meet,again. (ミート・アゲイン) (ディアプラス文庫)

著者 : 一穂ミチ
制作 : 竹美家 らら 
  • 新書館 (2012年1月7日発売)
3.69
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  • 本棚登録 :269
  • レビュー :28
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403522956

meet,again. (ミート・アゲイン) (ディアプラス文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 『雪よ林檎の香のごとく』のスピンオフ。あのヤンデレの栫先輩のお話。(デレはどこだよ!)いざレビューを書こうと思った時、このお話は一体何にカテゴライズされるのか一瞬考え込んでしまった。結論として、サイコサスペンスかなと少し思った。恋愛はあくまでも付加的なもの・・・っていうか、これを恋愛小説と呼んでいいのか、わたしには正直わからなかった。『雪よ林檎の~』でも、栫先輩は十分に壊れている人だと思っていたけど、そんなもんではなかった。その壊れっぷりは半端ない。ただ、本作を読むと、栫の人格がどうして壊れてしまったのかの理由がわかる。プロセスは詳しく明かされていないけれど。
    それは、五歳の時に突然行方不明になってしまった結合双生児の兄弟の禄朗の存在。
    ふたりは完全なシンメトリーだった。ふたりでひとりだった。だから栫に残されているのは、失われた半分の強烈な不在。片割れがいなくなってしまったのに、どうして自分だけが残っているんだろうという自分の存在意義への単純な疑問。そして彼の両親は、『失くしたものを気に病むあまり、その手に残されたものを健やかに育むことができなかった』
    それは想像を絶するような人生だったのだろうな。希望を持ち続けることの絶望を目の当たりにしてきた人生というのは。
    栫は周りにいる人たちを恐ろしいまでの冷静さで観察し、誰にも見られたくない秘密を暴いてしまう。でもそれは、彼にとってはゲーム、ほんの暇つぶしに過ぎない。それぐらい歪んでいる。きっと彼には感情のフィルターはないから、物事がありのままの正確さでみえてしまうのかもしれない。そんな栫だけれど、嵐は特別な子なのだろう。賢くて強い。栫の人格が破たんしていて、決して自分を愛したりはしないだろうとわかっているのだけど、やっぱり好きだからそばにいるのをやめない。それを選んだのは自分だと言い切れる潔さがある。嵐は栫の予想の斜め上を行く。だから、貴重で大切でおもしろい。栫にも嵐をグシャリと壊すことができない。だから、きっと手放せない。
    エンディング、行方不明の禄朗が白骨遺体となって発見される。それがわかった途端、栫はこんこんと眠り続ける。生きることをあっさり放棄するみたいに。まるで禄朗のいない世界では生きたくないというみたいに。
    でも、嵐の声で目を覚ます。
    『あなたが、確実に存在する世界なら、まあ、起きてもいいか』と思えるぐらいに、嵐は特別な存在なんだろう。
    この物語には、目に見える形のハッピーエンドは何処にもない。でも、ふたりはふたりにしかわからない形で、きっと幸せなのだと思いたい。
    読後、ホッとしてうっすら笑いたいような、泣きたいような、そんな気分になる。

  • 買うかどうか、ずっと迷っていたけど思い切って購入。けっこう重め。けど思っていた以上に大丈夫で涙しながら読みました。『雪よ林檎の~』よりも『meet,again.』の方が好き。清濁あわせ呑む嵐の恋。嵐の想いが、あの栫の心の底にある雪や氷を少しずつ溶かしていくようで、私はその小さな変化に魂をぐっと鷲掴みにされました。大人っぽい仕上がり。『ナイトガーデン』や『藍より甘く』などど並んで、私の中では一穂さんの陰の快作に入ると思う。10周年ファンブックのSSを読んでいまホッとしている。

    2017年積読本消化43冊目。『雪よ~』と共に本棚保存。

  • 『雪よ林檎の香のごとく』に出てきた栫くんのおはなし。壊れてしまった攻めとピュアで、でもピュアなだけじゃない強さと痛みを知ってる受け。ハッピーエンドとは言えないけれど、この二人でしかありえない特殊な関係性を丁寧に描いてる。BL的な萌えもありつつ一般文芸にも通じそうな空気感で、一穂ミチという作家の独自性をあますところなく味わうことができる。傑作。

  • 最近「雪よ林檎の〜」関連を再読して栫の闇に揺さぶられたので再読。初読時より衝撃が大きいのは自分が年取ったからかな。栫が嵐を「あなた」と呼ぶ度に胸が痛む。「嵐がいちばん傷つくやり方で返してくる…栫が目の前からいなくなり、もう会えなくなることだ」全てにおいて人間の死への恐怖をひしひしと感じさせる。後書きに変えてのSSは栫が嵐に会いに行く過程。巧すぎる。欲を言えば栫が嵐と呼ぶのを見たかった★竹美家ららさん絵しか考えられない

  • 一穂さんのデビュー作である作品のその後のおはなし。
     ※主人公の志緒がちょいちょい出てきます。

    読み終えてから、ふふふ…と笑ってしまった。
    あまりにもわからなすぎて、いろいろと。
    理解・共感・納得、ただのひとつもできないままだったのに
    文章がサラサラとした砂みたいで、気付けば読み終えていたという。。
    なんだろう、この感じ。
    重苦しさが後からじわじわ効いてきそうな・・・

    <関連作品>
    『雪よ林檎の香のごとく』

  • 「雪よ林檎の香のごとく」のスピンオフ。なんて言うか、とても感想を上手く伝えるのが難しい1冊です。栫の破綻した人格は読んでいて痛いし重いし、嵐にそこまで想われる何かを持っている様にも思えない…。でも、なんか、ウ~ン… それだけだと嫌いな雰囲気になるのですが、そこまでいかないというか。読み終わってこんなに困ったのは初めてかも知れない。また読んだら今度は上手く感想を書けるかな…。

  • 正直言ったら不満ですねー。
    分量が足りない気がしますねー。
    もっとカコイを好きになって本を閉じたかったんですよ。
    未満でした。。。

    一穂さんの比喩多用が今回は気になってしまったの。
    『雪よ~』はそう思わなかったのになあ。

  • 林檎〜のスピンオフ、人の感情を玩具のように弄ぶ脅威の男・栫と何故かそんな彼にどうしようもなく引き寄せられてしまった生協バイトの青年嵐のお話。
    BLのレーベルから出てはいますが、物語の本質は数奇な運命に翻弄される人たちのサスペンスドラマなのかな。
    止まった時間に囚われて壊れてしまったそ栫とその家族、母親である翠子の描写はぞっとするほど。

    5年間付かず離れずの距離で友人として付き合い続けてタイミングを見計らったように秘密を暴いて感情を砕こうとする栫は怖すぎる……。
    内側から破綻した栫にとって、それでも自分から離れようとしない嵐は彼が初めて手にした希望であり、生きる意味に繋がる程の唯一無二の存在なのだろう。
    嵐が栫に絡め取られてしまったように、栫もまたずっと、嵐に見えない引力に似た強い力で引き寄せられていたのであろう事が端々から感じられます。

    シンメトリー、砂時計、二人で行った深夜映画、ガラス……それぞれのモチーフが印象的で読んだ後も鮮烈に残り続けます。
    砂のようにさらさらと流れ落ちていく文章と物語の運び、人間心理がどんどん暴かれていく描写や独特の台詞回しから見えるキャラクターそれぞれの生々しい人間性にはなんだか凄い物を読んだな…と唖然とさせられました。
    (hello,againでの二人の変化は『互いに離れられない』と想いを強く深めたからこそなのかな、と。)
    一穂さんの頭の中はどうなってるんだろう、と圧倒されつつ息もつくのを忘れて読み進めました。

  • 終わってすぐに、何だろう…と感想がでてこずに悩む。
    1回読んだだけでは消化できない、できてない感じ
    栫について、栫と出会ったことで変化した嵐について、それぞれ考えたくなるような話
    最後の最後で関係が交わった二人。
    次は二人の続きを見てみたいな。
    ウェル ミート アゲインの歌詞を聞いたシーンでは泣きそうになりました

  • 人気作のスピンオフ。うーん、私には難解すぎたのかも。
    とにかく互いが恋に落ちる心の動きが理解できなかったのが大きな敗因。キャラクターはいいんだけどね…。一穂さんは大好きな作家さんなんだけど、私的に合う合わない話があるので残念だったな。

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