- Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
- / ISBN・EAN: 9784401631452
作品紹介・あらすじ
スカ、ロックステディ、ルーツ・ロック、ラヴァーズ、ダンスホール…。レゲエの歩みを描くことは、すなわちジャマイカの歴史をたどることでもある。ラスタファリズムのみならず、ジャマイカの社会・経済面にまでも言及、"低音文化=レゲエ"の歴史を記した名著、遂に日本版として登場。
感想・レビュー・書評
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レゲエの歴史を捉えるには必読の本。
強いて難点をあげるならば、翻訳者も書いているように著者の態度がダンスホールレゲエに対して冷たいことだろうか。
同じダンスホール・レゲエといってもコンピュータライズド期とUSヒップホップと同調しはじめた90年代後半ではその背景も意味も変容していると思われる。
評者じたいもその点に疎いので、そこを突っ込んだ本を読みたくなった。
しかしながら、繰り返しにはなるけれどもレゲエの歩みを辿るには本書が最適である。
サウンドシステムの低音のように読み応えがある。
イギリスでのレゲエの影響も抑えてあるので、ルードボーイでなくともその価値に変わりは無い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まさにジャマイカ音楽論文。上下2段組で560ページ。なんちゅう分量。
50年代の音楽シーンからスカ、レゲエ、ダブ、ダンスホールという流れでまとめてあり、特に60年代からのサウンドシステムの黎明期から発展は、現代までその系譜がつながっている重要な部分で、それを丁寧に描いてある。
ジャマイカ本土と輸出されるようになったレゲエの流行の乖離とか、ジャマイカの宗主国イギリスでのサウンドシステムの勃興等、すべて体系的にみることができ、初めて知ることが多々記載されていた。
個人的にダブの章が特に読みたかった部分であり、キング・タビーの学研的エンジニア姿勢やリー・ペリーの革新性の解説は分かりやすかった。
p349より引用 リー・ペリーのブラック・アークスタジオのくだり
「ブラック・アークのトレードマークとも言えるサウンドを作り出していたのは、音の層を増幅させたいというペリーの探究心だった。4トラックしかないミキサー卓を操る以上、次に加えたい音を入れるスペースを作るには、『2本のチャンネルに振り分けた音色を1本に合わせてミックスする』という作業を延々と繰り返す必要があった。音色を加えるには、予めミックスした音色に別の音を重ねてミックスしていくことになるが、予めミックスしてある音色のバランスは動かすことができない。(中略)このようにトラック(音色)をいくつも一緒に詰めこんだことが、ブラックアーク後期の作品に特徴的な、鬱蒼と茂ったような濃密さを生じさせた。この作業の繰り返しによって、個々のトラック(音色)が互いを侵食し、(中略)森の中に紛れたぼやけた雰囲気が生まれ」 という箇所はダブの、ペリーの作業と音の本質をみごとに描いている。 -
ブログにも書きましたが http://blog.livedoor.jp/taka841/
これはレゲエ好きな人は一度は読んでおくべき本でしょう
この本が出来てからちょっと時がたってしまいましたが
自分のようにダンスホールレゲエよりそれ以前に興味ある方はあまり気にならないかも
アマゾンのレビューなんかでは
「訳に難あり」的なことが書かれてたりもしたけど自分的には気になりませんでしたよ