生きているジャズ史

著者 :
  • シンコーミュージック
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本棚登録 : 24
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784401617128

作品紹介・あらすじ

1950年代中頃、ミュージック・ライフ誌に連載され、その後1冊にまとめられた名著が、装丁も新たに復活。発売当時「鋭い視点でジャズをとらえ、わかりやすく歴史をつづった名著」と絶賛され、それぞれの時代の視点からアップ・トゥ・デイトなジャズを語り続けた本書は、まさに「生きているジャズ史」である。ジャズの魅力を、これほどまでに粋な語り口で解説した本は類を見ない。ジャズ初心者も、名うてのマニアも、まずはこれからジャズを読もう。

感想・レビュー・書評

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  • 油井正一、野口久光、植草甚一という第一世代の評論家はやはりはずすことのできない先生だった。とりわけ油井の新潮文庫版『ジャズ ベスト・レコード・コレクション』はいまだにページを繰ること頻繁である。油井には例えば第二世代にあたる相倉久人や平岡正明のような政治性がない。ディキシーからウイントンまで実に大人(たいじん)の気風で持って公平に受け入れる。ジャズに対する愛情は一通りではないが、かといってジャズ以外の音楽を排除するわけでもない。そして結構下世話である。それがとてもよく出ていて、長屋のご隠居風語りの妙技は、この本を「作品」に高めている。52年から雑誌に連載されたものが元になっているが、67年と88年に書かれた補稿がある。前者はオーネット・コールマンを語って、ヨーロッパ音楽からの自立を支持し(アメリカ黒人の歴史と明治以降の日本人を重ねた優れた論考)、後者では『ビッチェズ・ブリュー』の複合リズムがブードゥーの多神教に由来するものであることを称揚した。
    中村とうようも菊地成孔もこのヴァリエーションであることは間違いない。
    膨大な油井コレクションは母校の慶大で保管をしているそうだが、菊地が管理人ということだ。

  • 「jazz」という言葉が生まれる前のジャズから「Bitches Brew」でモダンジャズの歴史に大きな区切りが打たれるまでを、軽妙な語り口と豊富な資料、経験で綴った本です。ジャズが好きな人に特にお勧め。

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著者プロフィール

1918(大正7)年、神奈川県横浜市に生まれる。慶應義塾大学法学部在学中からジャズ評論を手がけるようになったが、陸軍への入営により中断。終戦により復員後、ジャズ評論家としての道を歩む。当初は雑誌『ミュージック・ライフ』、のち『スイングジャーナル』を拠点に旺盛な評論活動を展開。ラジオ関西、NHK、FM東海(東京)などの音楽番組でジャズ解説も担当する。東京芸術大学、桐朋学園大学、東海大学などで講師もつとめた。1998(平成10)年、逝去。主な著書に『生きているジャズ史』(シンコーミュージック)、『ジャズ/ベスト・コレクション』(新潮文庫)、『ジャズ名盤物語』(共同通信社)など、訳書にベーレント『ジャズ その歴史と鑑賞』(誠文堂新光社)、『奇妙な果実 ビリー・ホリデイ自伝』(晶文社、共訳)などがある。

「2009年 『ジャズの歴史物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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