翻訳教室

  • 新書館 (2006年2月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784403210884

みんなの感想まとめ

翻訳の奥深さと楽しさを体験できる本書は、東大文学部の翻訳演習を完全収録しています。毎週の課題に挑む学生たちや、それを指導する柴田先生の姿からは、翻訳という作業に対する情熱が伝わってきます。特に、村上春...

感想・レビュー・書評

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  • 再読です。

    で、やっぱり面白い!!!

    東大文学部翻訳演習完全収録という本書。
    毎週、課題を与えられ翻訳に挑む学生たちも、それを添削する柴田先生(院生のヘルプがあるとは言え)も、どんなにか大変な日々だと思うのに、みんな、とても楽しそうなんですよ。
    頑張って勉強して東大に入るとこんな面白い演習に参加できるんだなぁ、とこれは前も思ったことだけど。(*^_^*)

    学生さんたちが優秀なのはもちろんだけど、とても前向きに“翻訳”という世界に取り組まれているのが素敵です。

    また、実はここが読みたくてこの本を買ったわけなのですが、演習に村上春樹さんご自身が来られて、学生の質問に答えたり(学生さんたちの驚きと喜びを想像すると、私まできゃぁ~~!(*^_^*)と言いたくなる)、また、同じ作品を村上訳、柴田訳で比べたりする章がこれまたとてもとても面白かった。

    翻訳って・・・
    「横のものを縦にする」(*^_^*) だけでは成立しないんだよね、とこれも改めて。原文の持つ世界観をいかに伝えるか、が命なんだ・・。

    以下、私の覚書のために・・。

    ●英文の語順で日本語に訳す(特に、節の順番!)のが基本。
    ●日本文のリズムを大切に。
    ●原文の持つ雰囲気を壊さないように。→ あまりにこなれた日本文に訳すと、原文の持つ“奇妙な”感じを崩してしまうことがある。あえて固い日本文に訳してみることが必要な場合もある。
    ●英文は誰の目線か、ということがはっきりしている特徴があるので、そこに留意。もし、目線が変わってきていたら要注意。
    ●主語その他の代名詞は、全部訳さないのはもちろんだけれど、半分くらいを目途にするといいかも。
    ●shockをショックと訳すと、文の中での重みが違ってしまう、みたいな、よく知る英語に要注意。

  • ふむ

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/603406

  • 図書館本。英文和訳を翻訳へ昇華する作業って、こんなに奥深くて面白いのかと驚きました。学生のときに出会っていたら‥と、後悔。村上春樹さんの特別講義も収録されていて、ちょっと得した気分にもなりました。

  • ライブ感があるようでない。
    教授の解説自体はかなり多面的・文化的で今まで自分がやってきた翻訳とは一線を画すもので新鮮。ただ自分が訳したものをそこに没頭させるだけの熱は持てなかった。

  • 1

  • この本を読んでいる数日間、楽しくて楽しくてしょうがない、という本でした。このワクワク感。読み終わって寂しい~。

    生まれて初めて、「文芸翻訳」というものに挑戦してみたのですが、こんなに楽しいなんて本当にビックリです。
    村上春樹さんが「趣味は翻訳」とエッセイに書いているのを初めて読んだ時は、「か、変わった人だなぁ~」と思っていたけど、今なら分かる。翻訳ってほんと楽しい。まったく予想していなかっただけに、まずそこに衝撃を受けました。
    毎日、仕事が終わった後、帰る前に会社で課題を1、2個自分で翻訳してプリントアウトして、その後、それを見ながら家とかカフェで本文を読む、という読み方をしていたのですが、毎日毎日、早く翻訳したくて、早く教室でのみんなの訳が読みたくてウズウズしてました。

    そして、他にもいろいろビックリ。
    まず、翻訳って時間がかかるんだなぁ、ということ。しかも、慣れていないせいか、見積もった所要時間と実際にかかる時間が全然リンクしない!
    最初にざーっと課題に目を通したとき、「カーヴァーは20分くらいで出来るかな? ダイベックとかカルヴィーノはちょっと面倒くさそうだから40分くらい?」なーんて見積もっていたのですが・・・ダイベックは人生初翻訳だったのもあって、2時間くらいかかったし、簡単そうだと思ったカーヴァーは私的には3番目くらいに手を焼いて、1時間はかかった。逆に、しっくりくる学術的な用語を探すのに手こずりそうと思った蟻の話はあっという間だったし。
    次にビックリしたのは、自分の誤訳の多さ。けっこうやらかしている。けっこうショック。
    さらに、さらに、プロのすごさに圧倒。(というか、自分の訳のショボさに衝撃)
    特に、カルヴィーノの回は、教師訳例の素晴らしさに驚愕しました。自分で「今回はなかなかよくできたんじゃない?」なんて思っていただけにその差に愕然。
    そして、最後に、ヘミングウェイにも驚いた。原文を読んだことなかったのだけれど、こんな文章を書く人だったのか、と。
    よく言われている彼のスタイルについて、これまでに読んだ翻訳ではあまりピンと来てなかったのだけど、ああ、こういうことか、これがそうか、と今さらながら分かった。日本語に移し替えると全然うまくいかなかったな。何かが増えて、あの簡潔さが減ってしまう。
    カーヴァーの文章も、なんていうか、翻訳していると、ものすごく胸に迫ってくるというか、シンプルさがズキズキ来る。これは、もっとオリジナルで読まないとなぁ、とすごく思った。もちろん翻訳者がよくないということではなく、全部そのまま味わいたい、という欲張りな気持ちからの実感です。
    ブローティガンに至っては、海にポートワイン、岩にロックンロール、この単語の流れを見た瞬間に私はあっさりあきらめてしまった。この感じ、訳せるわけないじゃんーって。

    これまで、「できればこういうことを気にして翻訳してほしいけど、そんなことまで翻訳者に求めていいんだろうか」なんて私が遠慮がちに思っていたことは全部、柴田さんは「翻訳するうえでは当然考慮すべきこと」という前提で講義しておられて、読み終わった今はもう、この人の翻訳は無条件に信頼するに至った。
    本の中で、「藤本和子は唯一、僕が原書を読む必要を感じない訳者で、すごく影響されているんで、」とおっしゃっていましたが、柴田さんご自身こそ、そういう「原書を読む必要を感じさせない訳者」の一人だ、と思う。

    しかし、楽しかったなぁ。この本。
    趣味で翻訳、って、絶対楽しいと今は思う。
    習いに行っちゃおうかな~とすら思う。みんなで、あーでもない、こーでもない、と作者の意図とか、日本語や英語の含意みたいなのを語り合うのが楽し過ぎる。

  • こんな講義受けたかったなあ!私の脳みそじゃ東大になんか入れないしそもそも文系じゃないけど。
    各々が己のポリシーを持った議論って楽しいよねえ。

  • 翻訳とは正解のない作業。それでも精度を高めようと表現を練る教師と学生たち。日本語の表現の豊かさを感じさせる。

  • 2015/03/16 読了

  • こんな授業があれば絶対とりたいな。さすが東大生と、自信を削がれかけもしたが自分の方がニュアンスをつかめてるなと思うところも二、三カ所あり、モチベーション上げる次第。

  • 翻訳者、柴田元幸先生が東大で行った翻訳の講義をまとめたもの。
    購入したのは3,4年前だったが、忙しくてなかなか読めなかった。
    課題の原文が9作あり、これらを訳してから先生の講義の文章を読まないと勉強にならないため、読み進めるのに時間がかかる。
    翻訳者として、決して見過ごしてはならない英語の表現はもとより、日本語にもかなりこだわって、学生さんと議論しながら良い訳文を作っていく。
    原文があって、それを文法通りに意味を取るならだれでもできるが、翻訳はそれを日本語にするだけでなく、作者の気質、これまでの作品、書いたときの状況なども把握しないと、原文を正確に日本語にすることはできない。
    例えば、小説はほとんどが「で・ある」ちょうだが、場合によっては「です・ます」調で訳すこともある。
    このような選択は、作者のことも作品全体のこともよくわかっていないとできないのである。

  • 読むの2回目。柴田元幸氏による東大翻訳講座の記録。先生と学生との、世間一般からみたらどうでもいいような熱いディスカッションは何度読んでも刺激的。ゲストとして日英翻訳家のジェイ・ルービン氏と村上春樹まで登場し、「ああ、何かにかまわず、学問ってこういうふうに発展していくんだな」というのを実感できる。些末な事柄についてとことん具体的に論じ合う、これこそ学問の理想の形ではないだろうか。

  • 翻訳者としての柴田さんのファンとして手に取った一冊。
    雰囲気にあわせた訳をするという印象はありましたが、
    原典の表現一つ一つをくみ取ろうとする誠実さに感嘆させられました。

    英単語のこまやかなニュアンスの説明、
    そして、小説の背景についての解説も流石なのですが、
    それ以上に印象的だったのが日本語への気配りです。
    日本語についても学ばせられることばかりで、
    これはもう一種の文章読本と言い切りたい気持ちです。


    自分でも英語を頭の中で訳してみては、
    学生さんの訳の工夫に唸らされ、
    それについての改善点を考えては、
    その上をゆく先生の指摘にはっとさせられる。
    その連続の中で知的興奮が高まってゆく、とても楽しい読書体験でした。

    この後ここで知った小説を読んで楽しめると考えると、
    一度で二度も三度もおいしいわけで、実に素晴らしい本ですね。

  • 翻訳家になりたい気持ちがまたむくむくわいてきてしまう1冊。
    東大入ればよかったw

  • ジェイ・ルービン「英語は動詞がものすごく強い。日本語はだいたい副詞プラス動詞を使うと強さが出るけど、そのまま英語にするとせっかくの強さがなくなる。だからなるべく強い動詞を使って、副詞を使わないようにしています」p135

  • 柴田元幸先生の講義を収録。おもしろすぎ。こんな贅沢な教材ってないんじゃなかろうか。鋭意勉強中。

  • 翻訳教室(柴田元幸)

    Jay Rubin:

    とにかく翻訳とは科学的なものじゃない。どうしても主観が入る。それが入らないと、人間のやる作用じゃない。客観的に、何の感情もいれないで訳しても、ある言葉の文法をもう一つ別の言葉の文法に移すだけで、無茶苦茶になってしまう。個人の解釈が入らないことには、何も伝わってこないと思います。だからこそ翻訳というのは古くなったりもする。いわば「廃り物」。

    (P145)

    村上春樹:

    以来、二十五年間、小説かいては翻訳やって、翻訳やり終えると小説を書いてって言う風に、僕は「チョコレートと塩せんべい」と行ってるんだけど、チョコレートを食べて塩辛いものを食べたいなと思うと塩せんべい食べて、甘いものがいいなと思うとまたチョコレートを食べて。永遠に続くんですよね。雨の露天風呂ともまた々。出ると冷えてお風呂に入るとまた暖まるからまた出て冷える。一種の永久運動ですね。

    (P151)

    村上春樹:

    体力がなければ何もできないですよね。単純な話、いくら能力があったとしても歯が痛かったらものなんて書けない。肩が凝ったり腰が痛かったりしたら机に向かって仕事なんてできない。そういう意味で体力は必須条件なんです。僕はこの二十何年間で二十何回フルマラソンを走っているけれど、みんなは馬鹿だっていうんだよね。でも、僕がずっと思ってきたのは、体力がなければ何もできないということ。というのは、集中力というのは体力なんですよ。若いときは集中力っていくらでもある。五時間机に向かってずっとやれって言ったらできる。体が丈夫だから。でも、それが三十になり四十になり五十になってくると、体力がなければ集中力って続かないです。だから小説家でも若いときにすばらしい作品を書いて、そのあとだんだんパワーが落ちて行く人がいますけど、その原因はほとんどの場合体力ですよね。シューベルトとかモーツァルトのように才能がどんどん溢れ出て来て、溢れ出るだけ溢れ出させて、それがとぎれたらおしまい、死んでしまう人もいるわけだけど、ほとんどの人の場合パワーが落ちていくのはすなわち体力が落ちていくこと。だから僕は若いときに決心して、体力だけは維持しようとずっとやってきた。

    (P181)

    柴田:読者の声は聞かれますか?

    村上:インターネットでウェブサイトをやっていたときは全部読みました。僕がそのときに思ったのは、一つひとつの意見は、あるいはまちがっているかもしれないし、偏見に満ちているかもしれないけど、全部まとまると正しいんだなと。僕が批評家の批評を読まないのはそのせいだと思う。というのは、一人ひとりの読者の意見を千も二千も読んでいるとだいたいわかるんですよね。こういう空気があって、その空気が僕のものを読んでくれているんだということが。悪いものでありいいものであったとしても。で、一つひとつの意見がもし見当違いなもので、僕が反論したくなるようなものだったとしても、それはしょうがないんですね。
    僕は、正しい理解というのは誤解の総体だと思っています。誤解がたくさん集まれば、本当に正しい理解がそこに立ち上がるんですよ。だから、正しい理解ばっかりだったとしたら、本当に正しい理解って立ち上がらない。誤解によって立ち上がるんだと、僕は思う。

    柴田:そういうと、その批評家一人の声は読者一人の声と同じものだということですか?それともまた別のものですか?

    村上:たとえばウェブサイトに批評家がメール送ってきたとしますよね。そうするとそこにメールが2000あったら2000分の1ですよね。よく書けている批評家もしれないけど2000分の1。僕がとらえるのもそういうことです。

    (P187-188)

    村上:あのね、僕が小説を書くときいちばん役に立った言葉というのはフィッツジェラルドのものなんだけど、彼が娘に宛てた手紙の中で「人と違うことを語りたかったら人と違う言葉を使え」と言っています。だからね、文章を志す人はほかの人とは違う言葉を探さないといけないんですよ。プロになるにはそれはすごく大事なことです。そして僕も、翻訳したり小説を書こうと思ったとき、これまで使われてない言葉を一つか二つ、使おうと思っているわけ。

    (P189)

  • 村上春樹の回が読みたくて買った。

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著者プロフィール

1954年生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者。
ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソン、レベッカ・ブラウン、バリー・ユアグロー、トマス・ピンチョン、マーク・トウェイン、ジャック・ロンドンなど翻訳多数。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、『メイスン&ディクソン』で日本翻訳文化賞、また2017年に早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。
文芸誌『MONKEY』(スイッチ・パブリッシング)責任編集。

「2026年 『私たちがやったこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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