そのバケツでは水がくめない

著者 :
  • 祥伝社
3.64
  • (8)
  • (30)
  • (27)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 195
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635381

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、
    自らが提案した企画が採用され、
    新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。
    そんなある日、カフェに展示されていたバックのデザインに衝撃を受けた理世は、
    その作者・小鳥遊美名(コトリ)をメインデザイナーにスカウトする。
    色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。
    社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、
    やがてその親密さは過剰になっていく…。


    待望の飛鳥井さんの最新刊。
    マイミクさんのレビューで知りました。
    女性間のイヤミス物語との知識があったりですが、
    最初は理世のお仕事物語として読みつつも、理世と美名が出会い友情を育んでいく。
    この二人の間に何がどう起こっていくのか、何も起こっていない時から読むのが苦しかった。
    そして、段々不穏な空気が漂い始め、苦しさは増すばかり(笑)
    飛鳥井さんらしい、繊細な女性心理の描写がこれでもかって胸に突き刺さる。
    誰しもが、学生時代・働き始めてからも様々な人と関わって生きている。
    嫌な思いをしないで過ごしてきた人はいないのではないかな。
    そんな思い出や出来事が次々と甦ってくる。

    自分だけが元気で好き勝手やって、親しい人を傷付けながらいきている
    という美名に対する言葉が文中にあるのですが、そういう人いる!いる!
    誰しもが多面性を持ってはいると思いますが、多くの二面性や矛盾を持つ
    美名は酷すぎる。
    嘘をついてでも人を信じさせ仲良くなり、少し気に入らない事があると
    子供の様に言葉で傷付け、無邪気なふりをして素知らぬふりをする。
    人としてどうしてそういう事が出来るのか全く理解が出来ず。
    そういう人が大嫌いです。
    でも今、現在も身近にそんな刃を時々向ける人がいる。
    意識的な悪意の言葉・態度…。
    でも、そんな人でも良い所もあり現実的に周りの環境から離れてしまう事も出来ない…。

    本当に美名の様な女性は沢山います。
    悲しいけれど、多く存在します。
    理世の揺れる気持ちに、とっても感情移入してしまいました。
    美名は心が満たされないまま大人になってしまい、他人とも歪んだ形でしか関係を結べない。
    美名の満たされない心と穴のあいたバケツをうまく結び付けた
    タイトルがとっても効果的でした。
    怖いお話でした。でも、とても共感しました。
    頁を捲る手が止まらなかったです。

    • katatumuruさん
      こんにちは(^^)
      しのさんのコメントを見てこの本を読みたくなりました。
      いつもレビューを読んでくださって、その上イイネ!をくださってあ...
      こんにちは(^^)
      しのさんのコメントを見てこの本を読みたくなりました。
      いつもレビューを読んでくださって、その上イイネ!をくださってありがとう(^^)
      2018/02/20
    • しのさん
      こんにちは(*'▽')

      コメントありがとうございます♪

      私のレビューで読みたいって思って下さって

      とっても嬉しいです( *...
      こんにちは(*'▽')

      コメントありがとうございます♪

      私のレビューで読みたいって思って下さって

      とっても嬉しいです( *´艸`)

      こちらこそ、いつもレビューを読んで下さっ

      てイイネを下さってありがとうございます(*´ω`)
      2018/02/20
  • 私も主人公と同じような経験をしたことがある。
    本当に苦しくて、友達というつながりに振り回され、当時のほとんどの知り合いと縁を切ることになった。
    今は随分時間が経ったので、冷静に読むことが出来たが、もっと前なら落ち着いて読むことも出来なかっただろう。
    でも、実際にこのような人がいるということを知っていて、振り回されないよう対応することが大変だということを知っていることって大切だと思う。

  • ざわざわと、常に嫌な気持ちがつきまとう話でした。
    理世が受けたセクハラ、美名からのパワハラとも言える悪意のある嫌がらせ、仕事での付き合いで、逃れられない環境の中ですり減る感じが読んでいてきつくて仕方がなかったです。

    美名があの様な行動をとる人になってしまった原因を思うと気の毒にも感じますが、やっぱりダメ。
    「自分だけ元気で、親しい人を傷つけながら生きていく」と言われてしまっても仕方の無い事なのだと思います。
    その後もまた新たな出会いで、元気にやってる様子ですし。

    自分では太刀打ちできない怖いものに出会ったら…
    それはきっと逃げるが勝ちなのでしょう。
    理世には、最適な逃げ場が出来て良かった。
    新しい出会いがあり、ファッションの本場でまた違った形に触れ合っていけるような終わり方で安心しました。

    母の責任は重大、を実感しました。

  • 主人公は中堅アパレルメーカーのMDの女性。
    彼女は急に辞めたデザイナーの穴を埋めるため、新しいデザイナーを探していた。
    そんな折、偶然に入ったカフェの雑貨コーナーで素敵なバッグと出会い、そのデザイナーであるコトリという女性と縁をもつ。
    彼女はやがて、主人公のメーカーの新しいブランドのデザイナーとなり、公私共に二人の女性は仲を深めていくが、あるささいな事をきっかけに二人の仲はギクシャク、やがて亀裂が入る事になる。

    読んでいて、途中から退屈で単調だな・・・と感じた。
    登場人物たちの言葉のやりとりがまるで機械のようで個性が感じられない。
    言葉や行動からこの人ってこうなんだな・・・というのでなく、「しっとりした」という形容詞などから登場人物がかたどられている。
    なので、登場人物の心情ー特に主人公の気持ちにこちらは入りこめないのに、どんどん主人公たちが感情をあらわにするので冷めてしまった。

    だけど、作者の言いたいことがこの本には散りばめられていて、それには共感できた。
    例えば、自分や世間一般でこれが普通であるけど、それが通じない相手に対しては・・・という一文。
    確かに、誰でも「これが常識」「普通」というのはあるけど、それが通じない人はいる。
    それが一般的に「変わり者」という事になるけど、それだけなら個性と言える。
    それに「悪意」がプラスされるとたちが悪い。
    結局そういう人にどう接するか・・・というと、私ならただ関わらない、避ける事しかできない。

    また、親との確執によって人格が歪められた。
    そして、自分を丸ごと受け入れて欲しいと思うようになった。
    だけど、大人は他人を丸ごと受け入れることはできない。
    ・・・という内容。
    確かにそうだと思う。

    一見、たおやかで素敵な女性に見えるコトリだけど、その心の中は満たされない思いから生まれた邪悪な思いが渦巻いている。
    無邪気なふりして人を陥れる。
    こんな女性はいるな・・・と思う。

    だけど、第三者で客観的な目から見ると、この主人公には全く好感がもてなかった。
    もちろん、コトリという癖のある女性は悪い。
    それを前提としても、この人は自分の仕事をどう思っているんだろう。
    仕事そのものよりもいつもコトリの心情ばかりおもんばかっている。
    自分の好きな仕事をして、恋人もいる。
    同僚もいい人たちで働きやすい職場。
    それなのに、何故こんなに一人の女性に振り回されてるんだろう。
    ・・・と、辛辣な目線で見ていたために、後半感情をあふれさせて泣く場面では主人公の心に共感できず冷めてしまった。

    タイトルにこだわりがあるせいか、やたらバケツが・・・雨が・・・というキーワードが出てくるのもうっとうしかった。
    主人公の女性が好きになれたらもっと違う感想になっていたかもしれない。

  • 飛鳥井さんの久々の新作。非常に面白かった。
    私が、本を読むとき往々にしてそうなのだけれど、面白い本ほど読むのが遅くなる。それは、細部まで読み飛ばせない部分が多いから、なのだけれど。
    序盤は、アパレル会社に勤める理世と理世が手掛けるブランドのデザイナーの美名のお仕事と友情の物語、と言った様相だけれど、途中から雲行きが怪しくなってくる。理世の小学生の時のエピソードが挿しこまれるけど、本当に美名って子供……というか、悪気がなさそうに装って悪意をむき出しにしているから怖いよね、と思う。
    後半は息苦しくなる展開。だけど、目が離せなくて胸が苦しくてドキドキする。
    美名の目からは理世は逃げたように映るかもしれないけど、逃げるが勝ち、腫れ物には触らない、逃げは必ずしも負けではない。
    きっと、美名はこれからもこうして生きていくんだろう。彼女はそうすることでしか他人と関わりあえないんだろうなぁ、と少し可哀想にもなるけれど。
    ページもそこそこあり、久々に読みごたえがある小説でした。柚木麻子の『ナイルパーチの女子会』とか好きならはまるのではないでしょうか。

  • 特に女性同士の人間関係となると「あるある」話だ。ここまでエキセントリックな人物ではないにしろ、こういう人間はよくいるものだ。若いころは、親友になれるかもと思った人との間に、予期に反してぎくしゃくした関係になった経験が誰にもあるのではないだろうか。以前友達が言っていた。「無邪気な人って一番たちが悪いよね。」私は大きく首肯した。自分は傷つき易い癖に他人には無神経。この話のように真相がはっきりするケースは現実には少ない。仕事上の人間関係は割り切ってうまくかわすのが常識的な処世術だろう。象徴的な題名がうまい。 

  • 読み終わったあと声を出して泣きたい衝動にかられたが、それはこの本にふさわしくないように思えて胸の中に押しとどめ、ゆっくり咀嚼して昇華した。
    主人公のアパレル会社社員の理世と才能あるデザイナーの美名。まったくタイプが違う二人なのに、読んでいると「私はどっちなのか」と揺れ動く自分がいた。共感してくれる人と癒しを求め合い、その度合いが許容範囲を超えると関係性が崩れる。人間関係はなんて危ういものなんだろう。
    途中ヒヤヒヤハラハラさせながら何も起こらない場面や、キーマンになるかと思いきやそのままフェードアウトする人物など、不安定な危うさを散りばめた作品だった。次はどうなるの?とページをめくる指が止まらず、ほぼ一気読みだった。

  • アパレルで働く理世とデザイナーのコトリのブランド立ち上げからのお仕事小説と思いきや、二人の関係が怪しくなり始め……

    可愛らしい洋服の話から始まったのに、読んでるうちにどんどん怖くなってきた。
    依存して自分のものにしようとする女子いるよね。
    そして、一度否定されると全否定されたと思っちゃう人。

    そして、被害者は自分のせいと思い詰めてしまう。
    彼氏・博喜の「怒っていい」という言葉に救われたなぁ。

  • はっきりと意地悪な人ではなく、気分的なものもあるかもしれないが、弱々しいながらも意地悪なことをしてしまう人。最初は仲がよかったのに、だんだんと相手の本当の顔が表れ、傷つけられてゆく。丁寧に書かれていて少々長く感じたが、後半になり色が変わり人間関係の怖さで集中して読めた。攻撃要素むき出しに書かれていない分、嫌な感じ、主人公の辛さが伝わったかも。コトリは因果応報でどうにかなって欲しいなあ。こういう人とは接しないに限る。

  • 自らの企画が採用される、そして「この人だ!」というデザイナーに出会える。輝かしい未来しか見えないじゃないか! などと思っていたら、こんなひどいことをされるなんて。親密すぎるってのも恐ろしい。何事も「すぎる」はちょっとやばいのかも、程々にだわ。
    本当のことがわかって、そして自分を支えてくれる人がいることで救われたな。

全34件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
1979年生まれの小説家。北海道生まれ、愛知県稲沢市育ち、神奈川県在住。
2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の文庫『タイニー・タイニー・ハッピー』が20万部のベストセラーとなる。他の代表作に『アシンメトリー』『君は素知らぬ顔で』『UNTITLED』『鏡よ、鏡』『女の子は、明日も。』『そのバケツでは水がくめない』など。

飛鳥井千砂の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする