天路歴程 正篇

  • 新教出版社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784400620013

感想・レビュー・書評

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  • 『天路歴程』は聖書の次に世界中で読まれているそうですが……? その真偽は私にはわかりませんが、でも確かに英米系の小説や物語を読んでいると、この書物の名が頻出します。
    もうだいぶ前のこと、初めて見かけて、おや何だろう? 次に見かけて、おやおや? と目をみはり、その次はへぇ~とつぶやき、その後は片目を閉じて、なるべく見ないようにしたり……いろいろつくろってみたのですが、ここへきてそれも面倒になったので、いっそのこと読んでみました!

    いや~おもしろい。能天気なレビューに眉をひそめる敬虔な方もいるかもしれませんが、まるで『神曲』のような笑える巡礼喜劇で、ドン・キホーテのような可笑しみをたずさえて、人間描写がじつにおもしろい寓話ですね~。

    ***
    「基督者」は妻子を説得するも、まるで相手にされません。それどころか狂人扱いされます――もうすでに可笑しいわたし。やむにやまれず今いる「滅亡の都」を飛び出して、「天の国」を目指します。背からはがせない「重荷」を背負って出奔したのはいいものの、方向も道もわからない、いきなり「落胆」の沼に落ちてずぶずぶどろどろ……(めっちゃ気の毒だけど可笑しい)。「虚栄」の市を通ればだまされ、狭く足場の悪い峠道では「奈落の王」と闘うはめになり……とにかくもう、前途多難。

    この物語は聖書の教えをわかりやすい筋立てにした寓話ですが、見ようによっては、『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』や『ジャン・クリストフ』のように、主人公が様々な体験を通して内面的に成長していく過程を描いた教養物語の一種ともいえそう。もちろん聖書の知識がある人は楽しめますし、私のようにない人でも聖書の勉強をしながら楽しむことができます。

    ところで、人間以外のものや概念自体を擬人化する手法はギリシャ古典に多く見られますが、この物語では、登場人物の名前自体が、意味のある言葉で置きかえられ擬人化されているので、とても愉快。

    「正直町から2マイル離れた堕落町の変節者の隣家に住んでいる当座者」

    「口八丁通りに住む、口上手という者の息子である饒舌(おしゃべり)者」

    その他にも、二枚舌氏、私心者、日和見候(ひよりみそうろう)、二心氏、円滑氏、従順者、何でもござれ氏、つかみどり氏、みせかけ夫人……まぁ~ありとあらゆる人物が登場して、にやにやしてしまいます。たしかに巷にいますものね、自分も含めて…汗。

    作者のジョン・バニヤン(1628年~1688年)は、イングランド中部出身で、そこは清教徒的信仰の熱烈な土地柄。
    1620年、ニューイングランドに新天地を開いたピルグリム・ファーザーズ(巡礼始祖)を最も出した土地でもあったよう。宗教文学ではありますが、世界文学(寓話)の一つとして、進取の気性に富んだ「基督者」の冒険を楽しんでみてはいかがでしょう(^^♪

  • 人生の教科書です。

  • すごい

  • 原文に忠実に書かれてるのに読みやすい。
    聖書の引用などを逐一解説してくれるのも嬉しい。

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