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Amazon.co.jp ・本 (563ページ) / ISBN・EAN: 9784403210662
みんなの感想まとめ
日本文学史を詩的な視点から探求する本書は、著者が読者に直接語りかける形で、歌を中心にさまざまな作品の魅力を引き出しています。『万葉集』や『古今和歌集』に見られる大伴家持や紀貫之の編纂活動に注目し、平安...
感想・レビュー・書評
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詩人でもある著者が読者に語りかけるかたちで、歌を中心に日本文学史上のさまざまな作品の魅力にせまっている本です。
『万葉集』や『古今和歌集』などをとりあげた箇所では、大伴家持や紀貫之のおこなった「編纂」という営みへの注目がなされており、長年「折々のうた」を連載してきた著者らしい着眼点を示しています。平安貴族たちが歌を詠むための手引書として編纂された『古今和歌六帖』に一章をあてて解説しているところにも、こうした著者の着眼点が生きているように感じます。
また、中世的な生き方を示した人物として、女性では建礼門院右京大夫と『とはずがたり』の後深草院二条をとりあげ、男性では藤原俊成、定家の父子と、西行の作品が紹介されています。
さらに著者は、後白河法皇が編んだ『梁塵秘抄』をとりあげています。今様を愛した後白河院は、折に触れてふっと出てくるものが歌であるという、即興性を重んじる考えがあったのではないかと著者は推測します。さらに江戸時代の『閑吟集』、俳諧や川柳、連歌などの隆盛について紹介がおこなわれており、ここでも著者は多くの人びとが参加し即興によって次々と趣向を転じていく芸術のありように読者の注意をうながしています。
最後に、正岡子規や高浜虚子によって推進された「写生」の考えと、それとはまったくちがうことばそのものの芸術性を追求した尾崎紅葉の試みについて触れられています。
たんなる文学史的事実の羅列ではなく、著者の個性が強く反映された文学史で、たいへんおもしろく読むことができました。
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