真夏の夜の夢

  • 新書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (105ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403010071

感想・レビュー・書評

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  • 唄うように滑らかな台詞と、アーサー・ラッカム(1867-1939)による細密な線画挿絵がとても美しかった。
    妖精の悪戯によって起こる3組の恋人たちの騒動を描いたシェイクスピア原作劇の抄訳絵本。

    シェイクスピアを試したいと思っても、オリジナルはいわゆる「台本」なので、登場人物たちの台詞の羅列ばかりで場面状況がよくわからなくて、いつも途中で飽きてしまう。
    その点、この作品はリライトの絵本なので、台詞以外の地の文による情景描写と豊富な挿絵のおかげで状況がつかみやすくスラスラと楽しめた。

    そして、訳者さんの丁寧なお仕事のおかげで、劇には大切な、台詞の持つインパクトや美しさが、英語から日本語に変わってもきちんと表現されている。

    目で文字を追っているのに、どこか音楽的なリズムと響きを伴って脳内で台詞が再生されるのは、とてもいい気分だった。
    そのリズムも、決して激しいものではなく、滑らかで優雅なものだったのが、個人的にはなおよかった。

    そして、アーサー・ラッカムの緻密な線で構成される美しい挿絵が豊富にあるのもまた素晴らしい。

    私みたいになかなかシェイクスピアに手が出ない人の入り口もしくは逃げ道として最適な作品。

  • 借りたもの。
    妖精夫婦の不仲と、人間4人の男女の恋愛感情のもつれが奇妙に絡み合い、真夏の夜に珍騒動が巻き起こる。
    薬によるまやかし(魔法?)による滑稽劇。
    パックの誤解が話をややこしい方向に持って行ってしまい、本当の愛が分からなくなる男女。
    美くしき妖精女王がロバ頭の醜男にうつつを抜かす。
    真夏の一夜に巻き起こった、美醜、愛憎、虚実の混乱の物語。

    アーサー・ラッカムの美しい挿絵40点を収録。

  • 夜を夢見るひとへ
    登場人物紹介  場所はアセンズ(アテネ)、その近くの森
    目次
    【大公シーシアスに恋の裁きをうける三人の若者】
    アセンズ(アテネ)の町の特権と恋の情熱
    ライサンダー(ハーミアの恋人)とハーミア(ライサンダーを慕う乙女、小柄で黒髪)の誓い
    美しい幼なじみのヘレナ(デミィトリアスを慕う乙女、背高く金髪)とハーミア

    【婚礼の宴に演じるには「いとも悲しき喜劇にしてピラマス(この色男を演じるのは機屋のボトム)とシスビ(ピラマスの恋人を演じるのはオルガンなおしのフルウト)の世にも無情なる死」】
    親方クィンス(大工)、配役を言い渡す

    【妖精王オベロン、その妃タイタニアに恋の陰謀をめぐらす】
    インドの取り替えっ子をめぐって
    王と妃の仲たがいから、凶事が起こる
    三色すみれの上におちた恋の矢
    オベロンはヘレナの純な心に動かされる

    【恋の糸玉がもつれて ライサンダーがヘレナに心変わりする】
    花のなかで夢を結ぶか、タイタニア
    恋の花の呪いをうけたライサンダー

    【タイタニア目ざめて 驢馬男ボトムを見る】
    ピラマス役のボトムの変身
    ボトムの回りには妖精がいっぱい

    【森の中で恋人たちは決闘を決意する】
    お妃さま(タイタニア)は化けに夢中です
    つい、乙女のたしなみも忘れて
    恋の病に傷ついた若者たち
    恋の花の呪いをうけた姉妹(ヘレナとハーミア)の誓い
    呪いを解く草の汁

    【夢からさめた恋人たち】
    めざめよ!いとしい妃タイタニアよ
    大公シーシアスの前の二組の恋人たち

    【ボトム 摩訶不思議な夢を語る】
    婚礼の宴の余興に

    【眠れ眠れ恋人たちよ 夏の夜の夢よ】
    役者たちは退場しました
    妖精たちの祝福の踊り

    『真夏の夜の夢を描いた絵師=荒俣宏』

    本のカバー内側より
    アーサー・ラッカム(1867-1939/イギリス)の代表作「真夏の夜の夢」──荒俣宏
     この40枚(平版)におよぶ「真夏の夜の夢」は、ラッカムの仕事のうちでもベストのものではないでしょうか。もしもラッカムの本から3つ、最高のものを選ぶとしたら、これはもうためらいもなく、『真夏の夜の夢』、『ケンジントン公園のピーターパン』、『ニーベルンゲンの指輪』ということになるでしょうか、ラッカムはこの『真夏の夜の夢』をよほど気に入ったらしく、晩年も、すっかり稿をあらためた形でシェイクスピアに再挑戦しているのです(1939年出版)。(本書は1908年版の挿絵です)

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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