猿を探しに

著者 :
  • 新書館
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本棚登録 : 41
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403210730

感想・レビュー・書評

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  • 東大文学部教授にて名翻訳家のエッセイ集です。
    エッセイストとしてもすぐれている方ですね。
    軽妙な文体とでもいうのでしょうか、翻訳のうまい人は、当然ながら文章力がありますね。
    ちなみに彼は村上春樹の翻訳の訳文をチェックする人でもあるそうです。
    この本のジャケットは絵本作家きたむらさとしさんによるもので、それも素敵で思わず買ってしまいました(ハードカバーで買いました)。

    ところで、彼は教授なので、学生に教訓を垂れるエピソードが出てきます。
    勝手に「教授=年配のおっさん」を想像していたら、この本を書いた当時彼は私よりも若かったと気が付き、唖然としました。
    教授というのは、だいたいにおいて地味で顔色の悪い人たちと思うわけですが(筋肉粒々で日焼けしていて白い歯のスマイルがさわやかな大学教授というのはレアでありました)、そ・・・そうか・・・私が学生だったころ、さえないおっさん連中であった(はずの)彼らは、実は今の私よりも若かったのか!

    「やっぱり僕、英語そんなにできないから」というコメントが出てきて笑いました。
    同じく名翻訳者の仁平和夫も「英語なんてとても書けない」と書いてあって、笑ったことがあります。
    平均的日本人からしたら恐ろしく英語ができるはずの彼らも、仕事柄真摯に英語に向き合うから結果「英語はやっぱりわからん」ってことになるんだろうなー。

  • この本の中で共感できたことの一つに、「人間の時間がどんどん早くなっている」という柴田さんの考えがある。
    携帯やパソコンなどで便利になった現代では、事柄そのものを効率的に処理できるようになった。
    しかし、機器による時間短縮と仕事の細分化によって、人々の生活は楽になるどころか、仕事量自体が増えてしまっている。
    人の時間は感覚的に加速し、柴田さんはそこに人類自滅への兆候をみている。
    本来与えられた時間よりも駆け足で過ごす未来では、近く何かのひょうしにつまずいて、取り返しのつかない結果を招くのではないかなと不安に感じた。

    と、ここだけ抜き出すとすごく堅い内容のようだけど、実際は柴田さんの自虐的なユーモアがふんだんに盛り込まれている一冊で、素直に楽しめました。

  • 試験期間が終わりかけているのでやっと息抜き向きの本を読むことができた。日常や文学やその他取るに足りない(失敬)ことがただただ綴られているだけなのに読み終わるのがもったいない柴田先生のエッセイ。

    本の真ん中あたり、ダニエル・ソレル・クッシュマンの『五番目の車輪』を読みました、というエピソードがあった。
    どうやら和訳は出ていないようで、数行が柴田先生オリジナルの訳で抜粋で載っている。白鯨や変身など名作のパロディーが収められた短編集のようだが、読みすごせないおもしろさ。
    すぐにググってみたがそんな本も著者も見つからず、しょうがないので読み進めると次のエピソードにアマゾンでも見つからないとの投書があった旨が書かれていた。じゃ、最後に真相を明かしてくれるのかと思ったら「見つかり次第ご報告します」とされて章が終わってしまった。
    この幻の本に気をとられて先を読んでも身が入らない。
    という結果に終わってしまった。

    柴田先生の訳だからこんなに気になってしまうのか、本当に面白いのか、気になったまま。

    最後の特別対談はいらないかな、という気がした。

  • 雑誌「大航海」に連載されていたコラム、「生半可な漂流者」(1997年〜2000年)の内容を主体に構成されたエッセイ集。今回もイラストを「きたむら さとし」が担当しており、同じ新書館から出されたエッセイ集「死んでいるかしら」の続編ともいえる。「まえがき」にならないまえがきとして書かれている、本書のタイトルの決め方が著者らしい「いい加減さ」でおかしい。

  • 巻末にある絵師や編集者との打ち上げ話がアホみたいにおもしろかった。これもひとつの文章芸でしょうなあ。2005-12-03読了。

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著者プロフィール

柴田元幸(しばた・もとゆき)
1954年東京都生まれのアメリカ文学研究者、翻訳家。東京大学文学部名誉教授。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソンなど、現代アメリカ文学を数多く翻訳。
2010年、トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』(新潮社)で日本翻訳文化賞を受賞。マーク・トウェインの翻訳に、『トム・ソーヤーの冒険』『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―』(新潮文庫)、最近の翻訳に、ジャック・ロンドン『犬物語』(スイッチ・パブリッシング)やレアード・ハント『ネバーホーム』(朝日新聞出版)、編訳書に、レアード・ハント『英文創作教室 Writing Your Own Stories』(研究社)など。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌Monkey Business 責任編集。2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。

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