市立ノアの方舟

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 181
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634926

感想・レビュー・書評

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  • ★4.5

    崖っぷちの動物園を守りたいー。
    奇跡は起こせなくても、僕らは今日も〝命〟に向き合うー。

    野亜市一番のお荷物と言われてる施設「野亜市立動物園」
    市役所の企画部でテーマパークの誘致を手掛けてきた磯谷健吾。
    派閥闘争の巻き添えで、突然の人事異動で廃園が噂される市立動物園の園長を命じられた。
    着任早々、飼育員たちから〝腰掛けの素人園長〟の烙印を押され挫けそうになり、
    磯貝自身も早く市役所に戻りたいというのが、本音だった。
    ある日見た、娘が遠足の時に描いた耳の切れたゾウの絵。
    それは、磯貝が子供の頃に描いたゾウと一緒だった。
    それを見た磯貝は動物園に活気を取り戻す為に決意を固め、
    まず動物園の事を知る努力を始める…。

    廃園間近と囁かれる動物園の再生の物語でした。
    磯貝の目に見えてきたのは、動物達が抱える様々な問題と、
    飼育員や職員達の、動物に対する熱い愛情はあるんだけど、
    何をしても無駄だという諦めの気持ち…。
    エンリッチメント…動物の環境を豊かにするための取り組み。
    職員へのエンリッチメントが必要だと感じ、園内でエンリッチメントのコンテストを開催。
    モチベーションが向上し、意識改革に成功する。
    磯貝は園内の食事を美味しくしたり、園内にベンチを配置したり…。
    そんな磯貝の努力は職員達に伝わり、彼らの信頼を得ていく。
    飼育員は、愛情やモチベーション等、自分自身と向き合い動物と向き合っていく。
    動物園の皆が一つになり、仕事って楽しい。この仕事を選んで本当に良かった。
    そんな風に、皆の心が少しずつ前向きに変わっていく様子に胸が熱くなりました。

    動物園の在り方そのものの是非や、動物達の飼育環境の悪さ等も問題提起していた。
    動物達の個性や特性もしっかりと描かれていて、アジアゾウの賢さ、
    ホッキョクグマの並外れた忍耐強さ、フラミンゴの愛情の強さ、アミメキリンの勇敢さ、
    ニシローランドゴリラの心の優しさ…。
    色んな事を知る事が出来て、楽しかった♪
    派手な事件は起こらないけれど、心がほっこり温かくなった。
    そして時折、ホロリと涙が零れました。
    ゴリラのコータローが良い味出してました(*´˘`*)♡
    動物園の存続がどうなっていくのか明らかにはなっていませんでしたが、
    磯貝が温かくて、とってもほんわかしてて好きだった。
    続編があれば良いなぁ♪
    動物園に久し振りに行きたくなりました(*´□`)ノぁぃ!!

  • 正直、怒ってる女性に「生理か?」と呟く場面と、子供を生ませてあげられなくて女としての幸せが云々のところで読むのやめようかなと思ったけど、読んで良かった。面白かった。でも星は減らしておきます。
    なんとなく全体的に淡白というか、もうちょっと書き込んでほしかったなあと思う。
    フラミンゴの話が好きでしたね。ツンケンしてた華が変わっていく様子、章子と友情を結ぶ様子が良かった。ただ、それでも章子の家の内情がありきたりすぎではないかとも思った。
    オチが現代らしいですね。ツイッターでバズって動物園再生。でももうちょい余韻が欲しかったかもしれない。

  • お仕事小説だけど、結構感動させてくれる。いかにもありそうな話。いや、動物園も水族館も大変だ・・・

  • 野亜市の動物園だから「市立ノアの方舟」か‼(゜▽゜*)市役所から急に動物園(廃園の危機)の園長に異動させられた磯貝さん(゜゜;)あれっ?なんかこの設定よくあるぞ(--;)と思ったけれど、その後が凄かった(^o^)素人なりに動物園を良くしようと頑張る園長、そして飼育員たちもやる気にo(^o^)o最後には廃園どころか、旭山動物園にも劣ってないよ!というところまできたから、その辺をぜひ続編で希望!(>_<)「恋するフラミンゴ」の話が一番好き♪

  • 良いお話
    信じれば、必ず伝わる
    努力は、きっと報われる
    タイプのお話

  • ホッキョクグマのくだりで、旭川動物園を思い出した。
    常同行動ではなく、冷たい池のようなプールに
    飛び込んでいた。
    のびのびしていたと思う。
    小さな動物園の経営が困難なのは、
    本当に切実だと思う。

  • 2019.5 ストーリーはありがちながら、はっとされるフレーズもあり楽しめました。続きがあればまた読みたいな。

  • 奇跡は起こせなくても、僕らは今日も命に向き合う。熱い想いが響くお仕事小説!
    工夫を凝らして動物園を立て直すお話。少し都合の良すぎるきらいがあるのだけれど
    楽しく読めるのでこれはこれで良い気もした。中学生位の子にもオススメできそう。

  • 廃園危機の動物園と、土日だけ不安定な象、待ち伏せ狩りの北極熊、異種フラミンゴ間の卵問題のリアル。動物が本能を発揮出来る環境を整える為の奮闘が染みる。意地悪でなく活きるんだなあ。否定的だったTV取材の変化は自然に思えたけれど、職場体験のいじめられっ子の職員顔負けな活躍は劇的すぎて興が。。結末がニクい。

  • 市立動物園改革が思いのほか面白かった。自分自身も動物園って当分行ってなかったけど、アドベンチャーワールドで久々に行ったら楽しかったもんなぁ…やっぱり頑張ってるところって違う、と思う。美術館も同じようなところがある。これの美術館版読んでみたいなぁ。

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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