違国日記 3 (フィールコミックスFCswing)

  • 祥伝社
4.29
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396767495

作品紹介・あらすじ

2018年 “心が救われるマンガ” No.1!!!


雑誌、SNSで大絶賛の話題書!!
[ダ・ヴィンチ][an・an][BRUTUS][TV Bros.]等


歩み寄る女王と子犬。

両親の事故死により、田汲朝(たくみ・あさ、15)が
小説家の叔母・高代槙生(こうだい・まきお、35)の家に住んでしばらく。
親友・えみりを家に招いた朝だったが、槙生の人見知りが発動。
「超超超超ひとりになりたい」と槙生は執筆に没頭した……。
こちらを拒むかのような槙生の背中に、しょげる朝。
そこへ通常モードに戻った槙生は―――?


不器用人間と子犬のような姪がおくる
年の差同居譚、手を繋ぎ合う第3巻!

感想・レビュー・書評

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  • -彼女はわたしのさみしさを受け入れてくれたが
     理解はしなかった
    -わたしを愛していなかったが
     好ましく思っていると彼女は言った
    -わたしを家に引き入れたのに
     ひとりでいたがった
    -わたしの感情が わたしだけのものであるように
     彼女の感情も また 彼女だけのものだった
    -違う人間だった

    この作品は全体が詩のようだ。
    詩的な文章が並んでいるから、というだけでなくて
    上手く言えないが詩のような語りかけで訴えられている気持ちになる。

    槙生ちゃんは人がいるだけで苦痛だというのに、がんばってて偉い。
    大人としての矜持だけですべての苦しみに耐えているような。なぜそれが出来るのだ。俺にはできない。できるようになりたい。

    新キャラの弁護士がいい味だしてて好き。

    「朝は無条件でなんかしてくれる人たちをなくしちゃったんだから、あたしがそうしてあげなさいって」
    「だからー、あたしはいつでも無条件で朝を助けてやろって思ったの!!」

  • 子供がいいと思うバンドを揶揄したり、入る部活ですらアドバイスという名の強制をしたり。かと思えば「やりたいことは何でもやりなさい」と言う。

    あ”ーーーーー耳が痛いーー。

    槙生は朝の息苦しさを理解できないと言う。
    「あなたとわたしは別の人間だから」
    でも「少なくとも …あなたが健やかで悲しくなくいてくれればいいと思ってる」

    朝は「いやだ さみしい」と感情をぶつけるけど
    きっと槙生は朝の砂漠を理解してくれているのだ。

    笠町くんと槙生と朝の3人が ぎゅうぎゅう詰めのソファに座って朝の好きなバンドのベースの良さを語り合うシーン。

    これだ、と。
    私が「子供には斜め上の大人が必要だ」と考える理由が描かれている。まるで小説のように。

    この夜、朝は、自分だけが知らない国にいるのだというような心地で眠らない夜を過ごした、というのが何よりの証拠。

    槙生が朝を子供としてではなく、一人の人間として尊重していることを 朝が分かってくれる日が来ますように。

  • 人は違う、
    でも、えみりが走って
    朝のとこきた表情は心が動く

  • 朝ちゃんは槙生ちゃんと親子の関係ではないと
    自覚しているはずだが、無意識でか
    槙生ちゃんのポジションを母親として見ているところがある。
    これまで大人っぽいというか、感情を見せない印象だった朝ちゃんが
    時折とても子供っぽく描かれているように感じる。
    槙生ちゃんとの生活に慣れてきたということなのだろうか。

    書いている日記を放り出している朝。
    本人は見られても平気だからと言うが、
    見たくないからとじておいてと言うあたり
    とても槙生ちゃんらしい。

    朝ちゃんはお母さんからの圧力を感じていて
    それでも母親であり、やはり寂しくて
    入学式に来て欲しいと槙生ちゃんに言わず
    来て欲しいと自分が思っているかもわからず
    感情の揺れなのかちょっと我儘な感じが出てくる。

    家族ではなく同居人なのだから
    流石に同居人の了承が無いのに
    勝手に友達を連れてくるのはありえない。
    更に仕事中に今大丈夫?とも聞かずに
    「えみり帰るって」と声をかけるのも良くない。
    母親ではないのだから
    もう帰りましたなどの報告は必要だけれど
    見送れと言わんばかりの「帰るって」という声かけは必要なかろう。
    槙生ちゃんの「今うるさい。しめてはやく」は
    言い方はきついけれど
    集中していてそれどころじゃないのだろうし仕方ないと思う。
    それなのに「しらない、なんかコミュ障」という朝ちゃんは随分甘えている。

    朝ちゃんなりにテレビ音量を小さくするなど気を使っているのは分かるけれど
    ご飯をどうするのだろうと思うなら作ってあげてもいい気がした。
    忙しい仕事の合間を縫ってご飯を作るまきちゃん。
    以前の自分が一人暮らしだった状態だったらずっと仕事をしていただろうに。
    「卵使わなかったんだ」と言われて怒る朝ちゃんの気持ちも分かるけれど
    お互いにすれ違っている。

    いじけている朝ちゃんだが、
    察して槙生ちゃんが横に座って肩抱いてくれるのが良かった。

    なりたいものになれというけど
    理想と違うと反対するのが親の矛盾だ。
    親なら誰しもあるかもしれないが、それを
    「心配」「あなたの為」と言い訳して
    子供を制限し続けるのは毒親である。

    弁護士の担当さんが割と良い人そうで良かった。
    自分も知らない番号からの電話は、プライベート用の電話にかかってきたときは出ないし
    かかってきただけで怖いと感じるので、槙生ちゃんの気持ちはよくわかる。

    笠町に慰められながら、今気づいたけど朝に同じことをした、という槙生ちゃん。
    「わたしの中で慰めるといったらこうって文法になってるのかも」
    というのが、2人の年月と関係性が感じられて好きだ。

    男女がソファに座り肩を抱いているという状況で
    さらっと朝ちゃんを呼ぶところも、
    呼ばれた朝ちゃんも隣に座るところも素敵。
    慌てて肩を抱くのをやめたり、朝ちゃんが躊躇したり
    しないところが3人のライトな関係性の良さだと思う。

  • ・朝の高校生活スタート
    ・えみりと槙生、知り合う
    ・弁護士先生登場
    な3巻です。
    槙生さんの他者との接する態度がすごく好きです。寄りかからせてくれない槙生に朝は不満そうですが、でも槙生の朝を思いやる気持ちは伝わってきます。弁護士先生もいい人で良かったです。

  • すごい。
    登場人物全員に、それぞれの思いと考えと個性があって、人間社会そのものを最小人数で描き出している感じ。
    痛みを知っていて、ちゃんと人間らしくて、不器用で、優しくて、でも身勝手なところもあって、愛おしい。
    生きるって息苦しいけど、前に進んで行かなきゃって気になる。

  • 朝の高校生活が始まる!ドキドキの高校デビュー。ぼくは母校から来た人が他に2人しかいなかったから、友だちできるかどうか不安だったなあ。後ろの席がクラスのムードメーカー的な存在でとても助けられた。ぼくの人生の中で最も充実してたのが高校生活かもしれない(遠方なので、今は友だちと交流がないけど…)。

    朝は目立とうとして、両親の事故死と叔母が小説家だということを話してしまう。卒業式では嫌だったことを入学式でアピールに使うとはやっちまったなー!と。本人も言語化できない後悔を抱いていて、そこに追撃の「『きちんと目立つ』って努力の上だけに成り立つことでしょ」とナチュラルに一刀両断。さらに、「軽音部に入るのはお母さんが嫌がったから」のくだりで、「『もういないじゃん』と思ってね……ま いたところであなたの人生だけどね」というトドメまで!これは槙生が正しいけれど、言い過ぎだと感じる。二度と母に接することができない朝に向かってこれはない。このあたりはお互いの距離感を測りかねてる感じだなと。

    「彼女はわたしのさみしさを受け入れてくれたが 理解はしなかった
    わたしを愛していなかったが 好ましく思っていると彼女は言った
    わたしを家に引き入れたのに ひとりでいたがった
    わたしの感情がわたしだけのものであるように 彼女の感情もまた彼女だけのものだった
    ちがう人間だった」

    気休めの言葉も言わないところが槙生らしい。朝にとってはそれが混乱と怒りへと繋がってしまう。両親の干渉はもうないが、彼女の中に両親の言葉は残っている。それは「なりたいものになりなさい(ただし、わたしが認めたもののみ)」という矛盾したメッセージ。これはぼくも同じ体験をして、両親の思うように生きるのが正しいと進んでいたら、社会人になって急にパッと手を離された。一番悩んでいる時期になりたいものはないのか?と聞かれて、「急に決めろと言われてもわからない」と立ちすくんだ。言うことを聞いても、親は何にも責任はとってくれないと、人生が詰んでうつ病と不安障害になってやっと気づいた。その干渉は愛情なのか、それとも愛情を建前にした支配なのかは見極めないといけない。

    後半の弁護士・塔野とのドタバタ劇で肩の力が抜けたかな。なんだかんだで心強い大人たちが朝にはいてくれてよかった。

  • えみりのお母さんを見てから槙生を見ると、
    「別の人間」ということを強く意識させられます。
    自分の普通は他人の普通と異なると。
    けれど「歩み寄ろう」と。槙生さんは素敵な言葉を使うなあと思います。

  • 受け入れるけれど、理解しない。
    愛していないが、好ましい。
    引き入れたけれど、一人でいたい。

    近くて遠い、他人との距離。

  • 読了。友達が走って戻ってくるシーンが良かった。安心した。

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