ひと

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 167
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

作品紹介・あらすじ

激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

そんな君を見ている人が、きっといる――。

感想・レビュー・書評

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  • さりげない気遣いや優しさに溢れている。身内がいなくなり1人になった聖輔。でも周りの人たちとの交流から閉じていた心が少しずつ開いていく。人は1人だと思う時もあるけれどそれは自分が閉じているから。いつも人はいて自分を気にしてくれていたりする。1人だと閉じて頑なになれば大切なものを失う。聖輔はたくさんの優しさに出逢い、自分の中にあるもの、周りの人たちが与えてくれているものに気づく。そのひとつひとつ、ひとりひとりがかけがえのないもので人とのつながりやその中で笑い、泣き、悩み、怒る。そういうことができたり、自分に対してしてくれる人がいるのは幸せだ。聖輔のバイト先の人たち、商店街の人たち、そして青葉。その人たちと過ごしている聖輔がすごくいい。そこには優しさがあってあたたかく包まれている。そんな空気がたくさんある。なかでも青葉との会話がいつもどの場面も楽しい。また明日からも頑張れそうなそんな時間を過ごした気分になる。とても大切な作品になった。

  • 20歳で自分1人で頑張る。助けてくれる人がいて、読んでいるこちらが救われた。

  •  不遇の中で生きていく主人公を描いた、希望に満ち溢れた内容です。
     主人公を取り巻く人達の感情がよく出ている。
     そして、主人公が成長していく姿がわかる。

     爽やかに希望に満ちた終わり方である。
     1日で読み終える。

  • 聖輔くん、人が良すぎで心配になっちゃいます。

    頑張ってほしいなぁ。

  • 少し古い感じの小説のような印象を受けたが、人が誠実に生きる様は、いつ見てもとても良い。
    人材に代わりはいるが、人に代わりはいないという言葉はとても良かった。
    コロッケに始まり、色んなものを譲ってきた主人公が最期に譲れないものを見つけたラストはキレイな終わり方だった。

  • 高校時代に父を、大学2年の夏に母を亡くした聖輔は、近しい身内がいないため、一人で生きていくことを決め、大学をやめた。…

    孤独となった聖輔の選ばなければならなかった道はかなり残酷な道。
    同じ世代の子供を持つ親としては、なんとかしてあげたいと思ってしまいます。

    でも、聖輔は、淡々と受け入れ、真面目に生きていく。
    そんな彼の周りには、次々に優しい人が現れるのですね。

    とは言え、聖輔の部屋で女の子と2人で過ごしてい剣や、お金の無心に来た母親の従兄弟のおじさんなど、モヤモヤさせられる人たちもいない訳ではなく、その辺がリアルだな感じました。

    青葉の元カレの優先席や交差点での話のような、嫌だなと思うようなことは、私も感覚が似てるなと思いながら読みました。

    人と人との繋がりが大事であることを改めて考えさせられる話。
    聖輔のこれからを応援したいと思います。

  • 20歳で天涯孤独になってしまった聖輔の、1年間の物語。
    たまたま、コロッケを先客に譲ったことで始まる新しい人生。
    茫然自失の状態から、一見流されているようで実は自分で道を選びながら一歩一歩進んでいくその真摯で前向きな姿に心の底からエールを送りたくなる。
    頼ってもいいと言ってくれる人がいることの幸せ。そしてその好意に甘えることの大切さ。
    そうだ、ひとはひとによって生かされているのだ。つながっていく縁をつなげていくこと、あぁ、私もつなげていきたい。ひととひとを。

  • 周囲の人の温かさと、主人公の強さに笑ったり泣いたり。淡々とした描写の中に、いいシーンが沢山あって。柏木くんの未来に幸あれ。

  • 舞台は東京、江東区砂町銀座。何と20年ほど前に住んでいたところ。懐かしく思いながら、確かに新入りの人間にも人情のある下町だったなぁ、とあれこれ思い出した。
    主人公がこれまた自分の子どもと年齢と被り、うちの子はこんなにしっかりしてないなぁ…と戻れない時間を思ったりもした。
    人は人ときちんと向き合えば、味方になってくれる人と繋がることができる。でも、子どもが独り立ちできるようになるまで親は元気でいないといけない、とつくづく感じた。2018.8.19

  • 田舎の母親の急死により、一人になってしまった主人公。東京の人情味あふれる商店街でアルバイトすることになる。鳥取県出身、ベーシスト、江東区在住(登場する商店街も近所)というところまで主人公と同じで自分の話のように読んだ。商店街で鳥取出身の幼なじみと偶然会うシーンがあるのだが、僕も同じようなことがこの商店街で起こったので、人生はそういう小さなドラマで成り立っているのだなと思う。店の後継を断るところに彼の世界の広がりを感じた。

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著者プロフィール

小野寺 史宜(おのでら ふみのり)
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2008年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。2018年、『ひと』で「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」2位。
著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『カニザノビー』『牛丼愛 ビーフボウル・ラヴ』『ホケツ!』『ひりつく夜の音』『太郎とさくら』『本日も教官なり』『リカバリー』などがある。本作は『その愛の程度』『近いはずの人』に続く「夫婦三部作」のラストを飾る作品である。

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