違国日記 7 (フィールコミックス FCswing)

  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396768164

作品紹介・あらすじ

「『おれの酒が飲めないのか』みたいなの、大嫌いで」
偶然にも食事に行くことになった笠町と弁護士・塔野。
そこで話題に上がったのは、「男社会の洗礼」。
男なら、男らしく、男としてーー。
塔野は、空気が読めない性質ゆえに、それらと距離をとれたが、
笠町は、かつて追い込まれ苦しんだ過去があった。
今、その土俵から降りた彼はーーー。

「なっていい自分」はいくらでもある。
変化にふみ出す第7巻!

感想・レビュー・書評

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  • 東京五輪組織委員長の女性差別発言が物議を醸す昨今、タイムリーな7巻でした。

    男女平等とは男の既得権益が損なわれることと思っている男性諸氏の皆さまにも、ぜひ読んでいただきたい。

    女性が『女はこうあるべき』と言う呪いに縛られているのと同じくらい、実は男性も『男ならこうあるべき』と言う呪いにガチガチに縛られて自由な生き方が出来ずにいるということに、案外気付いていない人が多いように思います。

    男社会の土俵を降りて、『人間』になった笠町くん、『キャラ』なんて気にしてたら自分の本当の気持ちがわからなくなるよと自らを振り返って言うもつ。
    主人公、朝の周りの大人たちは魅力的な人が多くて、こういう大人たちに囲まれた10代を過ごしてみたかったな〜と羨ましいです。

    不器用だけど真摯な槙生のセリフも、毎回胸に刺さります。

  • ・なんかあの人って誰?だったのかなって。
    ・より危ないことをしたやつが勝ち より女の子をモノ扱いできるやつが勝ち より楽をしていい目を見たやつが勝ち
    ・もう全世界から謝って欲しい この世はクソ
    ・はぇーーーキャラ‼︎ どーーでもよくなーーい‼︎?
    ・「なにを書くか」より「なにを書かないか」なんじゃない?
    ・するすると 大人になっていくな
    ・世界中で自分に関係のないことなんてない


    さあーて。
    今巻も珠玉の名言がてんこ盛りでしたぞ。
    森元JOC会長の女性差別発言騒動もあり、医学部不正入試をここで持ってくるたぁイイね!を100回押したいくらい。
    男も自分たちで決めつけている男らしさから降りたらもっと楽になれるんじゃないかな。下駄を履かせてもらって、2分の1の確率でたまたま持ち得ただけの性をもって女性を踏みつけて生き続けるのもしんどいでしょ?弱音も吐けない、先輩に腹バンされても部活をやめられない、男に二言はない、男たるもの……すべてが呪い。

    というのを笠町くんは悟ったわけです。
    そしたら「人間らしくなれた」
    この笠町くんのエピソードと、朝の父親(存在感のない)の話と、医学部不正入試で絶望に心が折れてる女の子の話は、実はつながっているのだよ。

    違国日記。
    本当に内容が深いなぁ。

  • 〉わたしの父はいったい「誰」だったのだろう

    〉「男社会の洗礼」
    〉おれはそこから降りる。もうその土俵には乗らないと決めたら急にいろんなことが楽になった。

    〉「母の日記には真実だけが書いてあると思うか」と彼女はきっと答えないと知っていても訊きたかったがそうできなかった。
    なんでもないことのように訊けばよかったができなかった。

    〉でも生きている私にはどんなにくだらないことでも悩む権利があった。
    〉わたしたちにはどんなにくだらないことでも生きている限り悩む権利があった。

    〉たとえば10年後に誰かが
    「そういや朝、コンコースのところで歌ったよね、あれいつだっけ?」
    きっとそれだけでもわたしは世界を変えたのだ。

    >「I witness you」

    亡き母の日記を読み進めていく朝。
    思春期らしい悩みと戦いながらも季節はめぐり、大人たちを置き去りにして成長していく、第7巻。

    朝の周囲は皆、「世界」と戦っている。
    男社会の洗礼だったり、受験の女性差別だったり、父の呪縛だったり、社会と関わることだったり。
    朝もまだそうとは知らないまま両親の呪縛に囚われているが、今は自分の内面だけを見つめている。

    ただ、朝のクラスメイトや部活の先輩など出てきて、少し描写される世界が広がったように見える。朝の視点が広がったのだろうか。

  • 子どもも大人も窮屈な偏見や価値観に傷つき闘いながら生きている。大人になって自分で自分を守れるようになってもひょっこりそのころの自分が顔を出したり苦い想いをしながら。そのへんの難しさや生きづらさを『違国日記』はみせてくれる。それぞれ違国。それ認め合う。朝の歌う姿がかっこいい。

  • 「朝の父親」にまつわるエピソードがメインに関わってくる第7巻。これまであまりにも語られてこなかったので、すっかり存在すら失念していたけれど、いなかったわけではないし朝の成長に少なくない影響を及ぼした人であったはず。そこに目が向き始めたということは、朝がまた成長の一歩を踏み出しているということなんでしょうね。槙生の、姉や朝に対する感慨もわかります。このお話はどう着地を迎えるのかなぁ。

  • なりたい自分になるにはどうすればいいのか。笠町と塔野の「男社会の洗礼」の話は刺さるね。
    「そこから降りて逃げて やっと人間になれて初めて余裕が出た」
    もつの言葉もここに通じると思う。
    「自分が本当にそうしたい時だけそうすべきだった 『キャラだから』って言ってるうちに自分が本当はどうしたいのかわかんなくなっちゃったもん」
    ぼくも人に合わせる方で。両親や世間の価値観に縛られて、人の顔色を窺っているうちに、自分がやりたいことも好きなこともわからなくなっていた。人に合わせることがやさしさだとか愛情だと思ってたんだよね。それは自分の空虚さを満たすために、相手へと押し付けてるだけだった。

    「誰のために何をしたって人の心も行動も決して動かせるものではないと思っておくといい ほとんどの行動は実を結ばない まして感謝も見返りもない」
    だからこそ、相手のために行動したいと願うなら、自分がしたいと思ったことだけをした方がいい。世間とか普通とか常識で考えるのではなくて。まずは自分の自由意思を尊重することで初めて自分の行動に納得できて、相手も尊重することができるんだと思う。

    朝の父のことは、きっともうわからない。それは生きてる人間であってもそうかもしれない。確かなものがなくても、自分がどう思うのかだけは自分で決められる。悩む権利も決める権利だって生きていればあるのだから。

  • 自分でも気付かぬうちに開いていた心のきずに
    そっと塗り薬を塗布してくれてるみたいな
    どうしてこうも泣けるんでしょうかと思いながら
    毎話読んでいます
    出てくる言葉をもっと知りたくて
    朝みたいに辞書で検索しながら
    ゆっくり読んでいます
    こんなに読み終わるのに時間をかける漫画は
    違国日記だけだなあ

  • 高校生の頃の自分、今の自分に、問いかけたい。何回か読んで、読むたびに刺さるところが違う本。

  • なんか深い!
    男の無駄なチキンレースもそうだし、千世の話も泣きそうになった。

  • 付かず離れず、自立して、でも温かい人々のつながり。

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