ひと

著者 :
  • 祥伝社
3.91
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  • (7)
本棚登録 : 3371
レビュー : 396
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

作品紹介・あらすじ

激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

そんな君を見ている人が、きっといる――。

感想・レビュー・書評

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  • これで、ようやく2019年の本屋大賞ノミネート作品が全て読み終わった。

    ノミネート作品の中で一番最後になったのは、最も“人畜無害"なイメージだったから。毒にもならない本ならいつ読んでもいいや、とついつい後回しに。

    読んでみて、イメージどおりのやさしさに溢れた小説だった。でも、単に波風の立たない小説ではなかった。素直に面白かった。

    20歳の聖輔は両親を亡くし、経済的な理由で大学を辞めざるを得なくなる。そんな時 どん詰まりの中、メンチカツをおまけで安くしてくれた惣菜屋との出会いで未来が見えてくる。

    タイトルにあるとおり「ひと」についてを描いた小説。ひとはひとりでは生きていけない。じゃあ、ひととの繋がりってなんだろうか?
    ということを考えるヒントをたくさん与えてくれる、そんな本だと思った。

    若いひとは共感で涙するだろうし、年老いたひとはつかの間、若い気分を味わえる。
    遅まきながら、読んでよかった。

    それにしても、聖輔と青葉のその後がとても気になります。

  • 両親が急死してしまい、何とか独り立ちしていく20歳の男の成長の1年の物語…

    最初から不幸が続くけど、悲壮感もなく
    久々に安心して読める単純にハッピーエンドなお話!

    一番最後のページの主人公の言葉はそれを言うんだろうとわかってはいるんだけど、実際にページをめくって
    その言葉を見て、読んでみると鳥肌が立った

    読後感はとても良いサクッと読める良い小説だと思います。



  • 会話も多く、淡々とつづられていく物語は読みやすく、サクサクどんどん読み進められるほど。
    でもどこかしら心に響く言葉がちゃんと心に残っていく。
    そしてそれらが読後に蘇ってきてゆっくりじんわりきた作品だった。

    人、ご縁…
    聖輔の人柄に時には危うさも感じたけれど、やっぱり人って、その人柄が人を呼ぶんじゃないか、その人柄が縁を引き寄せるんじゃないかと感じた。

    一人じゃない、頼っていいんだよ、その言葉に聖輔はどれだけの思いが涙と共に溢れ出ただろう。
    肉親以外の人との出会いから、どれだけ多くの温かさに触れどれだけ多くのことを学んだんだろう。
    大切なもの…人に代わりはいない、譲れるものはあっても譲れない人、譲りたくない人がいる。
    この一歩にたしかな成長を感じた。

    誰かがちゃんと見ていて理解してくれて、手を差し伸べてくれる、一人じゃないよ、頼っていいんだよって言葉をくれる…そんな人の温かさが広がる、感じられる世の中だと良いな。

    • くるたんさん
      けいたん♪なるほど♪

      たしかに、私もゾッとした!ってか、部屋の合鍵渡した時点で、うーんだった。

      そしてあの女の子も私も好きじゃなかったよ...
      けいたん♪なるほど♪

      たしかに、私もゾッとした!ってか、部屋の合鍵渡した時点で、うーんだった。

      そしてあの女の子も私も好きじゃなかったよ。じゃぁ、あなたはどうなの?って言いたくなるぐらいだった。でも聖輔にはあれぐらいが良いのかもね、なんて思ったり(笑)。

      全体的に心理描写が細かくなくて会話が多かったからあまり考えさせられる間もなかったなぁ。
      読後じんわりきた感じ。聖輔の良すぎる人柄もちゃんと見ててくれた人がいるんだね、なんて思ったよ。
      なんか作者の意図にまんまとハマってしまった感じたわ、私(笑)。

      けいたん♪はすごく細かく丁寧に読んでるって、改めて思った、尊敬(* ॑꒳ ॑*)

      すごい充実した読書トークに感謝♡
      2019/03/29
    • けいたんさん
      くるたん、私の愚痴を聞いてくれてありがとうね(^-^)/

      本の感想って好き好きばかりじゃないけど、愚痴っぽいのってあまり感想には書け...
      くるたん、私の愚痴を聞いてくれてありがとうね(^-^)/

      本の感想って好き好きばかりじゃないけど、愚痴っぽいのってあまり感想には書けないので、くるたんに聞いてもらってスッキリしました(笑)

      面白くなかったわけではないです。いつもと違うジャンルを読めてよかったと思っています(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/03/31
    • くるたんさん
      全然愚痴じゃないよ♪

      こうやってここはどうだった、こう思った、とか、いろいろなこと言えるのって、リアル読書会みたいで楽しい( ˃̵͈ ˂̵...
      全然愚痴じゃないよ♪

      こうやってここはどうだった、こう思った、とか、いろいろなこと言えるのって、リアル読書会みたいで楽しい( ˃̵͈ ˂̵͈ )♡

      また同時期に(なんせ記憶が危ないから)同じ作品を読めたら、語ってねーー٩(˃̶͈̀௰˂̶͈́)و
      2019/03/31
  • ラストシーンのあまりのシンプルさに驚いたけど、すごく良いと思った。
    タイトル通り、人を描いた物語。
    読み進めるうちに、主人公 聖輔の未来を応援したくなった。あとすごくコロッケを食べたくなった(笑)

  • 文章はすごく読みやすい。取り立てて何があるわけではなく、むしろ日々の主人公の生活が淡々と描かれている。それでも主人公に色々な意味で共感出来る。市井の生活の中にこそ幸せはあるのではないか、そう思わせてくれる一冊。

  • 舞台は東京、江東区砂町銀座。何と20年ほど前に住んでいたところ。懐かしく思いながら、確かに新入りの人間にも人情のある下町だったなぁ、とあれこれ思い出した。
    主人公がこれまた自分の子どもの年齢と被り、うちの子はこんなにしっかりしてないなぁ…と戻れない時間を思ったりもした。
    人は人ときちんと向き合えば、味方になってくれる人と繋がることができる。でも、子どもが独り立ちできるようになるまで親は元気でいないといけない、とつくづく感じた。2018.8.19

  • とんでもない喪失を味わう主人公、聖輔。父親も母親もなくし、大学も中退を余儀なくされ、持っているお金もほとんどないのに、この人はいったいどうしてこんなに強く、そして他人に優しくいられるのでしょう。20歳にしては酷すぎる経験をしているというのに、彼は人生を投げやりにすることなく、自分の生きる道を必死で模索します。自分が同じ立場であったら、とてもではないが、こんなに強く生きていけないだろうと思いました。もっと怒り、もっと嘆き、もっと人生やけっぱちになってもおかしくなんてない。でもこの主人公は、本当に素直に真っすぐに育ち、どんなに自分が苦しい状況でも他人のことを思いやれる素敵な青年でした。

    世の中の必然でしょうか、そんな彼に金をたかりに来る親戚、上から目線の一つ年上の慶応ボーイ、大学で同じバンド仲間だったのに部屋を悪利用する友人。読んでいるだけで、代わりに自分がぶっ飛ばしてやろうかと思ってしまうぐらいの連中に主人公はどんどんつけこまれていきます。

    しかし、これもまた世の中の真実なのが、「類は友を呼ぶ」という法則。こんなに心が清らかな青年、一生懸命に自分の運命を受け止めて前に進もうとする人間には、必然と応援する人間が表れてきます。主人公は、自分でも気が付かないうちにとっても暖かい仲間に囲まれながら少しずつ着実に成長していきます。

    後半は特に感情移入してしまいました。「もっとやったれー!」「しばいたれ!」「そこで彼女にアタックせんかいな!」 一人突っ込みの嵐でした。でも最後の最後、素敵な素敵なエンディングが待っていました。あぁ、世の中って捨てたもんやないんやな、この青年に負けんように、自分もがんばらないかんな、、そんな熱いものが喉まで込み上げてくる、そんな素敵な青年の成長物語でした。

    • まことさん
      kanegonさん。こんにちは。PC買い替えになってしまいましたが、とりあえず古いのを使っています。。。
      そして、ごめんなさいっ!先日PC...
      kanegonさん。こんにちは。PC買い替えになってしまいましたが、とりあえず古いのを使っています。。。
      そして、ごめんなさいっ!先日PCの調子悪い時に無理にいじったせいか、kanegon69さんのフォローのチェックがはずれていました。故意にはずしたりは絶対にしないのですが、機械ってわからないです。
      改めましてフォローさせてください。どうぞよろしくお願いします。
      「ひと」は本屋大賞2位で惜しかったです。
      瀬尾さんの本は、図書館、予約待ちでまだ読んでいないです。
      2019/05/04
    • kanegon69 さん
      まことさん、大変ですねぇ。コメントありがとうございます。PC買い替えとはこれまた手間がかかりますね。(ちなみに私はPC・スマホ併用です)
      ...
      まことさん、大変ですねぇ。コメントありがとうございます。PC買い替えとはこれまた手間がかかりますね。(ちなみに私はPC・スマホ併用です)

      私はブクログではUIの加減で(UIほんと良くない!)、他人とつながったり、他人のレビューを見るのが難しいと感じていて、半分あきらめています。なので、いいね!を押していないとか、フォローから誰が外れたとか全然チェックしていないですし、また気にもしていないです。なので気楽にお付き合いください。

      瀬尾さんの本は読み始めています。あいかわらず穏やかでほっこりする話ですね。いずれレビューあげます。

      「ひと」はとてもよかったです。この方、大きな展開がないストーリーなのに心理描写がうまいですね。感心してしまいました。エンディングの最後の一ページの演出も素敵でした。

      今後ともよろしくお願いします。
      2019/05/04
    • まことさん
      kanegon69さん。
      お返事ありがとうございます。
      PCのトラブルがあるとつい神経質になってしまいいろいろとごめんなさい。
      私も、...
      kanegon69さん。
      お返事ありがとうございます。
      PCのトラブルがあるとつい神経質になってしまいいろいろとごめんなさい。
      私も、瀬尾さんの順番、次みたいなので、楽しみにしています。
      新しいPCになってから、私も書きたいと思っています。
      2019/05/04
  • 「僕は二十一歳。
    急がなくていい。一つ一つだ。

    急がないが、とどまらない。
    そんなふうにやっていけたらいい。

    先は大事。でも今も大事。
    先は見なければならない。
    でも今も疎かにしたくない。

    だって僕は、生きてる。」
    (294ページ)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    柏木聖輔、21歳。

    3年前に父を亡くし、大学2年で母を亡くした。
    人生には、まったく予想できないことがおこるものだ。

    大学を辞め、お惣菜屋でアルバイトをする毎日。
    日々はまわる。
    僕の人生も、すこしずつ進んでいく。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    小野寺史宣さんの小説を読むのは、「近いはずの人」に続いて2作目です。
    そして読み終えて「読んでよかったな」と率直に思えたのが、この「ひと」という物語でした。

    主人公・聖輔の目線で語られる物語は、淡々としていますが地に足がついていて、すごく心地よいです。
    冷静でおだやか、優しい聖輔ですが、でも日々の出来事に流され続けるのではなく、日々の小さな小さな選択を、おろそかにはしません。
    自分の身に起こったことの責任を、誰かに押しつけたり、悩み続けたりもしません。
    自分の頭で考え、選んだ小さな道を一方的一歩、踏みしめながら歩いていく聖輔の姿に、人生の歩み方を教えてもらった気がしました。

    このお話では、社会をにぎわすようなハデな大事件も起こらないし、ここが見せ場!というようなこともありません。
    そこにあるのは聖輔の、嘘いつわりのない、日常だけです。
    だけども、読んでいると聖輔を応援している自分に気がつきます。

    でっかい一歩より、小さな一歩を。
    日々の小さな選択を大切に、とどまらず、小さく歩んでいく。

    そんな風に、日常をしっかり生きている人に、出会えた本でした。

  • 本屋大賞の候補作なので読みました。
    初めての作家さんです。
    他にも候補作を読んで、これで5作目ですが、今のところ私はこの作品が1番好きでした。

    主人公の柏木聖輔は十七歳で父を交通事故で失くし、二十歳で、母親も突然死してしまいます。
    手元にあったお金の150万円のうち60万円は親戚に騙しとられ、残金が90万しかなく、大学を中退します。
    そして、ちょっとした縁があった惣菜屋の「おかずの田野倉」で調理師を目指して働き始めます。

    聖輔の父は四十七歳で亡くなってしまいますが、私の父も五十歳代で突然死したので、聖輔の不安な気持ちはとてもよくわかります。
    頼るものがなくなって、いきなり一人で世の中に放り出されたら本当に心もとないだろうと思います。
    私は、もうただ泣いてばかりいましたが、聖輔は自分の力で、折れることもなく、目標を持って、自立していこうと考えて進むのが立派です。
    「清貧」という言葉が浮かびました。
    だから、聖輔の人間性に「ひと」が集まってきて助けてくれるようになったのだと思います。

    個人的な思い入れ度から、本屋大賞、受賞して欲しいです。

    • kanegon69 さん
      わぁ、またしても読みたい本が、、日本って素敵な国です。素敵な作家さんがいっぱいですものね^ ^
      わぁ、またしても読みたい本が、、日本って素敵な国です。素敵な作家さんがいっぱいですものね^ ^
      2019/03/30
    • まことさん
      kanegon69さん。
      本当に日本は作家さんに恵まれていますよね。
      kanegon69さんのレビューを参考に、今、マハさんの本を図書館...
      kanegon69さん。
      本当に日本は作家さんに恵まれていますよね。
      kanegon69さんのレビューを参考に、今、マハさんの本を図書館に予約中です。
      今週は図書館が整理休館なので、来週受け取りに行く予定です!
      2019/03/31
  • 聖輔くんには、幸せになってほしい。
    そう願わずにはいられないです。

    両親を立て続けに亡くし、経済的な事情から大学を中退せざるをえなくなった聖輔くん。
    縁あってお惣菜屋さんでアルバイトを始めることになり、お父さんと同じ調理師を目指すという夢を見つけます。

    ひとりぼっちになってしまったと思っていたけれど、気付けば聖輔くんの周りはあたたかい人たちで溢れていました。
    けれどそれは、聖輔くん自身が真面目で優しい人柄であるからこそ、自然と愛される存在になるのでしょう。

    夢も、恋も、得意だったベースも、全部を諦めることなんてしなくていい。
    これから先の長い人生、楽しいことをいっぱいいっぱい見つけてほしいです。


    そして私の、熱々のコロッケとメンチカツを食べたい欲をどうにかしてくれー!(笑)

    • たけさん
      おはようございます。
      確かに、熱々のコロッケとメンチカツがむしょーに食べたくなる本ですよね(笑)
      おはようございます。
      確かに、熱々のコロッケとメンチカツがむしょーに食べたくなる本ですよね(笑)
      2020/09/04
    • ナッツさん
      たけさん
      ですよねー!夜中にこの本を読んでると、軽い飯テロでした笑
      ビールと一緒に流し込みたーい!って、何度思ったことか…
      たけさん
      ですよねー!夜中にこの本を読んでると、軽い飯テロでした笑
      ビールと一緒に流し込みたーい!って、何度思ったことか…
      2020/09/04
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著者プロフィール

1968年、千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞。08年、第3回ポプラ社小説大賞優秀賞受賞作の『ROCKER』で単行本デビュー。他の著書に『ひりつく夜の音』『リカバリー』『ひと』『それ自体が奇跡』『本日も教官なり』『太郎とさくら』『夜の側に立つ』『ライフ』『縁』『まち』「みつばの郵便屋さん」シリーズなど。

「2020年 『本日も教官なり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野寺史宜の作品

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