- Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396635084
感想・レビュー・書評
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ポーランドについて何も知らなかった。信じられないような事があった戦争時代。読んで良かった。
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第2次大戦直前から戦中にかけてポーランドを舞台とした日本人と日本を愛するポーランド人たちの交流。主人公・棚倉慎はロシヤ人を父に持つ2世。子供の頃に同年代のポーランド少年カミルとの出会いの思い出を持つ。主人公がドイツからポーランドへの列車で起こった出来事から、いきなりこの世界に惹き付けられ一気に読み上げた。ポーランドを巻き込んだ戦争の悲惨さ、犠牲になっていった人々。また義と友情のために闘う人たちの姿の素晴らしさが感動的に謳いあげられる。それにしてもこれは史実なのか、完全なフィクションなのか?フィクションだとしても、ストーリーを構想した著者には感服する!
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ワルシャワ蜂起とその後の蜂起軍の話を描く本はそう多くはない。ポーランド人の誇り高き生き方に、感嘆する。登場人物がどれも意志が強く芯があり、そして義を感じる。
「人が、人としての良心や信念に従ってしたことは、必ず相手の中に残って、いつか倍になって戻ってくるんだ」というセリフが出てくるが、これを体現している人たちばかりで、しかもそれが日本人であり、ポーランド人であり、アメリカ人であり。様々な国籍で様々なバックグラウンドを持つ登場人物が、いろんな角度からこのセリフのように信念に従って、ただただ恩を送るために、返すために、生き抜いていく。
とても残酷で恐ろしい描写が続くので複雑ではあるが、とても美しい生き様をみた気がした。
ポーランド語が要所に出てくるのがまた面白かった。 -
小説の中にも何度か「日本ではポーランドの事はあまり関心が無い」と語られるように、私も”アウシュヴィッツの有った場所”ぐらいの知識しかない。なのでこの本に続いて子供向けの「ポーランドの歴史」本、を読んでいる。
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ずっしりとした読後感に正直,心が重たくなりました。
ショパンが祖国を想って数々の名曲を作曲したことは知識としては知っていましたが,この本を読んでポーランドという国の過酷な歴史を初めて知り,改めてショパンがどのような思いで作曲したかに思いを馳せた次第です。
この作品の中で描かれる登場人物は,まさに人間関係における理想を体現したものであって,現実の世界では綺麗ごとにしかすぎないかもしれません。
それでも,本書の一貫したテーマである「人が,人としての良心や信念に従ってしたことは,必ず相手の中に残って,倍になって戻ってくる」を心にとどめておきたいと強く思いました。
その意味で,多くの人,特に若い人には是非読むことをおすすめしたい作品です。 -
力作です。戦争は何故起こるのか?考えさせられます。
描写が少し、くどいと感じる所もあるが、戦争の場所と時代を経験してない作者が、ここまで書けるのは驚きだ。 -
内容(「BOOK」データベースより)
ショパンの名曲『革命のエチュード』が、日本とポーランドを繋ぐ!それは、遠き国の友との約束。第二次世界大戦勃発。ナチス・ドイツに蹂躙される欧州で、“真実”を見た日本人外務書記生はいかなる“道”を選ぶのか?
重厚な装丁で内容も重厚。第二次世界大戦時のポーランドと日本の絆を書いたフィクションなのですがどこまでフィクションなんだろうと思わせる力があります。
今まで戦争映画を見ていてポーランドの悲惨さはよく分かっていたつもりですが、考えてみれば日本は枢軸国側なのでヒットラーと手を結んでいたんですよね。距離が遠すぎてあまり関わりが無い気がしますが、この本ではポーランドとの絆と共に日本がナチスドイツと手を結んだ事による忸怩たる思いががっつりと描かれています。主人公の慎をロシアとのハーフにする事によって、アイデンティティーの揺らぎを演出していて、ポーランドやユダヤ人へのシンパシーの根拠としています。共闘する為の動機づけとしては弱いという向きもあるかもしれませんが、もしかしたら人種的に揺らぎのない純潔日本人の思い上がりかもしれません。 -
戦争の本を読むと必ず触れられる悲惨な物語。これまでも多くの物語を読んできたが、本書はその中でも特別な一冊となった。第二次大戦中、ナチスに蹂躙され、英仏から見放され、最後はソ連に支配された国であるポーランド。歴史上何度も侵略され、近世だけで4回も地図から消えた国。ドイツ系、スラブ系が混在するだけでなく、ユダヤ人も多く、国民同士も憎しみあい、密告や略奪、深刻な対立を抱える。それでも祖国のためにと立ち上げる人々。その人々とともにあろうとするロシア人とのハーフである日本人外交官。自身も日本に対して複雑な思いを抱え、その心情の描写が胸に刺さる。本書は、直木賞ノミネート作品を高校生が読んで、高校生直木賞を選ぶという企画で首相した作品。多くの高校生がこの本を読んだことを嬉しく思うと同時に、本書を大賞に選んだ彼らの読む力に驚いた。
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歴史が学べる。
登場人物の生死をさほど重要視しないスタンス
嫌いじゃない。