ディスカバー・クイーン THE BOOK
- シンコーミュージック・エンタテイメント (2022年9月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784401652488
感想・レビュー・書評
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2021年4月から1年間、NHK-FMで毎週日曜日の夜に放送された「ディスカバー・クイーン」には本当に楽しませてもらった。
でも実は当初は聞きたいという気が起きなかった。だから私が聞き始めたのは6月ごろ。なぜなら、前番組の「ディスカバー・ビートルズ」の杉真理さんと和田唱くんのトークが押しつけがましくなくサラリとしていて、すごくはまったから。だけど新番組の進行役がサンプラザ中野くん(以下略して中野くん)と知って、「ガーと中野くんがあの調子で勢いづくだけで、ビートルズの時みたいに“深掘り”されないのかな」とか勝手に思いこみ、ラジオから遠ざかってしまった。
しばらくして何げなく番組を聞いて、自分の思いこみを激しく後悔。中野くんは自分の立ち位置を考えて聞き役に徹し、クイーンに一家言をもつゲストの発言に「いいねー」とか「かっこいー」とか言って終始盛り上げてくれた。だから番組は爆笑あり、深い頷きあり、隠されたテクニックに驚きありといった、クイーンの楽曲に劣らないカラフルな構成。私もいつの間にか日曜夜9時は在宅するようになり、ラジオの前に釘付けとなった。
番組の書き起こしが中心のこの本でも、中野くんやスタッフの熱量は減ることなく1冊におさまっている。実際、この本1冊の値段は映画「ボヘミアンラプソディー」の劇場での鑑賞1回分よりも高いが、密度の濃い内容は決して出費を裏切らない。
話は変わるが、そもそも私はクイーンに関しては全然偉そうなことがいえる立場でない。
職場の女性に強力に勧められて「あの映画」を見るまでは、曲はボヘミアン~と、ボウイつながりでアンダープレッシャーくらいしか知らなかったし、メンバーはフレディとその他としか認識がなかったし(←ファンに怒られますね)。しかもそのフレディは、もっこりタイツの画像が頭から離れず、ちょっと入り込めなかった(←またまた怒られますね)。
職場の女性に映画を見たと言ったら、彼女はクイーンの楽曲をピアノで弾き語ることを人生の楽しみとしているらしく(笑い)、バンドの素晴らしさを滔々と語られた。そのとき、私のクイーンに対する印象はアレなものから、ちょっと聞いてみようかな?というほうへ方向転換した。
また、映画の封切後の2018年12月に放映されたSONGSという番組も興味深く見た。ゲストが思い思いにクイーンを語っていて、その1人の古田新太は私とほぼ同世代なので、70年代にキッス、エアロスミスと並んで御三家と言われていたことなどを嬉々として話すのを私は笑いながら見た。そしてゲストはお気に入りのクイーンの曲を1曲紹介するのだが、古田は迷ったあげくに、あろうことか「フラッシュゴードンのテーマ」を紹介(笑い)。「フラッシュ、アーアーで押し切っちゃう」からだって(笑い)。ちなみに杏さんはSave Meを、岡崎体育くんはBohemian Rhapsodyを紹介していた。それを見てから、私もクイーンの曲を自分の思い入れとともに語りたいと思うようになった。
そして、ディスカバーシリーズをプロデュースしてきたNHKエンタープライズの中田淳子さんがそのような巷間のクイーン愛の高まりを察知し、満を持してこの奇跡の番組をスタートさせたということだろう。(この本の「はじめに」で書かれた彼女の文章は、クリエイターが自分の好きなものを世に出せたときの喜びが書かれている意味で、クリエイターを目指す人にとっては一読の価値あり。)
話を本に戻す。この本ではSONGSのように色々なジャンルのクイーン好きの方が、クイーンのどこがすごいかを熱く語り、一押しの曲を紹介している。
私が特に面白かったのは、デーモン閣下と中野くんとのトーク。We Will Rock Youはブライアンメイが観客と一体になってリズムが取れるように、あのドンドンタン、ドンドンタンというフレーズをつくったのだけど、セッションに遅刻して入ったフレディ(当時彼だけ浮いたようになりつつあった)がそのドンドンタンに合わせるようにアドリブでメロディを入れて歌ったのではと推測していた。でも主旋律(曲名をコーラスする部分は除く)はフレディが作ったものの、当時のバンド内における事情(バンド外からではわからない)がからみ、作曲のクレジットはブライアンメイ単独になったのでは?とも推測していた。
長くなったのでこれが最後の話題。
この番組のファンならば、音楽の専門的なものから笑っちゃう小ネタまで、いろんな角度からクイーンの楽曲を解説してくれた「西脇辰弥さん」の存在はとてつもなく大きかったはず。
この本の制作者も西脇さんがいかに番組の成功を支えていたかをちゃんとわかっていたようで、彼の解説がほぼ余すところなく載っている。
そして私がこの本で一番やったー!と思ったのは、西脇さんの“お写真”が載っていること。私は西脇さんを尊敬するあまり、あえて西脇さんのお姿をネットなどで探さずにいたが、写真を見て、想像したとおり(いや、想像以上)にエンタテイメント精神あふれる素敵なミュージシャンっぽかったので本当にうれしかった。なるほど、西脇さんと中野くんが組めば、楽しさマックスの番組になるはずだ。
そして2022年4月。永遠に続いてほしいとまで思うようになった番組は、中野くん渾身の「クイーン!フォーエバー!」という叫びで幕を閉じた。そのあと心にぽっかり穴が開いたクイーンファンは、この本で寂しさをまぎらわせてほしい。音声がないのは残念だけど、元リスナーや濃いクイーンファンならば、脳内再生も可能なはずだから。
最後の最後に。本には残念ながら、番組で募集された様々なクイーンの曲に関するベストテンの情報は載っていない。では「あなたにとって、一番好きなクイーンの曲は?」と聞かれたら何と答えますか?私は迷った末にSomebody To Loveと答えます。私の妻はSpread Your Wingsらしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示
