ひと

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

感想・レビュー・書評

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  • 2日間で一気に読み切ってしまった。

    聖輔を取り巻く人たちのなんと優しくて温かいことか。聖輔はもっと怒っていいし、はっきり言っていいと思う部分もたくさんあったけど、それが良さであり、そういう聖輔だから頼る場所が得られたのだと思う。

    最後の一行が想像を掻き立てられて、聖輔の行く先に待つ幸せを願った。

  • 面白くて一気読み。

    なんでも譲ってきた柏木くんが、
    1歩ずつ前に進んでいく様子が、
    とても丁寧に描かれていて、
    とても幸せな気持ちになれました。
    すてきなお話だったなあ。

    ひとっていいなあ、
    私もいろんな出会いを大切に生きていきたい。

  • どんな人にも、その人なりの物語がある。
    市井の人の人情話というか、商店街の惣菜屋で働く親を亡くした青年の成長物語。
    悪意を持って近づいてくる人、好意のある人、恩人、不遜の自覚がない上からの人。不器用なりに、真摯に生きる人の姿に、共感しつつ教訓を得たり。
    主人公と同じくらいの年代に、高校や大学生の頃に読むと、一番響きそう。
    親目線で、子どもが読むといいかもねーと思えた、初小野寺作品。

  • 大好きだった学校図書館司書の先生に、「あなたの年代に読んでほしい本」と教えていただきました。大学3年、20歳の時でした。すぐに読み、人間のあたたかさに触れました。さまざまな苦しい状況の中でも、優しく、あたたかく接してくれる「ひと」がいる。そう改めて感じさせてくれる本でした。

  • 「ひと」との繋がりや不思議な縁について考えさせられました。
    思いもしない流れの中で両親を立て続けに亡くした主人公。その悲しみなどについては細かく描写はされません。でも両親の回想をしたり故郷を思い浮かべる場面で、彼の悲しみや混乱を感じました。
    急に身内がいなくなってしまった彼は、家族ではないのに彼のことを心配してくれて、手を差し伸べてくれる人たちに出会います。唯一の親戚とは疎遠になります。血の繋がりや付き合いの長さ、そういうわかりやすい測りでは「ひと」との縁は測れないんだなと感じました。
    たまたま偶然、その時の思いつきでいた場所、交わした会話が深い縁に繋がる事もある。逆に親戚として長い間関係があったはずの人が、ある瞬間から他人以上に遠い存在になる事もある。色々な事情や考えの人がいて、いい人もいれば悪い人もいる。
    今自分が繋がってる人、近くなくても好意を抱いている人の存在を大切にしたくなるような話でした。
    この主人公の青年は自分の意思ではなく環境の変化によって大きく人生が変わってしまったけれど、彼が今いる場所でどうしたらいいかを考えながら頑張っている姿にはとても勇気をもらえました。彼を大切に思ってくれる人や見守ってくれる人に支えられながら、彼の人生がいい方向に進むことを願います。

  • つい忘れがちだけど、ずっと一緒にはいられないからこそ、大切な人には気持ちを伝えて大事にしたいと思った。

    優しい人や、人情味あふれる人、うそをつく人、ルーズな人。色んな人が出てきた。主人公の聖輔は他人の気持ちを汲み取れる人。だからこそ温かい人達が周りにいるんだろう。聖輔の両親を亡くし、大学をやめても、卑屈にならないところ。父と同じ調理師を目指すところに芯の強さを感じた。自分もそうありたいと思った。

    スッと心に入ってくるフレーズが多かった。また読み返したいと思う。

    読んでる最中から、コロッケが食べたくなった。

    • 虎徹さん
      「卑屈にならない」って本当に大切なことだなと思いました(^^)
      「卑屈にならない」って本当に大切なことだなと思いました(^^)
      2023/03/17
  • 高校生の時に父親を亡くし、また母をも亡くし大学を中退せざるを得なかった主人公がお腹を満たしてくれた惣菜屋で働くことになり…

    主人公の聖輔がとても良い子。それに限る。だからみんな助けてあげたいって思う。
    けど最後も良い子すぎて…うぅ。


  • この本との出会いは、時間つぶしで立ち寄った
    駅ナカの書店。
    
    若くして両親を亡くした主人公。
    
    色々なことを諦めながら、一人で生きていこう
    とする姿に胸が締めつけられた。
    
    そんな中で、色々な「ひと」と関わりをもって
    いく。「ひと」の中には、いい人もいれば、そう
    じゃない人もいる。
    
    だからこそ、、自分を大事に思ってくれる人を
    大事に、自分が大切にしたいと思う人を大切に。
    
    そんな風に思って読み終えた。
    
    主人公が、真面目で心の優しい子だったから、
    そんな感想を抱かせてくれたのだと思う。
    
    ラストの主人公の「ひと言」には感動、、涙。
    

  • 両親を相次いで亡くして、大学も辞めざるを得なくなった青年。
    新しいバイト先で出会った人、学生の頃の友人、両親の知人など、いろいろな人に支えられて、前に進んでいく。
    積極的に支えてくれる人、さりげなく支えてくれる人…。独りぼっちに思えても、実はたくさんの人たちとのつながりの中で生きている、と実感できるストーリーでした。
    ラストで大きな決断をした主人公。その後どうなったかな。彼の思いが叶っていますように…

  • 悲しいことはもうすべて起きてしまった。

    主人公は20歳。
    けれど孤独。
    故に何も頓着しない。
    大切なものさえ、ひとつずつ手放していく。
    まるで生前整理のように。

    それが彼の悲しみの形なのだと感じました。

    そんな彼が様々な人との出会いの中で、少しずつ空っぽの心を満たしていく。
    自分は1人ではないのだと気付かされていく。

    最後、前を向いて走って、強い意思で譲りたくないと言っている姿に安堵しました。
    ようやく20代男子の姿が見えました。

    だって、僕は生きている。

    幸せになってほしいです。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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