バレエ入門

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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403230820

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  • 古代ギリシア文明→ローマ帝国→キリスト教→ゲルマン民族侵入→ローマ・カトリック布教→信仰とともに農業技術が伝わり、人々が豊かになりヨーロッパ各国のもとになるような集団がつくられていく

    ロマネスク(ヨーロッパ中世。ローマの影響が未開の土地に及ぶ)→ゴシック(ヨーロッパの森林信仰をとりいれている)

    ルネサンス(ついでにいうと、ヨーロッパの中心はイタリア→スペイン→オランダ→イギリスと金回りのいい国は移っていく)
    フランスは基本的に農業国で、王の権利を拡大することに尽力。→フランスの宮廷文化にほかの国々も憧れる

    ルイ14世の頃の文化をバロックという←ゴシック(神秘的で暗い)とルネサンス(合理的で明るい)を総合した

    バロック→ロココ(洗練繊細。一瞬でロマン派にとってかわられる)

    シャンソンは語り、カンツォーネは歌う。フランス人は語り終えたところから踊り始める。(吟遊詩人の伝統もあり、民衆にも宮廷にもダンスが好まれる)イタリア人は歌い上げるところはあくまで歌い上げると思うとわかりやすい。
    イタリアオペラがフランスに入るとバレエが中心になる。

    ルネサンスになって、プラトン、古代ギリシア、古代ローマが復興。
    ルネサンスの頃の新プラトン主義とはヨーロッパ古来の神々をキリスト教に適合させた。
    アポロ、ダイアナ、ヴィーナスなどを舞台化して紹介することにイタリア・ルネサンスの人々は関心をもつ→バレエがカトリーヌドメディシスの嫁入りでフランスにもたらされ、文明国イタリアの礼儀作法のエッセンスとしてのバレエと同時に、人々は舞台に世界を見ようとした、その宇宙の中に彼らの王や王妃の姿を見た→王妃のバレエコミック

    バレエはある意味遠近法の芸術
    コールドバレエは閲兵式から生まれたという説がある
    位階制に対応している
    ダンサーにも厳しい階級がある

    ルイ14世はアポロの役を演じるのが好きだった(太陽王とはそういうこと)

    リュート→チェンバロ→バイオリン→ピアノ
    ルネサンス→バロック→ロココ→ロマン主義

    中世から近世にかけて教会音楽→宮廷音楽→民衆音楽 この順に洗練されていった
    イタリア(先進国)で民衆音楽としてオペラが盛んだったころ、ドイツ(後進国)はようやく教会音楽が盛んになりバッハが登場
    絶対王政下のフランスでは宮廷音楽のバレエが絶頂期

    18世紀後半、フランスのオペラバレエが、イタリアでは声の芸術としてのオペラに、フランスでは身体の芸術としてのバレエに、ドイツでは器楽の芸術としての管弦楽に、わかれてそれぞれ開花していったように見える
    19世紀にはイタリアではロッシーニからヴェルディまで素晴らしいオペラ、フランスではアダンやドリーブまでバレエ曲、ドイツはベートーベン等素晴らしい交響曲が次々作曲されていく(モーツァルトは例外)
    (これらは20世紀に再び合体する)

    フランスではルイ14世→啓蒙(フランス革命を惹き起こす)のバレエ→ロマンティックバレエへと飛躍(ナポレオン戦争の結果、国際化が逆に各国に民族主義をまねく。各国独自の歴史に関心をもつようになり、民話や伝説を集める)

    バレエはイタリアに生まれフランスで育ちロシアで成人になる。
    ピョートル大帝はヨーロッパ、とくにフランスに憧れ、バレエもかなり早い段階で移植された。
    教師監督ダンサーをイタリアやフランスから招く。

    プティパばグランパドドゥを確立。助手のイワノフによりバレエ・ブランをいっそう深化。
    19世紀半ばになると、産業革命が進行して、男性は職場女性は家庭という区分が成立、人前で踊るのは特殊な階層の女性ということになるが、ロシアでは産業革命の進行が遅かったので、男性が雄々しく踊る伝統がのこっていた。
    また、ロシアは中央アジアに属しているから、遊牧民の伝統が残っていて、曲馬団の芸のような踊り(農耕民には驚異!)がのこり、その芸がバレエに取り入れられる

    19世紀末、ペテルブルグを訪れたブルノンヴィルは「王子が王女を持ち上げたり、振り回したりするというのは現実にありえない、礼儀にもとる」と批判したが、観客は喜んだ。
    人間と人間の信頼関係が目に見えるそのことのほうがはるかに重要だと思ったから。

  • バレエについてルネサンスから現代まで、時代を追っての歴史、考察が示された本。

    著者のバレエについての知識も鑑賞経験も豊富なことが伺えました。が、少々詰め込みすぎな感じも。


    いちばん気になったのはこの記述なのですが、これは著者独自の見方なんだろうか。
    わかるけれどもざっくりしすぎていて、ちょっとピンとこない。

    P33
    「自分が生まれて生きて死んでゆくそのことが、世界のなか、宇宙のなかでどんなふうに意味を持つのか、そのことを納得したい。人間、誰でもそう思っています。こうして宗教や哲学が成立したわけですが、それをコスモロジーと言います。キリスト教にはキリスト教の、大乗仏教には大乗仏教のコスモロジーがあります。ダンスは必ずこのコスモロジーにかかわる部分を持っているのです。」


    とにかくも紹介されている踊りを観たくなりますね。
    自分としては著者が「抽象的バレエ」と呼んでいるものに興味があります。

    Martha Graham "Primitive Mysteries" (1931)
    Alvin Ailey "Revelations" (1960)
    Pina Bausch "The Rite of Spring" (1975)
    Jiri Kylian "La Cathédrale engloutie" (1975)

  • ・モードリス・エクスタインズという人が『春の祭典』という本を書いています。バレエの本というよりは、第一次大戦前後のヨーロッパ社会の姿を浮き彫りにした本ですが、そこに『春の祭典』初日の状況が描かれています。というより、どうしても描けないということが描かれているのです。その場に居合わせた人々の証言がてんでんばらばらで、検証しはじめると、どの証言が正しいのかわからなくなってしまうというのです。ただ、ものすごい事件であったことだけは分かる。これはどういうことかといえば、歴史的な事件というのはほんとうは人間の心のなかでしか起こらないということなのです。そして、人間の心のなかで起こる以上は、その意味は決して一様ではないということなのです。
    世界の歴史も日本の歴史も何度も書き直されてきました。今後も書き直されつづけるでしょう。歴史は客観的なものではありません。それは過去と現在の関係、現在を生きる人々との関係なのです。現在が変われば歴史も変わるのです。


    ・意味が変わりつづけるなら、バレエはとて不確かな芸術であるということになりそうです。歴史も不確かな学問ということになる。でも、そうではありません。逆です。不確かなものを確かなものにしようとして、人はバレエをさらに熱心に見ようとします。感動を確かめようとして再び劇場に足を運ぶ。そのとき人は、よりいっそう深く感じる心を養っているのです。


    ・生きることの歓びと哀しみをどれだけ深く感じることができるか、それは感動する心の豊かさにかかっています。ほんとうは歴史もそういうものなのです。歴史の本質は文学であり芸術です。人類という持続する生命に感動する心なのです。ほんとうの歴史家ならばそう考えていると思います。歴史はそこで神話や伝説に接しています。

  • 初めてのバレエの鑑賞に際して、最低限の背景を知ろうと思い、読みました。書き方は、よく言えば平易、悪くいえば論理性は高くないと言ったところでしょう。
    興味を持ったのは、やはり人間だけが踊り得る存在だということ。それに続く、生きる限り、人間は言葉を持ち、表現をする手段を持つという指摘。特に、20世紀という戦争に塗れ、生死の意識が顕在化した時代を潜り抜け、踊りは進化し続けた。
    またバレエを見終えたら、もう一度この本を読みたい。

  • 有名作品やマイムやパの解説ではなく、ユリイカや現代思想の編集長だった著者ならではの思想史文化史をからめてのバレエ史入門。平易な語り口で知識がなくとも読みやすいし、かつ、バレエ、振付師、ダンサーの魅力を熱く語っているのでとても楽しい血の通った入門書。連載エッセイか講演録をまとめたものなのかな。簡略に語る大筋からそれないように、ここでお話することではないので、このへんで元に戻ります・・と書かれ、そこをもうちょっとお聞きしたいんですがという箇所が幾つか(笑) メモ)三浦さんの対談http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/027/talk.html

  • バレエの歴史、成り立ちがよくわかった<br />

  • 右も左もわからないバレエ初心者ですが、大まかな流れが理解できました。読み易い内容です。バレエ史上の重要人物の系譜も分かるので中級者以上が読んでも良い本だと思います。

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