また、桜の国で

著者 :
  • 祥伝社
4.23
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本棚登録 : 643
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635084

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は第二次世界大戦開戦直前のポーランド。
    そこに外務書記生として赴任した主人公・棚倉慎。
    亡命ロシア人の父と日本人の母の間に生まれ、
    その出自や容姿などから、果たして自分は真の日本人なのかと懊悩しながら成長した。

    「ポーランド」…すぐに思い浮かぶのは、ショパンとナポレオンくらい。
    そして、ユダヤ人迫害の哀しい史実も。
    ただ、日本との間にこんな深い絆があったことは知らなかった。

    日本人、ポーランド人、戦争回避のために奔走した彼らの生きざま。
    迫害されても、人としての尊厳を失わなかったユダヤの人々。

    外交とは、人を信じることから始まる。
    なんて難しいことなのか…
    「人が、人としての良心や信念に従ってしたことは、必ず相手の中に残って、倍になって戻ってくる。」
    この部分がとても印象的だった。
    倍にならなくても、戻ってこなくても、
    誰かの心の中に生き続けて欲しいと思う。

    「私は日本人だ。名は棚倉慎という。」
    胸を張ったその姿に、心が震えた。

    日本人、ユダヤ人、アメリカ人、国籍の壁を越えて、真の友情で結ばれた三人。
    いつか必ず、三人で日本の桜を見よう。
    実現する日を信じて、
    ユビキリだ───。

    読んで良かった。
    名残の桜のころに読んだ一冊。

    • azu-azumyさん
      うさこさん、こんにちは♪

      須賀しのぶさんの本は読んだことがありません。
      まったくノーマークの作家さんでしたが、うさこさんのおかげで、...
      うさこさん、こんにちは♪

      須賀しのぶさんの本は読んだことがありません。
      まったくノーマークの作家さんでしたが、うさこさんのおかげで、新たな出会いの予感!
      ”読みたい”に登録しました♪

      うさこさんおススメの【屋根部屋のプリンス】見ました!
      胸キュンでとても面白かったです。
      ますます、韓国ドラマにはまってます(;'∀')
      2017/09/09
    • 杜のうさこさん
      azumyさん、こんばんは~♪

      コメントありがと~~嬉しかったです!
      お返事が遅くなってしまって、ごめんなさい。
      ちょっとPCを放...
      azumyさん、こんばんは~♪

      コメントありがと~~嬉しかったです!
      お返事が遅くなってしまって、ごめんなさい。
      ちょっとPCを放置しちゃって…

      この本、すごく良かったです!おススメです!
      私も最近知ったんですが、「高校生直木賞」というのがあって、この作品が受賞したそうです。
      この作品を選んだ高校生たちに拍手してあげたくなりました。

      ね~【屋根部屋のプリンス】良かったよね~
      もうラストのほうで大号泣でした。
      生まれ変わりとか、来世でとか、そういったものに弱くて…

      さっき久しぶりにブログにお邪魔したの。
      そしたら”ブクログのお友だち”って♪
      嬉しくてキャー!でした(#^^#)
      韓ドラって、見始めるとくせになるのはなぜなんでしょね?
      続きが気になって、やめられない止まらない(笑)
      私もね、この前azumyさんとお話してからまたブーム再来しちゃって、
      今は【ドクターズ恋する気持ち】というのにはまってます。
      主演の男優さんが素敵で♪
      しかし…
      本やドラマの中でしか胸キュンできないわびしさよ…(笑)
      2017/09/12
  • 日本贔屓の多い国 波蘭土(ポーランド)愛に嵌まった1938〜1944時代の一介の外交官書記生の若き人生。ロシア人の父と日本人の母に生まれた彼は外見もろ外国人の日本人。外交の基本は信頼、国と国と言っても人と人、人間関係の信頼で成り立つ。だから外交に携わる者は常に信頼に足る人物でなければならない。誰かに与えた無償の愛は、必ず倍になって返ってくる。この思いを絶えず持ち続けて、愛するポーランドの為に奔走する。
    惜しいのは終盤の戦時活劇に転じてからで ちょっと腑に落ちない展開でした。
    でも497ページの本、一気に読ませるのは流石でした♪
    冒頭にある当時のワルシャワ地図を何度も手繰りながら読み進みました!私もポーランド好きになりました 笑。

  • 壮大にネタバレをしています。どうかご注意ください。

    読みながらカズオ・イシグロさんの「忘れられた巨人」をときどきふっと思い出しました。

    タナクラマコト 棚倉 慎(27)の生涯が描かれています。容姿は、私のなかではヴィクトル・ニキフォロフ。

    マコトは何に殉じたのだろう。生涯揺るがぬ理想を持つことは人生においてなにより尊いという彼の言葉は正しいと思うし、コテコテの日本人だと思うし、義の人であるともちろん思う。真実を伝える責任を持つ外交官とも。ただ、慎のような義の人に「だからこそ」生きていてほしかった。生きたくても生きられなかった彼らのぶんまで元気に生を全うしてほしかった。その命を大切にしてほしかった。マジェナの悲しみやイエジの想いはこころからのものだったとやっぱり思います。

    1906年日本に研究でやってきた植物学者の父セルゲイと、東京物理学校のロシア人教員を訪れた時に茶を運んできた女中に一目惚れ、結婚した母との間に2つ上の孝とふたり兄弟。
    兄と違って父の要素を強く受け継いだ慎は、故郷ですら自分の居場所ではないという疎外感を抱えて生きてきた。そんなある日、9歳の慎は、シベリア難民の子供たちを保護する福田会の施設から脱走してきた菫色の瞳をしたひとりの少年、カミルと出会う。図らずもふたりは背負っている重い十字架をわかちあって、それぞれの日常に戻されていった。この2時間ほどの短い時間が慎の進む方向を決めるできごとに。

    中学を卒業後、外務省留学生となって哈爾濱へ。10年をすごした後、カミルの祖国、ポーランド・ワルシャワへ外務書記生として着任。そのワルシャワに向かう夜行のなかで青年ヤン・フリードマンはユダヤ系ポーランド人(ポーランドの4割がユダヤ人)に偶然出会います。酔っぱらった相席の医師の領土割譲への愛国心のない発言に怒りをおさえられないヤンを、ドイツと同盟を結んでいる日本の外交官としての特権でSSからも助けます。

    この3人が物語の軸として大切なことを伝えてくれます。

    アメリカのシカゴ・プレスの記者、金髪に青い目のレイモンド・パーカーや、シベリア孤児だった少年のひとり、亜麻色の髪に高い背、鳶色の瞳のイエジ・ストシャウコフスキ(ワルシャワ大を卒業し、司法省少年審判所の視察官となり「極東青年団」という600人を超えるポーランドと日本の友好や、相互扶助を目的にした会の会長として資質を発揮)も物語のとても重要なひとりです。

    この物語は、チェコスロバキアが1938年9月30日ズデーテン危機の時着任したポーランドからの慎からの視線で、戦争の経過と、ワルシャワ蜂起までに起こったいろんな事件を流れに沿って描かれています。ズデーテンは結局、チェコ首相不在のまま、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアによってドイツに割譲。

    ポーランドは、18世紀 ロシア、プロイセン、オーストリアによって3度の分割で一度地図上から完全に消滅。その後ナポレオンがワルシャワ大公国をつくるも、ナポレオンの死後ロシアとプロイセンに4:1に分割。その後1世紀にわたり圧政を受け、自国語が禁止されます。その後、ロシア革命がおこり、ドイツが負け、ポーランド第二共和国に。

    ズデーテン危機から後にどんなことが「黄金の秋」とよばれる美しい季節を持つ国に暮らす人々に起こり、変わっていったのか、その時人々はどうしたのか。が、この本のほぼすべてです。

    本書に詳しく書かれていない事件もところどころ暗喩されています。
    慎が住んでいるのは8月6日通りで、そこはコルチャック先生が8月6日に200人の孤児の子供たちと一緒に集荷場からトレブリンカへ連行された出来事からつけられているようです。コルチャック先生は「1942年ワルシャワゲットー日記」をかいていたのですが世にはすぐに出されず、孤児院ドム・シュロトの助手だったイゴール・ネ―ヴェルリが1958年刊行しました。
    そして、ヤンという名前は国王の名前でもあります。


    ナチスの印象操作と裏切りは日常茶飯事で、侵略の方法も巧妙で愚劣。登場人物のだれかが巻き込まれる出来事で史実を描かれているので、わかりやすいけど苦しかったです。

    ワルシャワ蜂起を川むこうからうかがうソ連軍の理由があんまりで、悲しかった。

    ショパンの革命のエチュード、会議は踊る、ただ一度だけ、夜のタンゴ

    アウシュビッツで亡くなったヤンのママのシチュー「ピゴス」、ミンチとベーコン、玉ねぎに合わせたラード「シュマルツ」とライ麦パン。

    ヤンのママのお店「ジルエット」のマリア像、連翹、楡の花に似た御衣黄桜

    波大使館の酒匂(さこう)大使、織田寅之助さん、守衛のヴワドゥジさん、マジェナ・レヴェントフスカ、マジェナの恋人ラディック、タデク、民間人の梅田さん、(史実に、ポーランドに殉じた禅僧梅田さんという人がいる)、レイの心の恋人ハーニャ、ブルガリア ソフィアのヴァーニャ、イスタンブールの後藤さん、まだまだたくさんいる登場人物はひとりひとりがみんな誠実な人々だったのが、この物語の深い闇のなかでの光であり暖かいぬくもりでした。だから、読み進められました。

    民族ドイツ人っていうこともはじめて知りました。

    ヨーロッパとアジアで場所は違うけど、持つべき理想や大切にすべきことは変わらない。
    ポーランドにいつか行ってみたいです。

  •  凡そ500頁のハードカバー本。
    重くて持ちにくくてとにかく扱い辛い・・・なんて愚痴をこぼしていたのも束の間、この分厚い本は読み始めたら止まらない、そんな力のある作品だった。

     第二次世界大戦中の欧州の様子は、教科書で読んだくらいの知識しか持っていなかった。
    ナチスによるユダヤ人の弾圧や、アウシュビッツの惨劇。
    ドイツがとにかく酷い、狂気的。
    そんなイメージが大きかった。
    ポーランドが幾度も侵略を受け、奪い尽くされた真実も、蜂起して何度も戦った事実も、よく知らなかった。
    人間の尊厳をかけて、自由を勝ち取ろうと立ち上がる人々の痛切な思いと生き様が凄まじい。
    この熱い余韻をうまく言葉にできないのが、もどかしい。

     多くの人に読まれるべき傑作だと思う。

  • 直木賞候補にもなった作品で
    評判や書評を読んでいるうちに、読みたくなった。
    ヒトラーの時代、その前から
    ドイツとソ連に挟まれたポーランドという国が
    どんな目にあっていたのか、全然知らなかった
    知らないことは、無知は罪だと思ってしまった
    人と人の繋がりは、民族も環境も関係なく縁で繋がっているのか
    人間として、考えたなくない考え方をしてしまう環境の中
    葛藤し、戦い、前を向き、別れて、信じた人たちの物語
    後半は一気に読んでしまったが、まだ心の中で終わっていない

  • 「神の棘」の衝撃から6年、なんて煽られたらもう……! と胸を熱くして購入した本書。覚悟はしていたがポーランドがいかに苛烈な道を歩まされてきたのかが容赦なく描かれており、胸が痛いを通り越して息苦しいほどだった。“じぶんは何者なのか”と葛藤する主人公の姿もさることながら、孤立を極めたあの国で何があったのかをほとんど知らずにいたじぶんに声をなくす。涙腺は緩いほうだとわかってはいたが、それでもなんども目の前が霞み、終章では嗚咽が漏れた。あの約束があったからいまがあるというのなら、歴史を学ぶ意味はあると断言できる。

  • 恥ずかしながら、これまで殆ど知らなかった、ポーランドの歴史。隣国に何度も侵入され、地図から姿を消してきた美しき平原の国。
    虐げられた人々の、隣国への憎悪、そして国に対する誇り。ポーランドの為に身を投じる1人の日本人の視点を通して、刻銘に綴られていて、非常に読み応えのある一冊。
    この時代のポーランドの視点で読むので尚更に、ナチス時代におけるドイツという国の非道さ、残酷さが読み手の胸を押し潰す。だけどそれは戦争における一側面でしかない。その後ドイツ軍が弱体化し敗北に向かうに連れて、ドイツでもまた似たような悲劇は起こったのだろうし、同時期に近隣諸国と戦争をしていた日本もまた、どちらの立場にも立ったのだろう。
    何が悪で何が正しいのか、答えなどない中で、ただそうするしかなく、もうその流れに逆らうことは出来ず、人々は戦争に走った。その結果に何も残らないことを、人は学んだはずなのに、それでも戦争は無くならない。
    二度と戦争などしない。そう思っているのに、気付いたら、戦争へ向かう流れが出来ていて、もう流れに呑み込まれるしかなくなっている。世界がそんな手遅れの状態にならないようにと、祈らずにはいられない。

  • できる限り多くの人がこの本を手に取ってくれることを願うほどに、自分の価値観や物の見方に大きな影響を及ぼした1冊。侵略と裏切りを幾度も経験してきたポーランドを舞台に、国籍とは何か、私とは何者か、信頼とは、友情とは。そんなことを考えさせられた歴史小説は初めて。『ポーランドからみる景色は過酷だが美しい。真実と共にあれ。』という言葉が、重く、まっすぐ心に突き刺さった。ラストは、このタイトルを見るだけで涙が止まらなかった。20代の自分が、世界をもっと知りたいと心から思った。 

  • 読み応えのある作品。
    ノンフィクションかと思ってしまったが、史実に基づいているので、フィクションとも言い難いような?

    杉原千畝さんの名前が出てきて、これは物語ではなく、事実なんだとハッとさせられる。
    杉原さんが救ったユダヤ人はは6千人くらいだと伝えられている。
    ものすごい数だけど、それでも一握りだったんだな、と。

    満州引き揚げ、ナチス・ドイツのユダヤ人迫害などに関する本を最近も何冊か読んだが、この本に出てくることも無関係ではない。
    むしろ、ポーランドや周辺各地の事実を知り、全てが繋がっていることに気づく。
    こんなことは繰り返してはいけない。
    遅ればせながら、もっともっと歴史を知らないといけないなという思いが強くなった。

  • フィクションとノンフィクションとを見事に融合した傑作で、8.15を間近にして読むにふさわしかった。
    かつて、一世紀以上にわたって地図から消えた国、ポーランド。
    大使館の一書記生慎(まこと)を主人公に、彼と彼の周囲のポーランド人たちが、第二次大戦下、ドイツと戦う様を描いた500頁に迫る大作。
    「ポーランドから見る世界は、過酷かもしれないがきっと美しい。真実とともにあれ。おまえが正しいと信じたことを、迷わず行えるように」
    書中、度々綴られる主人公の父の言葉。
    父のこの言葉を胸に、慎はポーランドのために行動する。
    彼の運命に思いを致すと、題名の『また、桜の国で』が胸に迫ってくる。

    実は、ポーランド気質と武士道とは、よく似ているそうだ。
    「体面を重んじ、美しいものをこよなく愛し、心の機微にも聡」く、「一見大人しいがそのじつ非常に誇り高く、時にやせ我慢がすぎたり、空回りするところも」
    読後、東欧の一小国がとても身近に感じられるようになった。

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著者プロフィール

須賀しのぶ(すが・しのぶ)
1972年11月生まれ。埼玉県出身、上智大学文学部史学科卒。
1994年『惑星童話』」でコバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞し1995年デビュー。2010年『神の棘』で第13回大藪春彦賞候補。2012年『芙蓉千里』三部作によって第12回センス・オブ・ジェンダー大賞受賞。2015年『革命前夜』第18回大藪春彦賞受賞、第37回吉川英治文学新人賞候補。2017年、『また、桜の国で』で第156回直木賞候補、第4回高校生直木賞受賞。同年、『夏の祈りは』で「本の雑誌が選ぶ2017年度文庫ベストテン」1位、「2017オリジナル文庫大賞」受賞。
第100回高校野球記念大会が開催されるメモリアルイヤーの2018年、『夏空白花』が刊行された。

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