わが愛しのホームズ (モノクローム・ロマンス文庫)

  • 新書館 (2015年2月7日発売)
3.63
  • (7)
  • (10)
  • (13)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 241
感想 : 18
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784403560200

みんなの感想まとめ

互いを思い合うホームズとワトソンの関係を新たに解釈した作品で、友情が恋に変わる瞬間が描かれています。ワトソンの苦悩と成長を通じて、彼が抱える秘めた想いが浮かび上がり、最後には晴れやかな結末が待っていま...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  ドイルの原作は『緋色の研究』から『シャーロック・ホームズの思い出』までを読んだ段階の人間の感想です。

     「魅力的な男性キャラクターが二人でコンビを組み、それもひとつ屋根の下で生活し日々直面する事件を協力して解決していく」という物語の形式は所謂「お腐れ目線」で見ればいくらでも邪推や妄想が利くわけで、その手の作品が個人出版の同人誌ではなく出版社から出ているものもあるのかという驚きのもとに本書を手に取りました。

     一応「秘めた愛情をゆっくりと育んでいく」部類の展開にはなるのでしょうが、性的嗜好に関する締め付け、男性の同性愛者に対するそれが厳しいという社会の中、そういった法律や当時の社会的な倫理観の壁と己の抱いた愛情との間に板挟みになるワトスン(とホームズ)の葛藤の記録であるがゆえに、物語の全体的な雰囲気は重く陰鬱です。そういう意味では原作の二人のほうが断然「いちゃいちゃ」していると思えるくらいです。

     「同族の勘」を持つとはいえ妙に察しのいい依頼人の女性(ミス・ダーシー)にホームズのワトスンへの感情を説明される場面では「おいおい流石に他人がそこまで詳しく両者の関係を言い当てられるモンなんかい」と思わずにはいられなかったものの、その場面ではワトスンも彼女にかなり詳しくホームズとの関係の相談をしていた様子だし、そもそもホームズとワトスンどちらも互いに対しては黙して語らずな面があったので、物語を読み進めていく上で彼女のようなある意味での「読者への二人の関係の説明役」を請け負う人物の存在は必要だったのかなあと思います。
     それにしてもマイリンゲンの宿屋の主人も妙に「察し」が良かったり(流石に「覗き」未遂の場面は読んでいて居た堪れない気持ちになった)、この本の世界にはその手の人間を鋭敏に察知する人間のまことに多いこと。それともそんなにワトスン君の態度に彼の秘めた嗜好が滲み出ているんかい。
     ミス・ダーシーの口から修正刑法案の話が出るくだりでは些か唐突な印象も受けたけれど、その後もワトスン(とホームズ)の葛藤のポイントの一つとなる要素ではあるのでそこまで引っかかりはありませんでした。

     『緋色の研究』から『四つの署名』に至るまでの期間に関する話と『最後の事件』を下敷きにした二部構成で、それぞれの話を「もしワトスンとホームズとの関係が友情ではなく恋愛的なそれであったら」というパテで埋めていくようなつくりだったので、最低限『最後の事件』まで読んだ上でこちらの本を読んで良かったなあと思いました。『空家の冒険』まで読んでからこちらを読んでも良かったかも。

     この二人をカップリングとして捉えるのも吝かではないけれど、それでもやっぱり原作で描かれているままの二人の関係(良き友人・良き相棒)が一番好きなので所謂BL的な描写の程度は如何程かとやや不安に思っていた部分はあるのですが、蓋を開けてみればキスと添い寝止まりだったのである意味安心して読めました。九割方心理描写に終始するので「身体の関係よりも登場人物の心の動きを読むのが好き」というタイプの腐女子にはお薦め出来そう。モリアーティ教授からの逃避行で心身共に疲弊しきったホームズとワトスンの宿屋での口論の場面や、互いに(当時の社会的には)表沙汰に出来ない嗜好を持ったワトスン夫妻間に通じる友情の描写はとても良かったと思います。

     最終的にこれまで頑なに自身に禁欲的な態度を貫いていたホームズも態度を幾らか軟化させ、ライヘンバッハでの失踪の一幕を経た上でワトスンのもとに帰還し、二人は再びベイカー街221Bでの共同生活に戻るわけですが、読後感が必ずしも良いかと問われると読者によって分かれそうです。
     この物語の中で散々「男性同士の恋愛は処罰の対象ですよ」「ワトスン医師の性癖を(悪意を持った第三者に)然るべき場所で露呈されたならば、その時は彼の社会的地位は地に落ちるでしょうね」という旨の描写を見せられた上でのこの結末だったので、私の場合は「この二人は一応両想いにはなったものの、この社会の中に生きていく上では真の安息は得られないのではないか」という心配ばかりが先行し、二人の復縁(?)に喜ぶに喜べない複雑な読後感が残りました(そういう意味では原作を読んで二人の仲の良い息の合った場面に「いいコンビだな」とにこにこしている方が精神的には楽です)。

     この読後感の何とも言えなさに関しては物語冒頭のワトスンの記事にある記述が全てなんだろうなあと思います。「これらの記述(=ホームズとワトスンの真の関わり合いについての秘密の原稿)がわたしたちにとって許されたそれよりも、はるかに幸福な日々の光のもとに明らかにされることを、願わずにはいられない」(本文9頁より)。

  • めっちゃ良かった!ワトソンの苦悩がひたすら続くけど、最後は晴れやかで本当に良かった。手を握っていてくれるホームズに泣いた。
    メアリ・モースタンを蔑ろにするようだったら多分嫌いな作品になってたけど、全くそんなこともなく、ちゃんとお互いに大事にしてて良かった。
    全然気付いてなかったけど、オスカー・ワイルドと同時代なんだ。そういえば確かにそうだな〜…

  • シャーロックが好きなので
    本タイトル作品を読んだ

  • 休憩時間に息を抜こうと思ったのにちょいちょい喧嘩するボーイズに思いのほか拳を握りしめてしまった

  • 2017年10月7日に紹介されました!

  • シャーロックホームズには詳しくないので(犬のホームズは大好きでしたが)書き出しから意味がわからなかった…実在の人物かと思ったよ

    いやにドロドロした雰囲気をつくられるよりもブロマンスでとどめてもらって一人で妄想したほうが楽しそう。事件ものとして読むには前知識が足りないし、ホームズ好きの腐女子向けかな。

  • 私はシャーロキアンではないので、これがどれほど原典に即しているのか、どれほど忠実な二次創作であるのかの評価はできません。
    ただ、ブロマンスではなくロマンスであり、その点においては十分満足できるものでした。

  • ▼あらすじ
    ベーカー街221Bの下宿で、シャーロック・ホームズとともに暮らすワトソン博士。
    ホームズのよき理解者で事件の記録者である彼は、ホームズに対する秘めた想いを抱えたまま毎日を過ごしていた。 そんなある日、美しい夫人がホームズの元を訪れ、同居女性の不可解な言動について調べてほしいと告げる。 事件の解明が進む中で、ワトソンは自分とホームズの関係に向き合うこととなるーー。
    ホームズとワトソンの関係に新たな光を投げかけた、ホームズパスティーシュの傑作、ファン待望の復刊!

    ***

    面白かった…!!とにかくもう、面白かった…!!文句無しの★5です!!

    ヤマダサクラコ先生の描くホームズのビジュアルがあまりにも私好みで表紙を見た瞬間、見事にハートを打ち抜かれ、迷う事なく購入したのはいいもののそこらのBL小説が可愛く思えてくるレベルの本の分厚さ(本編351ページ)に尻込みしてしまい、結局読むのをひたすら後回しにしておりましたが、こんなに面白いのならもっと早くに読んでおけばよかったと読み終わってから激しく後悔しました。本当になんて勿体ない事をしたんだろう…!

    実のところ、読むのを後回しにしていた理由の一つにワトソンのビジュアルが忠実過ぎて微妙というのもあったりします。オッサンくさいと言いますか…(笑)
    私自身、口髭キャラが好みでないので「髭が無ければ素敵なのになぁ」と些か不満に思ってたりもしたのですが、いざ読み始めてみるとストーリーのあまりの面白さにそんな事など直ぐにどうでもよくなり、時間を忘れて読み耽るあまり自分でも信じられないスピードで読み終えるという結果に。
    読む前は何となく小難しくて読みにくいといったイメージがあったりもしたのですが、全然そんな事はなく、会話もストーリーの進み方も非常にテンポがよく読んでいて気持ちがいい、楽しい、と強く思えるほど素晴らしい内容でした。

    BL的要素はかなり薄めですが、それでも十分満足出来たのはやはり、最後の最後に見せたホームズの“デレ”が大きかったと思います。
    自分から突き放しておきながら、いざワトソンが自立する事を決意したら酷く動揺して薬物中毒に拍車がかかったり、その後もワトソンに辛く当たったりする非常に面倒な性格のホームズですが、これまでずっと辛辣な態度を崩さなかった彼だからこそ、ワトソンと数年ぶりに再開した時に見せた表情や、その後のワトソンに対する態度の変化にはかなり萌えさせられました。
    特に再開した瞬間のキス(これはワトソンが衝動的にしたものですが)や、添い寝シーンにはこの作品最大の見所といっても過言ではなく、泣きじゃくるワトソンをホームズが慰めるシーンではいつになく優しい彼の態度に萌えながらも感動的過ぎてついほろりとしてしまいました。

    それまでの緊張したムードが嘘のようにラストの方はとても穏やかで、事件もようやく解決の兆しを見せるのですが、そんな中、ホームズがワトソンにまた一緒に住んでくれるかと素直に同居を申し込むシーンではワトソンだけでなく私の心も救われた気持ちになりました。
    とにかく希望の光に満ち溢れた爽やかなラストで、個人的には大満足です。
    時間を見つけてまた読み直したい…!

    因みに私は原作未読で、テレビドラマ『SHERLOCK』やジェレミー・ブレット演じる『シャーロック・ホームズの冒険』を見たのがきっかけでシャーロック・ホームズという奇抜なキャラクターに惚れ込み、興味を抱くようになったのでホームズファンとしてはまだまだひよっこの部類ですが、これを機に原作を読んでみようと思いました。私のように原作には詳しくなくてもホームズとワトソンの関係は好き!という方にもこの作品はお勧めです。

  • ミステリってほどミステリじゃないしらぶってほどらぶもないし、何でしょうねこれは。パスティーシュ、というか二次ですね、としか。

  • (;-人-)ゴメンなさい。この本私に合わなかった。

  • ホームズとワトソンが同性愛の関係だったら……というパスティーシュ物。
    とても読みやすく、聖典とも上手く絡めてるので実際こうだったんじゃないの……?!と思ってしまうほど。
    二人のすれ違いが多すぎて途中結構切なくなりましたが最終的には丸くおさまって良かったな、と。

    ちなみに精神的な恋愛描写が多く、肉体的なことはほぼないと言ってもいいくらいです。

  • 存在を知ってから20年あまり、ようやく手元に置ける――復刊に感謝。期待通りのしみじみと感じ入る作品だった。

    ただ、ごめんなさい……イラストレーターさんはけっして悪くないのだけれど――カバーや挿絵は、もう少し抽象的でいて欲しかったかな。

  • 二人とも愛おしい。
    葛藤する二人、様々なことを鑑みて別れを決めたワトソン。
    離れていた時が一番お互いのことを考えていたのかと思うと、もう言葉にならない。

    自分の中からお互いを締め出そうとはしたけれど結局できなかったんだよねぇ。

全13件中 1 - 13件を表示

ローズ・ピアシーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×