そのバケツでは水がくめない

著者 : 飛鳥井千砂
  • 祥伝社 (2017年12月12日発売)
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635381

そのバケツでは水がくめないの感想・レビュー・書評

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  • アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、
    自らが提案した企画が採用され、
    新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。
    そんなある日、カフェに展示されていたバックのデザインに衝撃を受けた理世は、
    その作者・小鳥遊美名(コトリ)をメインデザイナーにスカウトする。
    色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。
    社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、
    やがてその親密さは過剰になっていく…。


    待望の飛鳥井さんの最新刊。
    マイミクさんのレビューで知りました。
    女性間のイヤミス物語との知識があったりですが、
    最初は理世のお仕事物語として読みつつも、理世と美名が出会い友情を育んでいく。
    この二人の間に何がどう起こっていくのか、何も起こっていない時から読むのが苦しかった。
    そして、段々不穏な空気が漂い始め、苦しさは増すばかり(笑)
    飛鳥井さんらしい、繊細な女性心理の描写がこれでもかって胸に突き刺さる。
    誰しもが、学生時代・働き始めてからも様々な人と関わって生きている。
    嫌な思いをしないで過ごしてきた人はいないのではないかな。
    そんな思い出や出来事が次々と甦ってくる。

    自分だけが元気で好き勝手やって、親しい人を傷付けながらいきている
    という美名に対する言葉が文中にあるのですが、そういう人いる!いる!
    誰しもが多面性を持ってはいると思いますが、多くの二面性や矛盾を持つ
    美名は酷すぎる。
    嘘をついてでも人を信じさせ仲良くなり、少し気に入らない事があると
    子供の様に言葉で傷付け、無邪気なふりをして素知らぬふりをする。
    人としてどうしてそういう事が出来るのか全く理解が出来ず。
    そういう人が大嫌いです。
    でも今、現在も身近にそんな刃を時々向ける人がいる。
    意識的な悪意の言葉・態度…。
    でも、そんな人でも良い所もあり現実的に周りの環境から離れてしまう事も出来ない…。

    本当に美名の様な女性は沢山います。
    悲しいけれど、多く存在します。
    理世の揺れる気持ちに、とっても感情移入してしまいました。
    美名は心が満たされないまま大人になってしまい、他人とも歪んだ形でしか関係を結べない。
    美名の満たされない心と穴のあいたバケツをうまく結び付けた
    タイトルがとっても効果的でした。
    怖いお話でした。でも、とても共感しました。
    頁を捲る手が止まらなかったです。

  • 私も主人公と同じような経験をしたことがある。
    本当に苦しくて、友達というつながりに振り回され、当時のほとんどの知り合いと縁を切ることになった。
    今は随分時間が経ったので、冷静に読むことが出来たが、もっと前なら落ち着いて読むことも出来なかっただろう。
    でも、実際にこのような人がいるということを知っていて、振り回されないよう対応することが大変だということを知っていることって大切だと思う。

  • 特に女性同士の人間関係となると「あるある」話だ。ここまでエキセントリックな人物ではないにしろ、こういう人間はよくいるものだ。若いころは、親友になれるかもと思った人との間に、予期に反してぎくしゃくした関係になった経験が誰にもあるのではないだろうか。以前友達が言っていた。「無邪気な人って一番たちが悪いよね。」私は大きく首肯した。自分は傷つき易い癖に他人には無神経。この話のように真相がはっきりするケースは現実には少ない。仕事上の人間関係は割り切ってうまくかわすのが常識的な処世術だろう。象徴的な題名がうまい。 

  • 読み終わったあと声を出して泣きたい衝動にかられたが、それはこの本にふさわしくないように思えて胸の中に押しとどめ、ゆっくり咀嚼して昇華した。
    主人公のアパレル会社社員の理世と才能あるデザイナーの美名。まったくタイプが違う二人なのに、読んでいると「私はどっちなのか」と揺れ動く自分がいた。共感してくれる人と癒しを求め合い、その度合いが許容範囲を超えると関係性が崩れる。人間関係はなんて危ういものなんだろう。
    途中ヒヤヒヤハラハラさせながら何も起こらない場面や、キーマンになるかと思いきやそのままフェードアウトする人物など、不安定な危うさを散りばめた作品だった。次はどうなるの?とページをめくる指が止まらず、ほぼ一気読みだった。

  • 中堅アパレルメーカーに転職して4年めの佐和理世。たまたま立ち寄った店で来年立ち上げる新たなレディースブランドに提案した「ヨーロッパ風レトロガーリー」にぴったりなハンドメイドなバックを見つけ、作家のkotoriさんと連絡をつけるとー

    ◆あ-…。いるね、こういう悪意なのか無自覚なのかわかんない人…。せめて答え合わせが出来て良かった、周りの人たちがとてもとてもいい人だったのも。色々思い出して自家中毒起こしそうにドロリとした思いを飲み下す…

  • アパレルで働く理世とデザイナーのコトリのブランド立ち上げからのお仕事小説と思いきや、二人の関係が怪しくなり始め……

    可愛らしい洋服の話から始まったのに、読んでるうちにどんどん怖くなってきた。
    依存して自分のものにしようとする女子いるよね。
    そして、一度否定されると全否定されたと思っちゃう人。

    そして、被害者は自分のせいと思い詰めてしまう。
    彼氏・博喜の「怒っていい」という言葉に救われたなぁ。

  • はっきりと意地悪な人ではなく、気分的なものもあるかもしれないが、弱々しいながらも意地悪なことをしてしまう人。最初は仲がよかったのに、だんだんと相手の本当の顔が表れ、傷つけられてゆく。丁寧に書かれていて少々長く感じたが、後半になり色が変わり人間関係の怖さで集中して読めた。攻撃要素むき出しに書かれていない分、嫌な感じ、主人公の辛さが伝わったかも。コトリは因果応報でどうにかなって欲しいなあ。こういう人とは接しないに限る。

  • はじめは普通の話と思ったけど、だんだん変になってきて…。
    こういうこと女子は一度はあるんじゃないかな?
    されたことは言葉にするとくだらない様な事なんだけど、積み重なって耐えられない!みたいな。
    でもひとつひとつはちいさなことで、人に言ってもなかなか伝わらない…。

    あの人を少し思い出した。
    ぜんぜん華奢でもかわいい感じでもなかったけど。

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