東大駒場学派物語

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403231131

感想・レビュー・書評

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  • プロ野球中継においては、監督になることを諦めた解説者の言うことはおもしろい、という定説があり。
    まあ、その学術版というべきでしょうか。
    おもしろいのですが、読めば読むほど切なくて、読後のやるせなさといったら、ない。

    小谷野さんの本は、もてない男とか、バカのための読書術とか、そういったあたりしか読んだことはなかったですが、
    その当時も、権威にけんかを売る、というか投げやりなところが心地よかった。
    でもねえ、ここまで来るとやり過ぎというか。
    年が近いあたりの記述になると、少しずつ知っている人間のことがでてきて、ちょっと生々しすぎ。

    とはいえ、人文系の院を拡充した結果、「比較」みたいなことを研究する人間が大量生産されてしまってもなぁ。
    役に立つ立たない、の言い方で片付けるのは回避しても、
    少なくとも、、国の予算を使ってやるほどのことはないよな。
    氏の言うように、大学院拡充というのは、ノーベル賞を取る人を増やす、とかいうあたりの狙いから来ているのだから、
    別に文学部とかの院を増員する必要はないですよ。

    昔、カルスタ系のシンポジウムに行くと、二流・三流大学の院生がうようよしていて、
    揃いも揃って、理論研究は無理だけど、実証研究的な文化研究でなら身を立てられるかも、みたいな感じがイヤだった。
    カルスタというのが、反体制的な文化研究を気取ったり、知を解体するのだ、と言ったりするのは百歩譲ってよしとしよう。
    でも、それで、どこぞの大学の講師になることを希望するっていうのは、
    それはそれでアカデミズムの権威を認めていることになるんじゃないのか?
    と問いたくなる気もあり、しかし不毛なので、
    とりあえず自分は、そのイヤーな感じの世界からはさっさと足を洗ったのでした。

    しかし、自分らの世代で「比較」に進んだ人で、大学に残っている知り合いを知らない。
    ほんとに、駒場の院なんて行くもんじゃない。

  • 学閥抗争の実態。

  • 東大教養学部の比較文学比較文化研究室と比較文学会を指して、駒場学派と言うそうです。昔から独特の学部だったと思いますが、そこの4天王(芳賀 徹、平川祐弘、小堀桂一郎、亀井俊介)を中心とした歴史を書いているものです。島田謹二という伝説的教授の「美少女」好みの伝統から、ある人がホモであった?とか、ゴシップの連続。学問の府といいながら赤裸々な姿が生々しいです。(本当かどうかは疑問ですが・・・)学問的なことよりは、彼らの人間味あふれる個性を欠いているというもので、面白いのですが、この著者は恩師たちに関してよくもこんなことを書けたと思います。西部邁の中沢新一招聘失敗などのニューアカデミズムとの関わりなどは、知っている興味深いところです。しかし、綺羅星の如く、聞いたことがある名前が並んでいます。またシンデレラ・ガールたちとして紹介されている女性たち 特に佐伯順子二十六歳の『遊女の文化史』などが印象に残りました。

  • 西部邁ウォッチャーとして、辞任の引き金になった中沢事件の第三者による話を期待していたが、それほどの情報はなかった。近代とは左翼であるから、その反動としての保守・右翼・復古主義的な空気が駒場学派のエッセンスというのはわかるのだが、そもそも日本の研究をするのがなぜアンチ左翼になるのかという疑問は残る。著作のカタログ史としての利用価値はある。興味深い文献がいくつかあった。学内政治好事家にはそれなりに楽しめるだろう。おそろしく限定されたマーケットだがw

  •  題名を見てすぐ本屋へ走った。この題名をみて、あ、東大教養学部の比較文学比較文化のどろどろした物語かと想像できたらかなり通だ。本書には、そこに集まる人々の業績に対する小谷野さんの評価(毀誉褒貶)はもちろん、どの教授がどんな指導をするか、どんな研究をするといられなくなるかから、だれとだれがくっついたとか、どの教授が女ずきかなど、どろどろした人間関係が週刊誌さながらに描かれている。(もちろん、大部分はしかるべき根拠がある。)通読してみて、この比較文学比較文化という専攻に集まった人たちがいかに才能あふれる人たちかがわかる。自分の書棚を見渡し、その人たちの本がいかに多いかを改めて知った。実はぼくはこの中のH先生の出版祝賀会に一度出席したことがあるが、その雰囲気はちょっと外部の人間には相容れないものがあった。本書の「間奏曲」は小谷野さんの駒場物語で、本書を書かせたエネルギーは、かれのひがみねたみなんだろうなあと感慨にふけった。佐伯順子さんに対するしつような攻撃も愛の裏返しなんだろう。今橋映子さんの方はお姉さん格だから、攻撃の手があまり伸びないのだろうなどとも思った。実はぼくはこの本を読む前の夜、そのH先生に電話をして久々にお宅にお邪魔しようとまで思っていたのだが、小谷野さんのH先生の描き方があまりに強烈であったので、電話をするのをためらってしまった。

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