- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784404028198
感想・レビュー・書評
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これを読むまで、読んだ事のある新撰組小説の中では、一番「燃えよ剣」が大好きでした。
けれど、これを読んでからはこの本が一番になりました。
沖田さん好きのバイブルに等しいんじゃないかと、思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これほんっとに良いです。読みながら何度泣いたことか。
森さんは本当に沖田さんを研究していらっしゃるので森さんが書く沖田総司はより本物に近い沖田総司だと思います。この本は短編集のような感じなので歴史の背景がよくわからないのですが
そんなこと考えずに読んでみてほしいです。沖田さん、本当に素敵な人ですから。
どのお話もすごく良くて、私がやはり好きなのはのとし女壬生ばなしですね。この話は八木家の小碑としちゃんのお話。(架空の人物です)。としちゃんは沖田さんが大好きで。
かわいらしい京言葉でお話が進みます。としちゃんの気持ちがいたいほどよくわかる...。ほんと切ないです。二話目は芹沢鴨の日記−これも存在はしません。芹沢さんから写る、沖田総司です。芹沢さんって悪者じゃないですよね。あたしは嫌いじゃないけどなぁ。この本の芹沢さんもすごく良いです。
三話目(千鳥)、四話目(くちなし)は沖田さんの初恋のお話。
お相手は
三話目は京都生まれでおとなしい女性。
四話目は江戸生まれで活発な女性。
沖田さんはどんな女性と恋をしたんでしょうか。どちらにしろ、叶わぬ恋なのが切ない。
五話目(うなぎ)は一番隊組長としての沖田総司と九州柳河出身の一番隊隊士との交流。
六話目(五月闇)は、総司さんが亡くなってからの...お話。あ〜ほんと、愛される人間だったんだろうなぁ。
沖田さんの気持ちを考えて、切なくなったり、あったかくなったり、悲しくなったり。
みなさんにもしてもらいたいなぁ...。
何度読んでも涙があふれてきます。
私は沖田さんに出会えて本当によかったです。 -
一話目の「とし女壬生ばなし」が一番のお気に入りです。沖田さんに恋をした八木家の小婢、としの独白にはきゅんとしちゃいました。報われない小さな恋…。切ないです。。また、「芹沢鴨の日記」は芹沢さんの視点で物語が進むという設定が新鮮で面白かったです。
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「とし女壬生ばなし」<BR>
切ないなあ……。<BR>
総司の無邪気さと鈍感さときたら、憎らしいくらいにかっこいい!<BR>
これは少女漫画見てる気分だなあ。なんだろう、理想の男像じゃないか?<BR>
でも男からも愛されると思う。このキャラは。<BR>
かっこつけてるわけではない、ただありのままに動いているだけ。<BR>
そんな総司に、としちゃんは惹かれたんだろうなあ。<BR>
死んだと知った時と手鞠で総司の面影を見るとしちゃんときたら、切ない。<BR>
最後に「年寄りの長話」と言う所でも、きっと悲しいだろうに気持ちを抑えているのか――そう思うと酷く切ない。
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「芹沢鴨の日記」<BR>
最初は驚いた。<BR>
芹沢が総司に惚れてるのかとおもったから。<BR>
しかし安心、ただ総司を息子のように可愛がってるのか。<BR>
総司の無邪気さが、芹沢の心を解かしたんだろうなあ。<BR>
それにしてもあれだね、こうしてみると芹沢悪者じゃない。<BR>
ふしぎだなあ、良い人とさえおもえる。そうか、別の見方からすれば芹沢は新選組の成長に不可欠な人間だったのだ。<BR>
総司が可哀相というよりも、芹沢と総司二人がかわいそう。
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「千鳥」<BR>
「くちなし」<BR>
二つ合わせるとなおさら切ない。<BR>
つつましげな京女と、勝気な江戸女。<BR>
全然違う二人なのに、共通するのはどちらも切ない。<BR>
千鳥も、くちなしも、淡い初恋で終わってしまっている。<BR>
千鳥の方は方で淡いながらも少し熱の入った感じが良い。二人が互いを意識しあっている初々しさが心地良い。<BR>
くちなしの方は、大胆な彼女に惚れてしまった総司が可愛い。<BR>
だが、結末はどちらも実らない恋――いつも子供っぽいイメージがある総司が大人びて見えた瞬間だ。<BR>二人の違った女に対する総司の違った反応が面白い。<BR>もしこれが本当だったら、総司の初恋はどちらの方が彼らしいのか。<BR>一瞬真剣に悩んでしまった。
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「うなぎ」<BR>
これも切ない。<BR>
総司が病気なのに明るい笑顔をふりまいていたという点。<BR>
彼は死ぬまで強がって、周りに冗談を言って笑わせていたという。<BR>
その優しさを、うなぎで表現している。<BR>
あれほど、今度食べに行きます。と言って、持ってこられた時には味がしなくて……それをおいしいと演技でみせて……どれくらい苦痛だったのだろう?<BR>
味がしないのにおいしいと言って、食べたくもないのに無理やり喉に押し込んで。<BR>
次持って来たときには、死んでいる。おそらく彼もこのうなぎを食べた時点で分かっていただろう。<BR>
長くはない、と。それなのに他人への気遣いを忘れないのが彼らしい。<BR>
私はこの作品がこの小説の中で一番好きだ。
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「五月闇」<BR>
総司の葬式に関してだ。<BR>
始めは、なんだこの薄情者!!とおもった。<BR>
だけど、読み進めるにつれ、総司が誰からも愛されているということが分かった。<BR>
そして総司の一人で死んだ寂しさときたらない。<BR>
きっと戦いたかったであろう。<BR>最後まで近藤先生を守りながら。<BR>
泣きたいほど悔しくて、それでも笑って、寂しくてこっそり人形を持って……切ないなぁ。<BR>
一番最後の文章はとにかく感動した。<BR>
総司の笑顔を持ってくるとは……しかも地のそこからじゃなくて天からというのが良い。<BR>
総司が「俺なんか死んだら、さしずめ、地獄行きだ」と、とし女壬生ばなしで言っていたから、そうじゃないんだよって言ってくれてるみたいだった。お前は十分に頑張った、人は斬っても人の心は失わなかったから、と。そう言っているようで非常に切なかった。<BR>
総司の人柄の良さが見える一作。
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全体的に切なく、良質の作品が多い。<BR>
読みやすく、それでいてどの作品からも作者の個性が窺える。
どれもオリジナルの発想で斬新だ。<BR>
なのに違和感がどこにもなく、ここまで完成度の高い作品にしあげている。<BR>
沖田総司が良い人すぎた気もするが、だからこそ大抵の人が好意を抱くと思う。<BR>
歴史小説初心者もすんなり入っていける作品だろう。