人となるまでの戦いでの心構えの話。この小説は、天下人になる前からなっていく過程でどうやって何もなかった江戸を日本一の地に仕上げていったかという話で、信長や秀吉よりも、家康の方が現代にも通ずる大プロジェクトのリーダーとしての資質、全体を見渡せる俯瞰力、部下を率いる統率力とカリスマ性、周到な準備、抜かりのない段取り力など、お手本のようです。

    それにしても家康の命を受けた各サブリーダー達と言っていいのだろうか、代々引き継ぎながらも、とてつもないプロジェクトがたくさんあったことを痛感する。なんとなく、家康が勝利して、徐々に自然にできあがっていったような勘違いをしていたが、これほどまでに江戸を首都の基盤とするまでに苦心していたとは恐れ入りました。今の日本が東京を中心に回っているのは、間違いなくこの家康のおかげと言えるでしょう。(もちろん是非はいろいろあるとしても) こういった背景を知る、過去を知ることで、今が見えてくる、今のありがたみが見えてくる、そして過去に恥じないように多くの教訓を学ばせてもらえる貴重な機会となりました。

    数々の難プロジェクトのストーリー、非常に読み応えのある小説です。お仕事小説としてもおススメです。

    • くるたんさん
      過去を知ることで今のありがたみ…まさにそう思います♪
      先見の明はもちろんですが、生まれ持った才能なんでしょうね。家康のようなお方に現代の日本...
      過去を知ることで今のありがたみ…まさにそう思います♪
      先見の明はもちろんですが、生まれ持った才能なんでしょうね。家康のようなお方に現代の日本を…なんて思いました。
      2019/07/05
    • kanegon69 さん
      やっぱり家康は幼少の頃から人質に出されたり、信長や秀吉という傑出した存在がいたため、じっくり作戦を熟考し、あらゆるシミュレーションをしたんで...
      やっぱり家康は幼少の頃から人質に出されたり、信長や秀吉という傑出した存在がいたため、じっくり作戦を熟考し、あらゆるシミュレーションをしたんでしょうね。それを支えたチーム(家臣)も素晴らしい。これからの日本を考えると、信長でもない、秀吉でもない、やはり家康のような一時の感情に流されず、しっかり持続可能な社会を作れる、そんなリーダーが必要な気がします。コメントありがとうございます
      2019/07/05
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著者プロフィール

1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年「キッドナッパーズ」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。16年『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年、咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。18年『銀河鉄道の父』で直木賞受賞。他の作品に『東京帝大叡古教授』『家康、江戸を建てる』『屋根をかける人』『自由は死せず』『東京、はじまる』などがある。

「2020年 『銀閣の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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