ひと

著者 :
  • 祥伝社
3.94
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本棚登録 : 5503
感想 : 652
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

作品紹介・あらすじ

激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

そんな君を見ている人が、きっといる――。

感想・レビュー・書評

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  • R3.3.27 読了。

     読後は「聖輔、がんばれ!!」って大声で声援をしたくなる。読み始めてすぐにこの世界観に引き込まれて、一気読みしてしまった。
     主人公の20歳の聖輔が両親を亡くし、失恋し、大学を中退して途方に暮れているところから物語は始まる。だけど、このお話は決して暗くならない。そこが良い。    
     また、お金は無くとも恋愛して良いとか頼っていいと言っている人に頼るのも大事だとかなどは、心にグッときた。自分で人生の幅を狭める必要はないんだ、世間体とか考えすぎなくていいんだと教えてもらった。本当に良い話だった。読み終えるのが名残惜しい。田野倉のアツアツの揚げたてコロッケが食べたーい。

     小野寺史宜さんの別の本も読んでみたい。
     

    • 虎徹さん
      この作品を読んでからというもの、コロッケを食べる時は田野倉のものだと思い込んで食べてます(笑)
      この作品を読んでからというもの、コロッケを食べる時は田野倉のものだと思い込んで食べてます(笑)
      2023/03/21
  • 両親を亡くし、大学を中退。天涯孤独となった若者の再生の物語。主人公の聖輔はすごくいいやつです。聡明でがんばり屋で優しい。
    でもこのような逆境となり、いろんなことを諦めていかざる得ない。これは相当辛いことだと思います。自分なら自暴自棄or無気力になるでしょう。
    でも聖輔はまずは生活のため惣菜屋でバイトします。惣菜屋さんの人々が温かく、もの凄く支えになってくれます。聖輔の人柄ですね。

    聖輔は現在の自分の生き方が、確実に未来に繋がっていることをしっている。だからこそ、毎日を悔いなく過ごそうとする。そこに私自身の20代を重ね合わせていました。共感すること大でした。この道でご飯を食べていくんだと無我夢中だった日々に。

    人には自分にあった道があると思います。聖輔はたまたま務めた惣菜屋が自分にあっていました。私も学生時代、いろんなバイトをしましたが向いてないものはけちょんけちょんでした。でも評価していただいたバイトもありました。これが現在の職に繋がっています。
    聖輔に好きなことを諦めないでほしい。
    日々をひたむきに生きてほしいと願いながら読み進めました。
    そして、そんな聖輔に忘れていた初心を思い出しました。読みやすくて、感動しながらあっという間に読了しました。
    ※店を持つのに必要なのは、経営力、技術そして運

  • 小野寺さんの作品は「タクジョ」に続いて2冊目。前回はタクシーで今回は惣菜屋さん。お仕事小説が得意なようだ。
    本作品は両親が亡くなり、大学を中退してアルバイトとして惣菜屋に就職すると言う悲惨な状況ながら、それを全く感じさせない。タクジョと同様に主人公が素直で淡々と日常を送っているせいなのか、深刻にならずに読み進めることが出来る。
    彼女らしきものも現れ、仕事の方も何とか先の展望が見えて来たところで終わっているので、将来の明るさも感じられて、読んだ後に心が温まって来る。

  • これで、ようやく2019年の本屋大賞ノミネート作品が全て読み終わった。

    ノミネート作品の中で一番最後になったのは、最も“人畜無害"なイメージだったから。毒にもならない本ならいつ読んでもいいや、とついつい後回しに。

    読んでみて、イメージどおりのやさしさに溢れた小説だった。でも、単に波風の立たない小説ではなかった。素直に面白かった。

    20歳の聖輔は両親を亡くし、経済的な理由で大学を辞めざるを得なくなる。そんな時 どん詰まりの中、メンチカツをおまけで安くしてくれた惣菜屋との出会いで未来が見えてくる。

    タイトルにあるとおり「ひと」についてを描いた小説。ひとはひとりでは生きていけない。じゃあ、ひととの繋がりってなんだろうか?
    ということを考えるヒントをたくさん与えてくれる、そんな本だと思った。

    若いひとは共感で涙するだろうし、年老いたひとはつかの間、若い気分を味わえる。
    遅まきながら、読んでよかった。

    それにしても、聖輔と青葉のその後がとても気になります。

  • 読み始めたら止まらなくなってしまった。
    厚さがそれなりにあったから、読む前はどうしようかと思ってたんだけど一気に読み終えてしまった。
    読み始めは「線は僕を描く」みたいな方向に行くのかなと思ってたけど、それとは全然違う方向に穏やかに優しく進んでいった。
    頼ってもいい人には頼ってもいい。一人で頑張るのもいいけど、頼れる人にはちゃんと頼る。
    色んな人に言われてたな。
    頼るって一番難しいことよね。
    でもそれをきちんと言葉にして言ってくれる人がいるって幸せなことなんだな。
    読み終えて心の中にまん丸なほわっと温かい物が残る作品だった。

  • この先、道が開けて行くこと感じさせる読後感。
    なかなか街中でのコミュニケーションが取り辛い状況にあるけど、やっぱり人との縁というのは大事なんだと思う。テンポの良く描かれていて、先が気になる展開で、一気に読んだ。

    • 虎徹さん
      小野寺さん作品は気楽な感じで読み始めたのに、気付いたら一気読み、、、がホント多いです(笑)
      小野寺さん作品は気楽な感じで読み始めたのに、気付いたら一気読み、、、がホント多いです(笑)
      2023/03/17
  • おススメされたので読んでみました。
    いゃ〜暖かい。ホッコリした。とても良い作品だった。
    結局は『ひと』なんですよね。
    無駄無く、多くを語らず、最後の1ページ最後の一言で全てを伝えた作者、素晴らしいです。
    こういう作品に自分は弱いんだって思い知らされました。

  • 世の中捨てたもんじゃ
    ないですね。

    たとえ物語のなかでも
    こんな青年に出逢える
    なら♡

    情けは人のためならず
    を地で行く聖輔くん。

    心から応援したくなる
    主人公の聖輔くん。

    あ、揚げたてコロッケ
    食べたい♪

  • なかなか20歳でここまで達観と言うか出来てる若者も居ないと思うが、そこはそれ野暮な突込みは無しで物語を楽しむ。主人公の周りには善人も、小狡い奴も、付け込もうとする奴も、ちゃっかりしている奴も様々。
    そんな中で倹しく誠実に日々を送る主人公を応援するしかない。
    最後には不覚にもウルッとキてしまったよ。


    作品紹介・あらすじ
    激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!

    母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

    そんな君を見ている人が、きっといる――。

  • こんな気持ちいい青春小説は読後感もスッキリして宜しいですね♪
    主人公の一人語りスタイルでリズムも終始良いので一気に読んでしまった。
    父の自動車事故死をなんとか乗り越えて東京の大学生になった聖輔だが鳥取に残してきた母の突然死に遭い、失意のうちに退学を決意する。早く何処かで何かを変えなくては!と焦る中たまたま出会ったコロッケ自慢の惣菜屋の求人ビラに飛びついてみたのが大きな転機になりそうな予感⁉︎この後の一年間の物語です。
    彼を取り巻く人々がとても上手く配されていて自分一人だけが取り残された感に打ち拉がれた聖輔だけれど、どっこい捨てたものではなかった!老いにも若きにもオススメの青春小説です。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野寺史宜の作品

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