宇田川町で待っててよ。 (Feelコミックス オンブルー)

著者 :
  • 祥伝社
4.24
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本棚登録 : 2032
感想 : 123
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396783242

感想・レビュー・書評

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  • 個人的に名作。
    10年前の作品ですが、いつ読んでも古さや違和感を感じないのは秀良子さんの作風だからだと感じます。

    受けと攻めは同じクラスの高校生。
    「女装」が作品の軸で、1冊まるっと表題作。

    受けが女装します。きっかけは元カノからの要望。
    軽いノリだったはずが、そこから女装にハマってしまい抜け出せなくなってしまう……。
    この女装姿が絶妙で、女装のクオリティは高いのに到底女の子には見えない。女装姿の中にチラッと高校生の男の子が垣間見えます。んー絶妙。

    作中で受けの八代が動揺する姿が終始可愛いです。
    女装がバレて動揺。似合ってると言われ動揺。可愛いと言われ動揺。女装姿が可愛いと言ってくる攻めに対して「お前ヘンタイなの?」と言えば「は?お前でしょ?」と返され動揺。結果、攻めのペースに乗せられる。そこも可愛いです。

    ラストのページは非常にシンプルですが、作品の始まりと終わりの差異が存分に表現されていて、とても気に入っています。映画の終わり方です(映画化してます)。読後に良い余韻が残ります。

    何年経とうと色褪せることの無い作品です。 

  • 八代くんの女装の動機が、「女の子になりたい」とか「男からモテたい」「受動的(女性的)な存在として男から相手にされたい」とかいうはっきりとしたセクシュアリティーの問題の絡んでいるものではなく、自分が身に着けている服を「かわいい」と評価したい欲求を満たすもの、あるいは誰かから「かわいい」と言われること=ある種のナルシシズム的な欲求を満たすものに基づいている、と読み取れるのが斬新で面白かったです。そして、女装のレベルがあくまで女装である(完璧には女の子に見えない)ところとか、八代くんがあくまで男として女装してる(女言葉とか使わない)ところとか、そういうのってある意味歪んだ女装だと思うんですけど、そのズレがすごく魅力的に感じました。

    それと、エロ導入のシーンで、泣きながら本気で「勘弁してください」って言う八代くんとブチ切れて家に帰る百瀬くん、これは本当にBLにおける革命的シーンだなと感じました。えぐすぎると感じる人もいるとは思いますが。ホモフォビア的な感情の根源が、自分の中にある「男に組み敷かれあえぐあっち側」への興味関心、あるいは憧憬のようなものにあった、ということに、その後八代くんは気付くわけですが、それをこんなに丁寧に描いた作品って、わたしは今まで読んだことがなかったので、新鮮でした。

    そういえば、女装をおぼえた八代くんが姿見に向かって口紅を塗るシーンは、映画「薔薇の葬列」の口紅のシーンを彷彿とさせるなぁと思いました。オマージュとか、意図的に引用したものかどうかはわからないけれど。映画のあのシーンはナルシシズムを映したシーンでしたが、この漫画の口紅のシーンも、ナルシシズムをにおわせるシーンとして生かされているとは思います。そしてグロスのシーンは、百瀬くんを回想することで、八代くんの内なるナルシシズムをもっとはっきり映し出しているなぁ、と。

    長くなりましたが、とにかく2012年読んだBL漫画の中で一番面白かったです。わたしの関心事項をよく押さえた作品だったとも言えますが。何度読み返してもとても良い作品です。深いよ。
    (13/02/08レビュー修正)

  • 秀さんの作品の二人は、お互い好きなのに中々そこに辿り着けないもどかしさがたまらなくいいのです。
    女装はするけれど女になりたい訳じゃない普通の男子高校生、八代。そしてその姿を目撃して恋に落ち、強引なまでの一途さで突き進む同級生、百瀬。
    そんな二人のまだ未熟な恋が、時には大胆に時には傷付け合いながら、恋とは何か手探りで求め合う感じにたまらなく萌えました。
    普通の男の子が女装してみたくなる気持ちや、ゲイでないのにそっち側にいくことへの躊躇いだったり恐れだったりが凄く丁寧に描かれています。そしてそんな女装した姿の八代を、最初からちゃんと男の子として綺麗だと認め恋に落ちた百瀬、カッコいいです!
    これからのラブい二人の日常を是非続編でお願いします\(//∇//)\
    あと、このピンクの表紙とタイトルが映画のジャケットみたいで凄く好きです。こうゆう素晴らしい装丁の本を見ると、本って手にとって読むものだなぁと改めて思ってしまいます。デジタルな世の中だからこそ余計にね。

  • とてもいい作品。
    絶妙な可愛さをかもしだしている受の心の揺れ具合にやられてしまいました。
    名作!

  • 女装モノが読みたくて、いつぞや友人にお勧めされた
    作家さんだったので手に取りました。
    当時は普段自分があまり読まない系統の作品でしたが、
    何か引き込まれるだけのものがあると思います。<t>

  • 作者さんが大好きで、新刊を見つけたときは大喜びしました。
    でも読み終わってみると、期待しすぎたせいかイマイチだったような・・。
    雰囲気は今までの作品と変わらず不思議でほわっとした感じなんですが、いつもより登場人物に感情移入できなかったです。
    心情の変化を表情で表すのがとても上手で好きなんですけど今回は「え、なんで!?」といつもは思わないことをところどころ思ってしまった。
    また次回に期待します。

  • ただ女装してるだけのただの女装男子じゃないのと、前髪長い彼の気持ち悪さが、じわじわ萌えになるというかなんというかものすごく可愛いでした この人の漫画のモノローグはズクズクきます心臓に

  • 何から何まで良くて読めば読むほどいいです。じわ、じわ……と少しずつ動いていくストーリーと、不器用な2人の行動や気持ちに、堪らなく胸きゅんです。エモさに胸が爆発しそうになって、あぁ秀良子先生すきぃぃぃぃっっって叫びたくなるような作品だと思います。

  • 100殺!ビブリオバトル No.39 夜の部 第6ゲーム「真・サンジョルディバトル」

  • 手元にあるのが3印なので、初版からそこそこ経って読んだハズだったけど、いつ頃だったか…彼のバラ色の人生」あたりでどハマりした後だったのは確かなんですが…先生の作品にはちょっとした免疫が付きつつあったハズなのに衝撃的でしたね。

    結構、深刻な問題にピンチにピンチを重ねてるのに、どこか可愛くて、でも切なくて、その癖エロくて、真っ直ぐっていう、感情全部のせみたいなすごい話だなと思いました。まぁ、何が言いたいかっていうと、愛おしい、と。

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