- Amazon.co.jp ・本 (59ページ)
- / ISBN・EAN: 9784403032059
感想・レビュー・書評
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松浦寿輝のデビュー作の詩集を図書館で探していたら本書に行き当たった。
詩集のほうは『ウサギのダンス』だった。これは『ウサギの本』という絵本。
とはいえなかなか面白かった。
「私」の住むアパートの押し入れに、年をとったウサギが棲みついて、おまけに「兎書店」という古本屋を開店してしまう。そこには猫やモグラやが本を買いにくる。
最初は怒っていた「私」も、しだいにウサギとなじみになってくる。ウサギの吐く詭弁を少し面白がっている気配もある。
しかし人間の「私」などよりも、押し入れに集まる動物たちの方が明らかに教養がある。このイメージの転倒が可笑しい。
しだいに、その店主のウサギが若い頃に詩集を出版していたことがわかり……
なんというか、読後、情の塩梅がちょうどよいと感じた。そして映画『男はつらいよ』を思い出した(笑)でもあながち遠くはない。
うちで飼っているウサギがときどき、君は悟りを開いているのか、と言いたくなる顔つきでじっとしていることがある。それを何度も思い出してウサギの店主と重なり、よけいに可笑しかった。
(いつも思うのだが、仏像の半眼は、今にも眠ろうとしている動物の目をモデルにしているのではないだろうか)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
絵本かとも思ったけど、文字数かなりあったので、小説にカテゴライズした。
ウサギの古本屋、いいなぁ。
ミニチュアサイズの本とか、考えただけでもワクワクする。
途中で詩が出てくるのは、詩人でもある松浦さんならでは。 -
単なる「かわいい」うさぎとはひと味違った、シニカルな中年のうさぎが主人公の絵本です。