- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396635688
感想・レビュー・書評
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続きが気になって、1日で読んでしまいました。まず失感情症という疾患が本当にあるということを知りませんでした。本人とその家族は想像以上に大変だと思いました。
お母さんが一生懸命に感情を教えたことは、ユンジェが1人でも生きることや考えるうえですごく重要なこととなりました。感情を教えるってすごく難しいよな。私も「愛」が何か説明出来ないし、ただ何となくの概念で思っている。お母さんとおばあちゃんのユンジェに対する姿勢は愛だなーみたいな。ユンジェはドラに恋してるなーとか。でもなんでって説明するとしたら、難しくて出来ない。
そして普通ってことについても考えさせられた。平凡な人生を歩んでいる人が普通であるならば、確かにそんな人は多くない。でも普通じゃない人を排除したがる。何が基準で判断しているのだろう。ユンジェは周りの噂に振り回されず、きちんと自分でどんな人か向き合おうとしていて偉いと思った。
ユンジェがゴニやシム博士、ドラに出会って感情について考え、分からないなりにだんだんと理解しようとしていく姿が良かった。最後も救いがあって、心から良かった。
「親は、子どもに多くのことを願うものさ。でもそれがだめなら、平凡を願うんだよ。まずは基本だと考えるからね。ところがだ、平凡というのは、実は実現するのが一番難しいんだ。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生まれつき扁桃体が小さく、感情を理解することができないソン・ユンジュ
持って生まれた障害による、家族の愛、悲劇、出会い、
ちょっと変わった人との関わり、友情、愛、人間関係が主人公の言葉で
淡々と語られる。
ゴニ、ドラ、シム博士の出会いで
少しずつ変化していく主人公。
韓国作家さんの作品は初めてですが、
読みやすかった。
読後感もよかった -
生きづらさを抱えた少年二人の、希望に向かう物語。読み終えてから表紙を眺めると、ああ、そういうことか、と。自分だったらどうだろう、と考えさせられる。
誰にとっても、シム博士のような、冷静に、中立を保ちつつ、見守り導いてくれる存在や、丸ごと受容し愛を注いでくれる祖母や母のような存在が、必要なんだなと感じた。
また、ゴニにとっての、ユンジュのような、友情を示してくれる存在も。
針金にとっては、どうなんだろうか。
「人生は、そのとにそのとき、いろんな味を味わわてくれながら、ただ流れていく。」
喜劇にも、悲劇にも、なりうる出来事を、どんな物語として語るのか、自分で決められる。 -
以前読み始めた時はなかなか前に進まなくて途中で止まっていたところ、2年ぶりくらいに読み始めたら面白くて、読むのが止まりませんでした…。
感情がないユンジェが、お母さんとおばあちゃんから自分の知らないうちにたくさん愛をもらい、みんなが見えない本質を気づかないうちに感じていたところに胸がギュっとなった。
周りから見たら荒れているゴニは繊細で人に共感をしていて、本当はいい子なんだと感じていたのは、ユンジェがたくさん愛をもらっていたからだと思う。
淡々と進みながらもぐっとくる箇所が多くて、他の作品も読んでみたいなと感じた!
またユンジェが感じる本の世界がとっても素敵だった! -
2020年本屋大賞(翻訳小説部門)1位の本作。
全然読んだことのないタイプのストーリーでとても新鮮だった。
生まれつき扁桃体が小さく、感情を感じることの出来ない「アレキシサイミア(失感情症)」と診断されたユンジェと、幼い頃に親とはぐれ、その後施設や少年院で育ったゴニの2人の少年の物語。
最初は本当に人間としての感情が欠落していたユンジェが、一緒に暮らしていた祖母や母を失い、自力で(援助者がいたのは幸い)暮らしながら、次第に変化していく過程が描かれている。
どこまでも真っ直ぐで、前評判等に左右されずに自分の見たものだけを信じるというのが、こんなに強いものなのかと思った。もちろん感情を感じられないことによる弊害や危険は数えきれないけれど、感情や共感に支配されすぎるというのも、決して良いことではないなと。
一人で暮らしている間も、それまでの間に祖母と母から受け取った愛によって自分を繋ぎ止めているのは明らかで、ユンジェが愛されて育った子で良かった。それだけに、ゴニのこの後にも父との和解と平和な暮らしを期待してしまう。 -
本書のあらすじについて何も分からないまま読んでみました。
アーモンドは一体なにを表しているんだろう?どんなお話なんだろう?って興味深々で読み進めていく。
出だしから引き込まれ、内容は重たいけど展開が早いので読みやすくて一気読みでした。
この本を読んであらためて「共感力」や「愛」について考えさせられました。泣いてしまう場面が何回かあって、本を一旦置いてティッシュで鼻をかんでの繰り返しでした。
この本に登場する二人の少年に出会えて良かった。
共感力を高めたいと思ったから読書を始めたので、この本を読んでより一層読書を続けたいと思いました。
最後の著者と翻訳者のあとがきにも刺さりました。
【お気に入りの言葉】
(前略)本屋は何千、何万という作家たちが、生きている人も死んだ人も一緒になって押し合いへし合いしている、すごく人口密度の高い所だ。でも本は静かだ。手に取って開くまでは、まるで死んでるみたいに黙りこくっている。そして、開いた瞬間から話し始めるのだ。ゆっくりと、ちょうど僕が望む分だけ。P.131 -
すごく良かった。
病気の僕が普通に見えるように必死になるお母さんと、ありのままに僕を可愛がるおばあさん。愛とは「かわいいさの発見」といったおばあさんは…なんと言ったらいいんだろうか。僕の言葉を読んでると、感情の揺れが浅はかに思えて、おばあさんの事をなんて表現したらいいか分からなくなってしまう。
僕とゴニとドラ。大人から見たら普通とは違っていい子には見えないけど、彼らはお互いを偏見なく受け入れて極普通のいい子だった。
なんかほんと良かった。 -
段々に主人公の感性が刺激されて良かった。
まるで映画でもみてるようだった。
他の作品も読んでみたい。 -
翻訳もとても良いのではないかと思った