- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784400221241
作品紹介・あらすじ
ルターの宗教改革と近代世界とを安易に直結させる20 世紀初頭のナショナルな解釈に抗し、プロテスタンティズムが近代科学やデモクラシー、資本主義などといかなる関係にあるかを冷静に論じ、その歴史的因果連関を明らかにした名講演。巻末に訳者による綿密な解説。この講演は、本来ウェーバーが行う予定だったが、事情によりトレルチが急遽代役を務め、1906年にシュトゥットガルトで語られたもの。
初版(1906 年)と第2 版(1911 年)との異同を詳細に表記する。
巻末に、トレルチが書いたヴェーバーへの弔辞を収める。
感想・レビュー・書評
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【新着図書ピックアップ!】マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』はICUにもゆかりの深い大塚久雄先生の訳で有名ですね。本書『近代世界の成立にとってのプロテスタンティズムの意義』は、1906年、第9回ドイツ歴史学者集会での(ヴェーバーと親しかった)エルンスト・トレルチの講演です。
大塚久雄先生は『プロ倫』(!)を読んだのだから、次はトレルチの本書を読むように、若かりし深井智明氏(本書の訳者)に勧められたそうです。
それにしても、西欧のこうした学問を日本のわたしたちが学ぶ意味はどこにあるのでしょうか。わたしは研究から導き出された結論よりも、多岐にわたる研究対象の海から本質的な特徴をあぶり出し、新しい概念を創りだした過程や方法をこそ学ぶべきではないかと感じています。そうすれば、21世紀の日本に生きるわたしたちが現在の混沌から何かを創り出すときの役に立つと思います。結論だけを知識として身に付けてもあまり期待できないと考えるのはわたしだけでしょうか。
そもそも20世紀初頭のドイツで創りだされたヴェーバーやトレルチの概念がそのまま21世紀の日本でそっくり適用できると思い込むのは危険ですよね。ヨーロッパの近代やプロテスタンティズムと日本のそれらがそっくり同じとはいいきれないでしょう?
ただし究極の本質論は日本でもそのまま当てはめられそうです。たとえばトレルチは本書で、「あらゆる歴史学の究極的な目標とは、常に現在の理解ということ」であると喝破しました。
[New Book!] You will find the Japanese version of Ernst Troeltsch's lecture for the 9th Germany's historian assembly in 1906 in this book originally entitled "Die Bedeutung des Protestantismus fur die Enstehung der modernen Welt." We will know that Professor Hisao Otsuka recommended the student (the translator of this book, Tomoaki Fukai) to read the original version of this book after reading "Die protestantische Ethik und der "Geist" des Kapitalismus" by Max Weber.詳細をみるコメント0件をすべて表示