頬にしたたる恋の雨 (ディアプラス文庫)

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  • 新書館
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本棚登録 : 152
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403523090

感想・レビュー・書評

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  • 興行師の瀬島×元落語家の万歳師・文彦。昭和初期・万歳黎明期の大阪が舞台。
    とてもおもしろかったです。ふたりの恋物語はもちろん、文彦が失意から新しい道を歩みだす過程がとても引き込まれました。文彦の周りのひとたちの人柄が、読んでいてとても気持ちよいのもよかったです。団子と文彦の褒め合いは延々続きそうで微笑ましい。真寿市師匠の存在感も大きかったなぁ。
    最後の短編は戦後のお話。団子の息子から語られる戦時中の話が胸に迫り、そしてそのときのふたりに思いを馳せずにはいられませんでした。いつまでも穏やかな仲睦まじい様子が見られて本当によかったなと思います。

  • 落語家のもずは寄席の主の瀬島から解雇されてしまう。落語が好きで、祖父との思い出で、大切に思っているのに、高座でうまくいかない。
    そんなもずにある日瀬島は万歳をやれという。
    様々な葛藤がありながら万歳の道に進むもずを瀬島は導いてくれて…

  • 人気のない落語家だった受が、興行師でもある攻の勧めで漫才師をめざす。恋愛要素だけでない物語性に強く惹きつけられた。落語への未練と葛藤、新しい娯楽である漫才への抵抗など、まさに一代記と呼ぶに相応しい作品。戦争後の相方の子供視点も良かった。秘めたる攻の執着にも萌え。素敵なお話でした。

  • 昭和初期の興行師×芸人の話。
    売れない落語家が寄席の主の勧めで
    当時格下扱いだった万歳(漫才)を始める
    サクセスストーリーです。
    お話自体も読みやすく面白かったです。
    男らしく魅力的な攻めに
    大人しく健気な受けが開発されていくさまが
    非常にエロくてよかったです。
    志水ゆきさんの挿絵がピッタリでした。
    会話は昔の大阪言葉なのですが、
    地の文は標準語なので読みやすいかと。
    ただ根性悪を「コンジョワル」と表記するのは
    関西人的に発音のニュアンスは分かるんですけど
    字面的に「コンシェルジュ」とか他の言葉を
    思いだしてしょうがなかった。

  • 万歳シリーズ逆走中。
    時代もののせいか柔らかな大阪弁で、京訛りとはまた違った色っぽさが◎。
    久我さん面白いなあ。

  • 昭和初期の漫歳師を描く。
    落ち目の落語家、もずはついに寄席を解雇されてしまう。
    だが、同時に寄席の主から、漫歳師への転向を進められ…。

    漫歳が台頭してきた頃の話。
    テーマが目新しく、時代背景もしっかりしているので恋愛以外の部分も面白く読めた。
    BLとしては…受けの奥さんぽい感じがあまり好きではなかったので、萌えからは対象外でした。
    好みの問題かと。読みやすくてしっかり書く作家さんです。

  • 受けの方言がエロくてたまりません。
    瀬島が可愛がるのもわかります。

  • 席亭(興行主)×解雇された落語家

    寄席に出てもウケない落語家である主人公は、ある日解雇され寄席に出ることができなくなってしまう。落胆する主人公に席亭が「万歳(漫才)に転向してみてはどうか」と提案をしてくる。落語を志、かつ万歳という新しい芸に抵抗がある主人公だが、実際にその芸を見ることで見直し、相方にも出会ったことで万歳の道を進み始める。そのすべてを見守り導いてくれた席亭に対し恋愛感情を抱くが・・・。

    帯の「おまえが可愛いて、いじらしいてたまらん。」の一文にスッコーンとおとされて購入。
    時代物、お笑い(落語・万歳)、大阪モノ、包容力のある攻め…
    なんですか、私の好きなもの詰め込みましたか!って感じでした。
    これはもう運命だと思います。
    すっかり作者さんを見るの忘れてましたが、みたら久我さんでしたので納得でした。
    内容ももう抜群です。
    一番は、最後の短編ですね。しっかり物語をしめて幕をひいてくれたと感じました。
    超おすすめです。

  • 久我さんお得意の大阪弁で綴られる艶っぽいお話。
    昭和初期、万歳が生まれた頃が舞台ですが、その熱い息遣いがこちらにも聞こえてきそうでした。

    カップリングは、寄席の主×落語家から転向した万歳師。
    くっついてからの二人の艶っぽい事と言ったらもう、こちらが赤面しそうなぐらいで、えっちも濃厚です。
    しかしそれだけではなく、骨太なストーリーがグイグイ来て引き込まれていきます。

    個人的には、最後のエピソードが短いながらも好きです。
    万歳師の相方の息子と新聞記者達が語ってくれる、戦中、戦後の彼らの姿に、きっとこんな事は現実でもあったのだろうなと切なくなりました。
    しかし、最後にちらりと出た二人は、ああこの二人はこれからも変わらないのだろうなと思わせてくれて、読後感も爽快です。

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著者プロフィール

(くがありか) 2003年ディアプラス文庫『キスの温度』(新書館)にてデビュー。BL各社で活躍する小説家。

「2020年 『君と狸と幸せごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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