エキセントリック・ゲーム―シャーロキアン・クロニクル (1) (ウィングス文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403540028

作品紹介・あらすじ

「きみは、誰なんだ?」「モリアーティと呼べばいい」19世紀後半、舞台は霧かすむ秋のロンドン。無意識の盗癖に悩む青年貴族デレクのもとに現れたのは、黒髪と灰色の瞳を持つ理知的な若い男だった。青年に翻弄されながらも、デレクが彼を憎むことができないのは…。表題作の他、青年の過去に迫る書き下ろし「夢の殻」を収録。注目の大型新人、真瀬もとのデビュー・ノヴェル!謎が謎を呼ぶミステリアス・ロマン、今ここに開幕。

感想・レビュー・書評

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  •  モリアーティ(本物)にある意味で人生を狂わされたモリアーティ(仮名)青年の話。

     物語自体は特に仕掛けや伏線が張り巡らされている印象もなく、単純に与えられる情報を読み進めつつ最後に「ああ、そうだったんだ」と感じる程度のつくりをしているので、アレコレ考えながら「先が気になる!」となるようなワクワク感は特には無かったです。
     登場人物も全体的に薄味で、特にこれといって「好きかも」と思えるキャラクターには出会えず……一巻目だから致し方無いのかも知れません。

     「謎の青年」という面を強調したかったんだろうなあとは思うものの、この話のメインキャラクターであるデレク青年の館に転がり込んできた後のモリアーティ青年の描写が絶妙に的を射ないふわふわとしたものだったので若干読みづらかったです(ただこの物語自体はデレク青年視点で展開するので、そういう意味ではこのモリアーティの描かれ方は妥当だったのかも)
     途中で取って付けたように「死者の魂の持つ色彩が見える」という女性が出てきたり幽霊が出てきたりというのもちょっと……。ただ読後感自体は悪くなかったです。

     「シャーロキアン・クロニクル」と銘打ってはいるものの、一巻目の時点ではホームズやワトスンといった正典の主要人物は姿を見せず。レストレード警部の名前は出てきますが「ホームズものなので取り敢えず名前を出しておきました」程度の印象。
     作中の人物がモリアーティ青年に対して「彼はもしかしたらジェームズ・モリアーティとシャーロック・ホームズの一人二役を演じていたのかも知れない」といった旨の発言をするので、もしかしたら主役のモリアーティが=シャーロック・ホームズなのかも? といった印象を与えるだけで一巻目は終了。

     全体的に物足りなさだけが残った話だったので、二巻目以降の展開に期待します。

    (余談)
     「シャーロックの実の母親が家庭教師モリアーティとの不義の愛を咎められて夫(=シャーロックの実の父親)に殺害される」という話は『シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険』の映画版で有ったかと思いますが、こちらの『エキセントリック・ゲーム』では家庭教師と不義の愛を結んだのが主人公の実の父親となっているあたり大胆に行ったなあというか、今後も(出版社的に)その手のネタは出て来そうだなと思いました。

  • 作者の方は推理小説も書かれていて、本家の解説もされてます。
    発行レーベルにとらわれず手に取ってみてください

  • ホームズとはまったく別モノの話ですが、正典+αのシャーロッキアン的な知識がある読者に向けて書いているようなストーリーです。最終巻まで購入。

  • ライトノベルですが、本格シャーロックファンが読んでも面白いシリーズではないでしょうか。

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著者プロフィール

1999年、本来敵役のモリアーティ教授を主役に据えたホームズ物のパスティーシュ『シャーロキアン・クロニクル エキセントリック・ゲーム』で、新書館「小説ウイングス大賞」を受賞してデビュー。ホームズ譚の翻案ものをはじめ、歴史ミステリーを得意とし、当時の風俗を織りこ

「2013年 『ベイカー街少年探偵団ジャーナルIII 死を招く薔薇の怪事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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