ランチ酒 おかわり日和

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 621
レビュー : 84
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635664

感想・レビュー・書評

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  • バツイチ・アラサーの”見守り屋”犬森祥子の『ランチ酒』続編。
    「まっすぐ帰ってもいいんだが、こういう日は一杯飲んで帰りたいよね」
    仕事帰りにこう思う気持ちはとてもよく分かる。
    たとえそれが昼日中であったとしても。

    深夜から朝にかけて依頼主の要望に応じて寝ずの番をする”見守り屋”の祥子がひと仕事終えた後、ランチを選ぶ基準はズバリ、酒に合うか合わないか、のみ。
    とはいえ、ランチタイムに選ぶメニューだけあって選択肢は焼き鳥丼、グラタン、ハンバーグ…と酒の肴とは言い難いこってり系。
    ご飯とお酒の組合せにもちょっと驚きだ。
    前回同様、祥子の最大の魅力は実に美味しそうに飲み食いすること。
    食レポが上手すぎて読んでいてお腹が何度も鳴った。

    もちろん食レポばかりが上手い訳ではない。
    さっぱりしていて押し付けがましくなく、聞き上手な祥子は”見守り屋”に向いている。
    だから静まり返った寂しい真夜中でも、たとえそれが初対面の相手であったとしても共に一晩過ごすことができるのかも。
    深夜に見守らなければならないお客はみな少々ワケありな人達ばかり。
    下はクールで大人びた女子中学生から上は病院通いのお婆ちゃんと幅広い。
    祥子が見守ったからといって、人知れず抱える問題がすぐに解決はしないのだけれど、側でそっと見守り寄り添って、話に耳を傾けてくれる安心感は、寂しい夜でもほんのり温めてくれる。
    まるで暗闇の中に灯したランタンのように。

    物語のラストがとても気になる終わり方。
    祥子がこの後どうなったのか、この続きが知りたい。

  • 「ランチ酒」の続編
    やたら食べ、飲む描写ばかりが多くて、ちょっとなと思っていた前編と違って、俄然面白くなっていた

    そのわけははっきりしている
    見守り屋としてかかわった人との関係が見守りだけにとどまらず、いろいろ広がったからだ

    言い方をかえれば、お節介、その人の生活に首を突っ込むようになったからだ
    社長の亀山の言い方で言えば、
    「それは見守り屋の仕事ではない!」
    と言うことになる

    いろんな孤独を抱えた訳ありの依頼人
    その人たちの孤独を「寂しいんでしょ」の一言で片付けるのは、「暇なんでしょ」「バカなんでしょ」とかの言葉と同様、その先の言葉をすべて封じてしまう。何も生まない

    寂しいのは当たり前で、その中で何かを求めている彼らに、自分ができることはないのかと、一歩近づいていった祥子

    余命幾ばくもないグルメ作家先生
    施設に入った元子さん
    SNSでのいじめに苦しむ小松実咲・・・
    編集長の小山内からの静かで誠実なプロポーズ
    政治家秘書の角谷との気になる関係

    いろんな人々との関わりが祥子をとても素敵な女性に成長させていった
    もちろん離れて暮らす明里の母としても、悩みながら一回りも二回りも大きくなっていた

    そんな祥子だが、一仕事を終え、今日は何を食べようかと悩み考える姿は、相変わらず真剣そのものでおもしろい
    祥子のランチを選ぶ基準はただ一つ。酒に合うか、合わないか。迷いがない

    今回もヨダレが出そうなおいしいランチがいろいろ出てきたが、私が一番気になったのは、御殿場のハンバーグ専門のファミレスのハンバーグ

    鉄板に赤い肉汁が出てくるのをジュージュー押しつけて、焼きながら食べるハンバーグ。食べたいよー
    ブク友さんのレビューによれば、実際にある店、検索しながら読むのも楽しいとか・・・


  • この著者は初めて。
    主人公はバツイチ、アラサーで離婚相手に娘を取られてしまった女性。
    幼馴染の会社で「見守り」なる仕事をしている。色々な事情の人を相手に夜間から朝まで見守って、夜勤明けにランチで軽く酒を飲むのが楽しみ。
    女版孤独のグルメみたいな感じだが、こちらの方が色々な悩み事が付いて回る。
    食べることで気力が湧いてきたり、迷ったり、考えたり。本書はシリーズの2で、思いの外面白かったので1も読んでみようと思う。

  • 夜間だれかを見守るその名も「見守り屋」を生業としている主人公のかけがえのない楽しみは、ランチタイムの食事とお酒。離婚した夫と残してきた娘や、おなじみの常連のお客の様子に感情を揺らしつつも、今日も美味しいお昼ごはんを食べにゆく。
    ……食べることは生きること、というイメージをより強く感じた今回の続編でした。なにはともあれ、お腹を美味しいもので満たすことで、緊張や苦痛がふわっと和らぐこともある。ときには、それが他人を動かすこともある。ひとにとって欠かせない食事は、栄養を摂るだけでなくそういった「パワー」をも得られる、だから欠かせないものでもあるのかもしれない、と思うのでした。
    主人公が食べているのが高級グルメというわけでなく、だれでもふらっと食べられそうなものばかり、というのも親近感がありますし、食べたくなるものばかりです。静岡県の某ハンバーグは本当にいつか食べたいとずっと思ってますし…角煮カツ丼なんて手間暇かけた欲の権化ではと思う魅力があります。

    とはいえ自分はおなかは丈夫ではないので、実際にはあまりばくばくとは食べれません。でも、美味しく食べる物語やドラマがとても好きです。だから、やはり、ものを美味しく楽しく食べている人からは、プラスのエネルギーを得られるからなのでは、と思うのです。

  • 犬森祥子は、昔の同級生・亀山太一が代表を務める会社で『見守り』という仕事をしている。
    夜間の仕事が主で、仕事終わりに何かお腹に入れて身体の疲れを癒し、アルコールで一息ついて心をほぐす。
    別れた夫との間に一人娘の明里(あかり)を残してきており、食事をしながら考えるのは、明里のこと、見守りの仕事で出会った人たちのこと。

    クライアントのプラーベートには立ち入らない、というスタンスの祥子だったが、最近増えた若い人たちの見守りでは、子供を持つ立場だからか、なんとか救ってあげたいと気がかりに思うことも。
    仕事で出会ったのがきっかけで、繋がりが深くなっていく人たちも何人かいる。
    貴重なアドバイスをもらったり、祥子の方が気持ちを救ってもらったり、恋の予感も?
    ただ、恋に関しては、娘の明里の気持ちを最優先にしたい祥子は、自分に我慢を強いている…のではないかと思う。

    末期癌の女性作家に、食べた物のことを話す仕事が、特に今回、祥子に影響を与えたのではないかと思う。
    「今、手の中にあるものがいつまでもあると思ってはいけない。恋愛もそう。」
    実際の築地と豊洲を見て、祥子にも腑に落ちる物があった。
    さて、メニューにアルコールのない店に入った祥子。
    変化の予兆だろうか?

    第一酒 表参道 焼き鳥丼
    第二酒 秋葉原 角煮丼
    第三酒 日暮里 スパゲッティーグラタン
    第四酒 御殿場 ハンバーグ
    第五酒 池袋・築地 寿司、焼き小籠包、水炊きそば、ミルクセーキ
    第六酒 神保町 サンドイッチ
    第七酒 中目黒 焼き肉
    第八酒 中野 からあげ丼
    第九酒 渋谷 豚骨ラーメン
    第十酒 豊洲 寿司

  • 待望の続編、本当に嬉しい!焼き鳥丼に角煮丼、水炊きそばなどなど…今回もそそられるランチ&酒のオンパレードで、飯テロ!中でも一番そそられたのは、静岡だけで展開されているチェーン店のハンバーグ。以前テレビで見たことがあるが、改めて活字で読むと、食べたくてたまらなくなる!(すぐに行って食べられる、というわけではないから余計に…!)
    飯テロで困るなぁ、なんて思いながらちびちび読み進めていたのに、主人公の祥子が「見守り屋」として関わる人々とのストーリーが面白すぎて、途中からは一気読み。前作ではふわっと終わらせていた、あの人やこの人とのその後も描かれており、色々とシビアな面も覗かせる。SNS絡みのトラブルの描写は、原田さんが他の作品でも書かれていることもあって、考えさせられた。
    第三弾、出ますかね…。出たら嬉しいな。

  • ふぅ、今回も美味しそうな食べ物が沢山出てきた。
    最近ラーメンは苦手になったので、それ以外は食べたい!
    から揚げ食べたい。焼肉食べたい。角煮丼食べたい(笑)

    祥子さんの事、仕事の事、食べ物の事。
    この3つがうまい具合に混ざり合っていい感じでした。
    意外と祥子さんくらいの年齢ってモテキのような気がします。
    続きもあるかな~

  • ランチ酒の続編。

    焼小籠包、トンカツ丼、ハンバーグ、ラーメン、焼肉、からあげ丼……
    昼間からのお酒はおいしそう。

    夜中に付き添ってもらないといけない人たちの抱えている悩みとランチ酒のバランスが程よい。

    久しぶりに小説読めた。
    読書のリハビリにも丁度よかった。

  • 孤独のグルメみたいでおもしろかった。
    静岡のさわやかのげんこつハンバーグが出てきてうれしかったです。

  • グルメ系小説に滅法弱いので、おもしろそうなタイトル~と思って手に取った。で、ブクログに登録する為にタイトル検索して知った。あ、これ続編なのね…。
    でも前作を知らずに読んでも特に支障なし。正直想像していた感じとは違ったけど、でも美味しそうに食べるご飯描写は最高だし、最初は面倒そうな人間模様…?と思った人との繋がりも、最後にはきれいにまとまって読み応えがあった。
    これが続編ということは、また続きが出るのかなぁ。きれいな終わりなので、このシリーズはここで終わりがいいなぁ。

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著者プロフィール

1970年、神奈川県生まれ。
2006年「リトルプリンセス2号」で 第34回NHK創作ラジオドラマ大賞最優秀作受賞。07年「はじまらないティータイム」で 第31回すばる文学賞受賞。著者に『ランチ酒 おかわり日和』(祥伝社刊)『東京ロンダリング』『母親ウエスタン』『彼女の家計簿』『三人屋』『三千円の使いかた』『まずはこれ食べて』『口福のレシピ』『サンドの女 三人屋』などがある。

「2021年 『ランチ酒 今日もまんぷく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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