悪行の聖者聖徳太子

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
3.27
  • (1)
  • (5)
  • (6)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 30
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404034229

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 聖徳太子も人間なんだという親近感が湧いたのはよかったけど、少しどろどろ過ぎが否めない。仏教の真髄や人の生き方、許されない行為等についてはとても共感できた。

  • 人間らしさがでていて、妻や女性は拒む権利はないとモノ扱いしたり、怒りに身を任せたり聖人君子とはいいがたい。
    間人が母親ではなく、兄妹が両親なので天皇になれなかった説をとっている

  • 厩戸皇子(聖徳太子)が叔父の祟峻天皇を父の仇として殺し、奴婢の夫人を無理に犯し、母や妻を憎み、そしてその罪の懺悔として仏教に傾いていく姿を描き出し、私たちの知っている太子とは全く別の人物像を示しています。用明・推古の兄姉の不倫の子として生れたことから、天皇になれなかったという推理も大胆ですが、あまりにも荒唐無稽な気がします。しかし、著者がいうように日本書紀に聖人として描かれている太子が古事記にはほとんど記載がないということは、日本書紀が作り上げた聖人イメージなのかも知れません。蘇我馬子、推古、母の間人皇女などがいずれも罪深い人として描きながらも、最後に悔い改めに導かれる様子は爽やかといえばそうですが、やや皮相的に感じました。

  • 津市安濃図書館。

  • 日出処の天子を読んでいるので、それと比較してしまった。ここでは、聖徳太子は超能力もないし、毛人、馬子は悪者ぽいし、貝蛸(推古天皇の娘)は良き仏教信者になっている。お母さんと仲良くなかったはいっしょ。
    聖徳太子が天皇にならなかったのは、その方が自由に動けるというわけではなく、推古天皇と馬子の息子だから、という仮説のもと、この物語はできている。


  • 聖徳太子と言っても教科書でこういう人でてきたなーというぐらいにしか感慨がない。

    でもずっと気になっていた。

    冠位十二階を作ったり、厩で産まれたり、一度にたくさんの人が話しかけても聞きわけたり。

    興味が尽きない人物だ。

    本書では推古天皇、厩戸皇子、蘇我馬子の三人が主な登場人物なのだけれど、彼らに対してもやがかった認識しかなかったのが、これを読んではっきりと別の時代を生きた生身の人間なんだと認識できた。

    自らの悪行を認めるがゆえに聖者たらんと、日本を導こうとする厩戸皇子。

    愛人、蘇我馬子の権勢を認めつつ天皇中心の国を取り戻そうとする厩戸皇子に見方する推古天皇。

    強大な力を持ちながら台頭してくる厩戸皇子に危機感を募らせる蘇我馬子。

    彼らの思惑が絡みあって物語は進んでいく。

    仏教という方法を使って、民衆を救っていこうとしたのは、未だ実感が伴なわないけれど、それでもよく説明しきれていたと思う。

    史実に完全に基づく話ではなく、作者のこうあって欲しいという蓋然性の満ちたストーリが多いけれども、聖徳太子という人物像を見事に描いてくれた作品だと思う。

  • ちょっとぶっ飛びすぎかな・・・と。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1942年、新潟県生まれ、長岡市在住。早稲田大学文学部卒。農業関連のIT企業を経営する傍ら小説家を志し、2000年『日輪の神女』で古代ロマン文学大賞を受賞しデビュー。現代的な解釈で古代史を読み解く古代ロマン小説を意欲的に執筆。作品は他に『虚空の双龍』などがある。

「2019年 『万葉集をつくった男 小説・大伴家持』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠崎紘一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×