ピーター・パン・シンドローム

  • 祥伝社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396650032

感想・レビュー・書評

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  • 20230907
     この本の内容は「アダルトチルドレン」とか「モラトリアム人間」とかと同じことを言っているのだと思う。

     あと、ピーターパン人間には二種類あって、無責任な女好きタイプ(世間で一般的に考えられているピーターパンタイプ)と、逆に超ワーカーホリックで融通が利かない、日本にも多いタイプがあるということが分かった。

     どちらも弱い情けない自分を正当化するため、悪いのは自分ではなく相手(ことに女性)ということにするのが特徴である。
     一昔まえに「母源病」なる本が流行ったが、すべての原因を母親だけのせいにしてしまうところが非常にピーターパンコンプレックス的なんだなあと思った。

     ダン・カイリー氏は独特のポジティブ感で、ピーターパン諸氏がどんなことを考えていて苦しんでいるか、またどうやってその苦しみから脱出するかということに焦点を当ててくれる。

     ピーターパン諸氏は人の話(特にこちらが女性である場合は)をほとんど聞いていないように見える。が、本当は聞いていて、理解はできなくとも、その言葉を覚えていたりもするらしい。
     
     だから、こいつは人の話聞いてないなと思わず、我慢せず、ちゃんと理解できるように言ったほうがよい。ある日突然、なにかのきっかけでそれらが全部つながることがあるみたいだから。

    一回目;

     この本は大ヒット! 目からうろこが120枚くらい落ちた。
    あと、脚本のネタ本として秀逸。いますぐにでも映画の三~四本は作れそう。
    でも、私が知らないだけで、もうすでに何本か作られているのかもしれない。バッドエンドではあるけど「アメリカンビューティ」とか。

     できれば;
    ハッピーエンドで、
    日本人にむいた
    作品を作れるといいけれども。

     被害者(というかピーターパン・シンドロームの方本人)が内心どんなふうに苦しんでいるか、ということが深く描写されている点が秀逸だと思う。

  • 面白かった!原著は1983年、当時のアメリカに「大量に出現した」未熟な男たちという現象について書かれた本だが、現代でも全く古くなってない。

    訳は小此木啓吾。『モラトリアム人間』に似ている本がある、と翻訳が回ってきたとのこと。
    『モラトリアム人間』を読んだのがはるか昔なので、その一致度や差異などはコメントしかねるが…。

    「ピーター・パン症候群」とは、無責任・不安・孤独・性役割の葛藤の4つの基本症状の上に、ナルシシズムと男尊女卑志向を発症した男性たちを指す。
    要は、妻に自分の母親の役割を負わせて身の回りの世話はなんでも焼かせ、自分は外に若い愛人を持ち、「女ってヤツは…」と偉そうに宣っている今もよく見かける残念なおじさんたちを思い浮かべればいい。

    最も面白かったのは、ピーター・パン症候群がどのように発生しどのように進行していくか、その生態をつぶさに描いた2章。なるほどと思わされるところが多かった。

    ただし、そのような男性にどのように対処するか(それが自分の息子なら、あるいは恋人や夫なら)を描いた3章は、やはり時代を感じさせ、少々古臭い点が見受けられる。
    例えば、母親コンプレックスを持つ息子の母親に、「家事をさせるよう躾けろ」というアドバイスがあるが、…。家事のできない(する気もない)夫たちにうんざりした妻たちが、なぜ同じような息子を量産してしまうのかを考えると、そもそも子育てを母親だけに担わせていることそのものが問題なのではないだろうか。息子は、母親と協力して家庭を運営していく父親の姿をみることを通じて、そのような夫役割を自分のものとして引き受けることができるようになるのではないか。

    著者ダン・カイリーの女性に向けたアドバイスは、「ウェンディになるな、ティンカー・ベルになれ」。それは尤もだけれど、私からすれば、最も有益なアドバイスは「ピーター・パンに関わるな」、これに尽きると思う。…そうすると、パートナーに相応しい男性はごく少数になってしまうのかな…



  • 大人になって社会適応に苦しむ人たちの特徴を書いた本。そこに至るまでの家庭環境などを踏まえ、どんな考え方を持つに至ったのか?どんな環境を心地よく思うのか。を書いている。
    読んでいて苦しくなったが当てはまる人には救いの書。

  • 前々回の診察で精神科の先生から「ピーターパン」という単語を聞いてから、とりあえず関連する書籍を読んでみることにした。

    私も心理学部にいたから聞いたことあるし。

    自分がそうとは考えもしなかったけども、正直先生から言われた時はかなりしっくりきた。

    「そういうことか!」と…まあ言われたのは私が診察で先生から提案されたこと(ADHDの薬を飲む、就職活動をするなど)を全部拒否したからなんだけど、たしかに私が精神科医ならそんな患者はいやだ。

    ピーターパン人間という言葉がたくさん出てくるこの本は、私が生まれてくるはるか前に存在していたけど、まさしく私のことを指すようなケースがいくつか見られた。

    実家にパラサイトの、こどもおとな人間。

    親から「もうあんたの生活費は出さないよ」と言われたら一撃でアウトの…本の序盤ではそういうピーターパン人間の、ピーター野郎のいかに愚かしいことか、どれだけ浅はかなのかということが書かれていた印象だ。

    読んでいてかなり、効く。

    なお自殺に走るピーターパン人間もいるらしいが、それはごくごく一部とのこと。

    少し意外だ。

    ふつう死に走るものだと思ってた。

    私のようにピーターパン人間当事者が読んでももちろんためになる本だし、そういうピーター野郎のサポートをする立場の人に向けられた本でもある。

    内容を他人に説明しろと言われると困るけど。

    ピーターパン人間の特徴…ごめんなさいが言えないとか、うん…そんな感じだ。

    ピーターパン人間をいかに社会復帰の方向に誘導していくかってパートも確かあったし、そもそも就職もしていて家庭も持ってて、それなりに社会的地位や財産も手にしていながら、それでもピーターパンシンドロームだって人もいるらしい。

    大人になんてなりたくない、ずっと子どもでいたい…私も働いてた時とか、それ以前から「年齢の割に幼い」と言われ続けてきた人間だ。

    しかも失敗から全く学ばない。

    私はそれでもなんとか社会に出たら出たで、それなりに通用するものだと思ってたし、最初の職場ではまだマシだった…私がほんとにピーターパン野郎になったのは、元々の特性と、自殺願望とかが作用しあってのことなのか。

    甘やかされたいです。

  • £3

  • アメリカの家庭事情がそれとなく伝わってくる。

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