ひと

著者 :
  • 祥伝社
3.91
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本棚登録 : 1767
レビュー : 212
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635428

作品紹介・あらすじ

激しく胸を打つ、青さ弾ける傑作青春小説!

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師の父。女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の大学に進ませてくれた母。――その母が急死した。柏木聖輔は二十歳の秋、たった一人になった。全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の総菜屋で、買おうとしていた最後に残った五十円コロッケを見知らぬお婆さんに譲った。それが運命を変えるとも知らずに……。

そんな君を見ている人が、きっといる――。

感想・レビュー・書評

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  • 柏木聖輔、両親を亡くし、大学をやめた二十歳の秋。

    「いいことがありますように。というか、もういやなことがありませんようにって。」
    聖輔のその気持ち凄くよくわかる。いやなことって続くし、重なるし。

    聖輔はたったひとりになってしまったけど、色んなご縁がどんどん広がってもうひとりっきりではない。周りを見れば親切な人がたくさんいる。誰かと話せることの幸せを感じる。

    「大切なのはものじゃない。形がない何かでもない。人だ。人材に代わりはいても、人に代わりはいない。」
    この文章凄く心に響く。忘れたくない。

    全体的に重苦しくはなく前向きな気持ちで読める。いい言葉もたくさんある。
    ほっこり軽い読書がいいなと思う時におススメです。
    ただ、全体的にちょっと淡白で、ガッツリ読みたい時には物足りなさを感じるかも。


    難しいとは思うけど、私は、大学をやめて欲しくなかった。
    奨学金は確かに借金で、そこは重要な部分。もちろんよく考えないといけない。
    だけど本来、奨学金は聖輔みたいな人の為にあるものではないかとも思う。
    借りる金額も選べるし、真面目な聖輔ならきちんと返せたと思う。
    大学名もバッチリ書いてあって、授業料など年間いくらかかるか見てみたけど、お母さん凄く苦労して大学に行かせてくれていたと思う。もう少し辞める時の苦悩を描いて欲しかった。

    友達に、合鍵を渡し部屋を自由に使わせる、貯金額(100万円)を簡単に教える、ラインのIDを大声で教える。
    これからひとりで生きていくのに危機管理もなってなくて 心配。いい子過ぎる、聖輔は。

    青春小説があまり得意なジャンルではないのでちょっと辛口な部分もあるけど、いつもと違うジャンルを読めて良かった。本屋大賞に感謝。

    • けいたんさん
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/

      もうお母さん目線だから厳しくなっちゃった(笑)
      でも、本当にいい言葉もあるのでいい読書に...
      くるたん♪

      こんばんは(^-^)/

      もうお母さん目線だから厳しくなっちゃった(笑)
      でも、本当にいい言葉もあるのでいい読書になると思うよ。

      青葉って女の子がちょっと好きになれなくて、くるたんが読んだら聞いてほしいわ(*≧艸≦)
      それと合鍵を貸した友達がしたこと。
      このふたりが青春小説って感じね。

      コロッケも書きたかったんだけど、もうすでに長くなったので我慢した(笑)
      好きな文章がもうひとつ。
      「揚げ。たぶん、人類がしたなかでもかなり高度な部類の発明。」
      揚げ物のことね。コロッケをサクサクしたくなること間違いなし✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。
      2019/03/11
    • くるたんさん
      なるほどね♡

      私も母目線になりそうよ(⁎˃ᴗ˂⁎)

      今月中には読めそうよー♪
      なるほどね♡

      私も母目線になりそうよ(⁎˃ᴗ˂⁎)

      今月中には読めそうよー♪
      2019/03/11
    • けいたんさん
      くるたん♪

      私たちやっぱり母目線よね(*≧艸≦)
      今月中!それは楽しみ♪
      私は今知念さん、早く読み終わりたいわ(^-^)/
      くるたん♪

      私たちやっぱり母目線よね(*≧艸≦)
      今月中!それは楽しみ♪
      私は今知念さん、早く読み終わりたいわ(^-^)/
      2019/03/11


  • 会話も多く、淡々とつづられていく物語は読みやすく、サクサクどんどん読み進められるほど。
    でもどこかしら心に響く言葉がちゃんと心に残っていく。
    そしてそれらが読後に蘇ってきてゆっくりじんわりきた作品だった。

    人、ご縁…
    聖輔の人柄に時には危うさも感じたけれど、やっぱり人って、その人柄が人を呼ぶんじゃないか、その人柄が縁を引き寄せるんじゃないかと感じた。

    一人じゃない、頼っていいんだよ、その言葉に聖輔はどれだけの思いが涙と共に溢れ出ただろう。
    肉親以外の人との出会いから、どれだけ多くの温かさに触れどれだけ多くのことを学んだんだろう。
    大切なもの…人に代わりはいない、譲れるものはあっても譲れない人、譲りたくない人がいる。
    この一歩にたしかな成長を感じた。

    誰かがちゃんと見ていて理解してくれて、手を差し伸べてくれる、一人じゃないよ、頼っていいんだよって言葉をくれる…そんな人の温かさが広がる、感じられる世の中だと良いな。

    • くるたんさん
      けいたん♪なるほど♪

      たしかに、私もゾッとした!ってか、部屋の合鍵渡した時点で、うーんだった。

      そしてあの女の子も私も好きじゃなかったよ...
      けいたん♪なるほど♪

      たしかに、私もゾッとした!ってか、部屋の合鍵渡した時点で、うーんだった。

      そしてあの女の子も私も好きじゃなかったよ。じゃぁ、あなたはどうなの?って言いたくなるぐらいだった。でも聖輔にはあれぐらいが良いのかもね、なんて思ったり(笑)。

      全体的に心理描写が細かくなくて会話が多かったからあまり考えさせられる間もなかったなぁ。
      読後じんわりきた感じ。聖輔の良すぎる人柄もちゃんと見ててくれた人がいるんだね、なんて思ったよ。
      なんか作者の意図にまんまとハマってしまった感じたわ、私(笑)。

      けいたん♪はすごく細かく丁寧に読んでるって、改めて思った、尊敬(* ॑꒳ ॑*)

      すごい充実した読書トークに感謝♡
      2019/03/29
    • けいたんさん
      くるたん、私の愚痴を聞いてくれてありがとうね(^-^)/

      本の感想って好き好きばかりじゃないけど、愚痴っぽいのってあまり感想には書け...
      くるたん、私の愚痴を聞いてくれてありがとうね(^-^)/

      本の感想って好き好きばかりじゃないけど、愚痴っぽいのってあまり感想には書けないので、くるたんに聞いてもらってスッキリしました(笑)

      面白くなかったわけではないです。いつもと違うジャンルを読めてよかったと思っています(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2019/03/31
    • くるたんさん
      全然愚痴じゃないよ♪

      こうやってここはどうだった、こう思った、とか、いろいろなこと言えるのって、リアル読書会みたいで楽しい( ˃̵͈ ˂̵...
      全然愚痴じゃないよ♪

      こうやってここはどうだった、こう思った、とか、いろいろなこと言えるのって、リアル読書会みたいで楽しい( ˃̵͈ ˂̵͈ )♡

      また同時期に(なんせ記憶が危ないから)同じ作品を読めたら、語ってねーー٩(˃̶͈̀௰˂̶͈́)و
      2019/03/31
  • こんなしっかりしてる21歳がいるなんて。
    いろんな事があったからなのかな。
    人生何があるかわからないって教訓。
    親が時期をずらして亡くなっちゃうとか。
    遠い親戚だった人がお金を求めてくるとか。
    大学を辞めざるを得なくなるとか。

    でも、人生悪い事ばかりじゃない。
    お総菜屋さんとの出会いは本当に運命。ご縁だった。
    そこから彼の人柄もあるが、いい方向に向かってる。
    これからのために辞めると言っても、これからも頼ってくれっていう店主の言葉に泣けた。

  • 聖輔が翼を広げ飛び立とうと、一歩踏み出したところで終わった
    なんと余韻を残した素敵な終わり方だろう!
    続きが読みたい!
    しかし、続きはそれぞれの読者の方で描いてくださいということだろうか

    そして、なんと静かで力強く温かい物語だろうか!

    父を亡くし、母を亡くしひとりぼっちになってしまった柏木聖輔
    でも、ひとりきりじゃなかった
    鳥取にも、銀座にも。 新習志野にも、南砂町にも親切な人はいた

    随所に出てくる人の温かさ、その度に涙が出た

    なけなしの50円で分けてもらった揚げたてのメンチカツ、カリカリの衣で上あごが擦れる
    このあつさは、人情のあつさだ

    「そんなことで礼を言わなくていい。聖輔は人に頼ることをおぼえろ」
    と、言ってくれる惣菜屋 田野倉の大将

    「一人でがんばることも大事。でも頼っていいと言っている人に頼ることも大事」
    と、そっと白い封筒を差し出してくれるいよ子さん

    そして、何より200円のあらかわ遊園を一緒に楽しんでくれる井崎青葉がいる

    17歳のときに父が亡くなり、、20歳のときに母が亡くなった。
    悲しいことはもうすべて起きてしまった。
    この先泣くことはないだろうと思っていた。
    ちがった。21歳で僕はあっけなく泣いた。
    悲しくなくても涙は出る。

    僕は21歳。急がなくていい。一つ一つだ。急がないがとどまらない。そんなふうにやっていけたらいい。先は大事。でも今も大事。先は見なければいけない。でも今も疎かにしたくない。
    だって僕は、生きてる。

    がんばれ、柏木聖輔!と心からの声援を送りたくなった


  • とんでもない喪失を味わう主人公、聖輔。父親も母親もなくし、大学も中退を余儀なくされ、持っているお金もほとんどないのに、この人はいったいどうしてこんなに強く、そして他人に優しくいられるのでしょう。20歳にしては酷すぎる経験をしているというのに、彼は人生を投げやりにすることなく、自分の生きる道を必死で模索します。自分が同じ立場であったら、とてもではないが、こんなに強く生きていけないだろうと思いました。もっと怒り、もっと嘆き、もっと人生やけっぱちになってもおかしくなんてない。でもこの主人公は、本当に素直に真っすぐに育ち、どんなに自分が苦しい状況でも他人のことを思いやれる素敵な青年でした。

    世の中の必然でしょうか、そんな彼に金をたかりに来る親戚、上から目線の一つ年上の慶応ボーイ、大学で同じバンド仲間だったのに部屋を悪利用する友人。読んでいるだけで、代わりに自分がぶっ飛ばしてやろうかと思ってしまうぐらいの連中に主人公はどんどんつけこまれていきます。

    しかし、これもまた世の中の真実なのが、「類は友を呼ぶ」という法則。こんなに心が清らかな青年、一生懸命に自分の運命を受け止めて前に進もうとする人間には、必然と応援する人間が表れてきます。主人公は、自分でも気が付かないうちにとっても暖かい仲間に囲まれながら少しずつ着実に成長していきます。

    後半は特に感情移入してしまいました。「もっとやったれー!」「しばいたれ!」「そこで彼女にアタックせんかいな!」 一人突っ込みの嵐でした。でも最後の最後、素敵な素敵なエンディングが待っていました。あぁ、世の中って捨てたもんやないんやな、この青年に負けんように、自分もがんばらないかんな、、そんな熱いものが喉まで込み上げてくる、そんな素敵な青年の成長物語でした。

    • まことさん
      kanegonさん。こんにちは。PC買い替えになってしまいましたが、とりあえず古いのを使っています。。。
      そして、ごめんなさいっ!先日PC...
      kanegonさん。こんにちは。PC買い替えになってしまいましたが、とりあえず古いのを使っています。。。
      そして、ごめんなさいっ!先日PCの調子悪い時に無理にいじったせいか、kanegon69さんのフォローのチェックがはずれていました。故意にはずしたりは絶対にしないのですが、機械ってわからないです。
      改めましてフォローさせてください。どうぞよろしくお願いします。
      「ひと」は本屋大賞2位で惜しかったです。
      瀬尾さんの本は、図書館、予約待ちでまだ読んでいないです。
      2019/05/04
    • kanegon69 さん
      まことさん、大変ですねぇ。コメントありがとうございます。PC買い替えとはこれまた手間がかかりますね。(ちなみに私はPC・スマホ併用です)
      ...
      まことさん、大変ですねぇ。コメントありがとうございます。PC買い替えとはこれまた手間がかかりますね。(ちなみに私はPC・スマホ併用です)

      私はブクログではUIの加減で(UIほんと良くない!)、他人とつながったり、他人のレビューを見るのが難しいと感じていて、半分あきらめています。なので、いいね!を押していないとか、フォローから誰が外れたとか全然チェックしていないですし、また気にもしていないです。なので気楽にお付き合いください。

      瀬尾さんの本は読み始めています。あいかわらず穏やかでほっこりする話ですね。いずれレビューあげます。

      「ひと」はとてもよかったです。この方、大きな展開がないストーリーなのに心理描写がうまいですね。感心してしまいました。エンディングの最後の一ページの演出も素敵でした。

      今後ともよろしくお願いします。
      2019/05/04
    • まことさん
      kanegon69さん。
      お返事ありがとうございます。
      PCのトラブルがあるとつい神経質になってしまいいろいろとごめんなさい。
      私も、...
      kanegon69さん。
      お返事ありがとうございます。
      PCのトラブルがあるとつい神経質になってしまいいろいろとごめんなさい。
      私も、瀬尾さんの順番、次みたいなので、楽しみにしています。
      新しいPCになってから、私も書きたいと思っています。
      2019/05/04
  • 特に大きな動きがあるわけではなく、現実にありそうな日常を外部から見ている感じ。

    なのにとても面白い。
    厳密に言えば、面白いというよりとても良い作品だった。

    文章としても読みやすく、また登場人物もキャラクターがそれぞれ個性的で良かった。

    なんか読み終わった後、前向きになれる作品でした。

  • 文章はすごく読みやすい。取り立てて何があるわけではなく、むしろ日々の主人公の生活が淡々と描かれている。それでも主人公に色々な意味で共感出来る。市井の生活の中にこそ幸せはあるのではないか、そう思わせてくれる一冊。

  • 3年前に父親を亡くし 母も死んでしまって東京にひとりぼっち、天涯孤独な柏木聖輔。
    砂町銀座の総菜屋のコロッケが縁で、ひと と繋がっていくっていうイイ話。

    なんだろう、昭和っぽい。寅さんみたいな、人情モノ。
    悪いヤツ、嫌なヤツも出てくるには出てくるが、惣菜屋さんや”砂町銀座の人々”がイイ人。
    同郷の同級生もイイ人。
    そもそも 柏木聖輔くんがめちゃくちゃ道徳的な人。
    天涯孤独で 一文無しでも コンビニも牛丼屋も我慢して働いて自活していく ................ うーん ............

    ベースを諦めるくだりは、よかったんだけれど、弦をさっさと取り替えてしまう違和感。
    取り替えてあげるのはわかるんだけど、800円のラーメンが月に一度の贅沢ってコが、ベース弦セットをパッと買ってしまう現実味の薄さよ。

    道徳の教科書だよなぁ.........

  • 両親を亡くし、大学を辞め働き始める聖輔。コロッケを買おうとしたことがきっかけとなりその総菜屋に勤めることになった。親戚や金の問題、高学歴の大学生の言動に苦しみながらも、父を追い、真面目に生きてゆく聖輔。人の縁、ひとそのものを映し出す内容、淡々としながらじんわりくる。苦しい中でも卑屈にならずに生きてゆく姿に力をもらえた。聖輔を助けてくれる人たちの想い、暖かい。現実世界では、暖かい人たちに出会えるなんてないかもしれない、でも正直に地道に歩んでいけば人とのつながりで開けてゆけそうだと希望を持たせてくれた一冊。

  • 小野寺さんの本は5冊目です。

    本屋大賞第2位のこの本。
    いやぁ〜、良かった!
    個人的には1位です。
    本屋大賞だけでなく、最近読んだ本の中ではダントツで1位。
    私好みの本です。

    ちょっとしんどい時。
    気持ちが沈んでしまいそうな時。
    元気をもらえる一冊です。
    ずっと手元に置いておきたい、久々にそう思う本に出会えました。

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著者プロフィール

小野寺 史宜(おのでら ふみのり)
1968年千葉県生まれ。2006年「裏へ走り蹴り込め」で第86回オール讀物新人賞を受賞してデビュー。2008年『ROCKER』で第3回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。2018年、『ひと』で「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」2位。
著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『カニザノビー』『牛丼愛 ビーフボウル・ラヴ』『ホケツ!』『ひりつく夜の音』『太郎とさくら』『本日も教官なり』『リカバリー』などがある。本作は『その愛の程度』『近いはずの人』に続く「夫婦三部作」のラストを飾る作品である。

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