ヘルタースケルター (Feelコミックス)

著者 : 岡崎京子
  • 祥伝社 (2003年4月8日発売)
3.75
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  • レビュー :496
  • Amazon.co.jp ・マンガ (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396762971

ヘルタースケルター (Feelコミックス)の感想・レビュー・書評

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  • 岡崎京子が描く女の子はいつだってリアルだ。
    「自然体で」「私らしく」「ありのままで」なんて、最近よく聞く耳ざわりのいい、でもどこか空虚なコトバも、岡崎京子にかかれば一刀両断だ。

    「バーカ!! なわけねーだろ!!」
    「あたしがどんな思いで 今の体重をキープしてるか」
    「お腹すかせて目が冴えて眠れなくて スイミン薬飲んでも眠れないとか」
    「どんだけ時間とお金をかけて この白い肌を守ってるかとか」
    「あんたたちに分かってたまるもんか!!」

    りりこは自分が使い捨ての商品だということを知っている。しかも消費期限は恐ろしく短い。身も心もぼろぼろになりながら、それでも彼女はチキンレースから降りようとしない。誰よりも優れた商品であるということ以外に、自分の存在価値を見いだせないからだ。破滅につながるレースと分かっていても、まずそこで勝ってみせないことには、人格すら認められないのが世の常だからだ。もっとも勝ったからといって、心の平穏が得られるわけではない。いったん勝った者には、次は「勝ち続ける」という、さらに困難な課題が待ち受けている。

    麻田検事のように、最初から他人の評価など気にしなければいいのかもしれない。けれど凡人にはそれが何より難しい。だからフツーの女の子たちは、「勝ちたい」と「ありのままで」の間を、ヘトヘトになりながら行ったり来たりする。いよいよ疲れてくると、「ありのままの自分で勝ちたい」なんて虫のいいことを考えてしまったりもする。

    その点、良くも悪くもりりこは潔い。そんな甘ったれた考えは微塵も持っていない。
    「生まれたときに決定されたもの? そんなの踏みつぶしてやったわよ」
    「びしょぬれの同情なんかいらないもの
     だとしたら無視されるか 笑いものになった方がましよ」
    そう言い切るりりこの覚悟は痛ましいが、どこか爽快でもある。読み進めていくうち、いつしか彼女に声援を送っている自分に気づいた。

    つまるところ、私たちみんな、誰でも少しは「りりこ」なのだ。妄執のために虎に変身して山奥に引きこもった男の話があるが、現代日本の女の子たちはココロに虎を棲まわせたまま、なんにも知らないような顔をして、クレイジーな日常を生きていかなくてはならない。

    麻田検事が言うように、「この街はちっちゃなタイガー・リリィでいっぱい」なのだ。

  • 岡崎京子のシンプルな絵が却って、怖さを感じる。

    これが楳図かずお、大越孝太郎、丸尾末広、谷弘児といった見馴れた作家の絵だったら普通に観れるんだけどね(笑)

    • 深川夏眠さん
      同感です。
      生々しく肉感的ではない、いかにも「マンガらしい絵」が、
      女性の欲望と強迫観念を上手く表現している気がします。
      ところで、p.26
      りりこが額にできた小さな痣を見つけて絶叫するシーンのインスパイア元は、
      確実に楳図御大の『洗礼』だろうと思うのですが(^_^;)
      2012/10/02
  • 「散る花の命を惜しむことが芸術だ」みたいな文章を、18歳のときセンター試験の現代文で読んだことを、数年ぶりに思い出した。

    この漫画とそれがリンクしているかどうかといえばしていないけれど。

    全身整形してスターになった女性が、心身ともに崩れていく過程を描いている。
    ちなみに16年前の作品。このどうしようもない感情は、もしかしたらずっと古くならないのかもしれない。

  • ブックオフで立ち読み。すさまじい安野モヨコ臭と思ったら安野モヨコが岡崎のアシスタントだったのね。この人が事故に遭ってなかったら安野モヨコは世に出られなかったかもしれないな…。
    とにかく絵が粗い。で、破滅的で品性下劣でワガママで刹那的で情緒不安定な実に人間の本性の体現たる女が出てきて暴れまくる。生命力と諦観に溢れた不思議な魅力のある作品。女の作家にありがちな作品への思想投影が薄く優れた語り手という感じ。話としてはそんなに型破りでもないような。

  • 「ヘルタースケルター」(ひっちゃかめっちゃかの意)な読後感。大衆の娯楽品として消費され自己疎外の中で…どこまで作り話で済ませられるだろう。誰もが持つ潜在的欲求「美しくなりたい」という願望が嗜癖と化し自我を乗っ取られて崩壊していく様はまさに手段の自己目的化だ。ラッドウィンプスの「ソクラティックラブ」をなんとなく口づさみたくなった。「♪僕を僕たらしめるものが何なのか 教えてよ 例えば
    顔が半分に 腕が二、三本に 眼が五等分にちぎれちゃって
    脳みそが隣人に 声が宇宙人に アレが人参に
    変わっちゃっちゃったとしても 君は僕だと言えるの?
    僕の何が残っていれば僕なのだろう?」どこまでが肉体でどこまでが魂なのだろう。深いテーマである。

  • あ〜…多分、変にリアルなんやろなぁ〜と思わせる内容。

    沢尻エリカがアレをどう演じきるのか?
    …見たくないわ〜?
    出来の良し悪し関係なく、自分の中の、どど暗い、黒い部分を見せられそう。

  • 一皮むけば、みんな骨なのにね

    • katsura8さん
      みんな骨という言葉は怖くもあり強くもありますね

      世界観がそもそも違うなぁと思っていて、
      わたしは映画は見に行く予定はないのです
      予告をみても原作で受けた印象と違ったので……
      2012/06/04
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「原作で受けた印象と違ったので」
      予告観られたんだ、、、←若干動揺してます。
      私はミーハーで、蜷川 実花の目に痛い原色写真も結構好きなので。。。
      2012/06/05
    • katsura8さん
      うんうん、でしたら観にいかれたほうがいいですね、きっと
      わたしは岡崎さんの作り上げられた世界観と私が持っている個人的な印象を大事にしたいのでこのままにしておきます~
      2012/06/05
  • 歓喜の裏に狂気がある。

  • とにかく、すごい。
    最後は、ゾッとする美。

  • 映画化されていたので(観ていないが)、原作が気になって読んでみた。女性にとっての美への執念や、他者の美への嫉妬、老いによる若い美への嫉妬など、渦巻く悪意に圧倒された。整形手術で美しくなった主人公りりこの認められたい気持ちや絶望感が痛いが、それゆえにマネージャーへの関わり方も脅迫的でコミュニケーション不全。でも本当のところ、過去の若かった頃の自分の見た目を他人の上に作り上げようとしたママが一番の悪ではないのかなー。
    思ったより壮絶内容で映画を観るのが怖くなってしまった。。。観るのは止めておこうかな。苦笑

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