- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784404037374
作品紹介・あらすじ
新選組一番隊長として剣名を馳せた剣士の、剣と恋に生きた25年の生涯を鮮烈に描き沖田総司ブームを作った古典的名作が待望の文庫化。新選組ファン必読の一冊!
感想・レビュー・書評
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新撰組の話は幾つか読んできたけれど、彼目線の新撰組はまた違った印象を持った。
というより、これはまさにそのタイトル通り、沖田総司の話だね。
この本に描かれる沖田総司は、まさに皆が持っているイメージそのものなんじゃないか。
朗らかで飄々としてるけど時に熱く、皆に愛される人。私もすぐに彼という人間が好きになるけれど、その一方、物語の早い段階で病の気配は忍び寄る。
後半はどうしても涙なしには読めない。
総司のことも、その周りの人達についても辛い状況が続く。読み進めるのが苦しかった。
何故彼が、という気持ちにもなった。
ただ、彼は病と向き合いながら、ちゃんと自分の生を全うした。悲しいけれど、哀れむ必要はないはずで、私もそこに最後まで立ち合って見届けた、という感覚になった。
沖田総司、近藤、土方、、新撰組の魂が終わると共に、ひとつの時代もまた終わっていく。皆等しく、それぞれに命を燃やしていった。
人の一生は長さじゃなく、そこにどれだけ込められるか、ということだなあ。
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新選組本での紹介やレビューなどで評判が良いようなので読んでみたのですが、これは!
中盤までは普通に面白かったのですが、後半~終盤にかけてがいい。新選組の第一線から離れざるを得ず、病床の日々となるのですが、そこでの闘いは病魔だけでなく、まさに命そのものとの闘いでした。
この時代と今の時代。あの時の彼らと今の自分たち。命の重さは同じでも、その重みは全く違ったのだと思わずにいられません。
油小路の変の後くらいからその描写が強くなり、土方との別れには熱く苦しいものがこみ上げてきました。常に冷徹な指示を下す土方が、病の前にも後にも沖田には心を寄り掛けられる様子が、また切なくなります。
他には好みとして馬の初霜や、谷の介錯のいざこざや桝屋での斎藤とのやりとりが良かったです。
画像が出てこないのですが、私が読んだ本の表紙カバーは沖田総司自筆書簡のもの。同じ出版社と出版年のはずですが、私は断然そっちの方がいいのに、古本で探すしかないのだろうか(涙) -
9年ほど前単行本で一度読んだけれど、文庫になったということでまた手に取ってい読み返した。
新選組小説の中で一番好きだ。
そして、大内さんの沖田が私の理想の沖田でもある。
大内さんは本当に沖田を丁寧に暖かく見守るように描かれていて、
優しい文章だ。そのぶん歴史事項などは軽く流されているが沖田自身も時勢には疎かったようであるし、沖田目線が最後まで貫き通されているように思う。
新選組のおすすめしたい一冊。 -
燃えよ剣と出逢い一瞬にして土方ファンになってから新選組に関連する書籍や縁の地を訪れました。そして土方歳三が弟の様に見守ってきた沖田総司も勿論大好きです。念願の沖田忌にも行っちゃいました。
大内氏の描く沖田像は純粋無垢で子供に好かれ、悪戯っこ…でも剣を持ったら誰もが認める天才剣士。絵にかいたような沖田総司の教科書的な1冊。沖田好きは外せないと言えるでしょう。
土方を送り出す所は涙ものでした。最期を知ってるだけに切なくなってくるけど、女性ならではの綺麗な文章と最後まで純潔な総司の描写が好感です。沖田総司入門編にお薦めです。-
「沖田総司入門編にお薦めです。」
大内美予子は知りませんでした、、、良さそうなので読んでみようかな。。。「沖田総司入門編にお薦めです。」
大内美予子は知りませんでした、、、良さそうなので読んでみようかな。。。2013/07/12
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あらすじはいつもの新選組の物語。
女性が描く新選組は初。
アマゾンのレビューで高評価だったので読んでみた。
劇的過ぎず、淡々と描写が進んだので、さーっと読んでから一歩遅れてぐっとこみあげてくるような場面がちょいちょい。癖もなく読みやすく王道と言った感じなので、新選組ものが初めて~の人にはお薦め。
もはや新選組の話は読み過ぎてて新しく何が得られるという訳でもないんですが、読むたびにあの時代の若者のエネルギーが今の日本の土台になっていると感じて、彼らの意志や熱を継いでいきたいと血が滾る思いがします。 -
新選組の沖田総司を描いた小説です。
高校の図書室で初めて読んだのですが、これは総司の小説ナンバーワンではないでしょうか。
彼を描いた作品には、汚れなき純粋さを強調した温かいものと、刺客としての苦悩を強調した冷たいものとがあると言えますが、これはそのどちらでもありません。
粛正に加わる総司にも目を背けず、彼の内面的優しさと、刺客としてのダークな部分を、両方の面から丁寧に描いています。
この小説に勝る美しい沖田総司はいないと思うのですが(笑)、実は彼の外見に言及する記述がほとんどないのも特徴です。
どこにも美貌とは書いていないのに、読み進めていくうちにピュアな青年が自然と思い浮かんでくる、そんな作品です。
これを読むと、あっという間に総司と土方のファンになってしまいますのでご注意下さい(笑)。
史実を適度に扱いつつドラマを描いている感じですが、新選組の物語を楽しむという意味において、この小説は本当に素晴らしいです。 -
沖田総司をよく知らない人でも、読み物として面白いと思った。
自分の中にある沖田像がそのまんまに描かれていて
やっぱりこういう人だったのねとグイグイ読めた。
司馬遼の「燃えよ剣」とこれ読めば、
新選組マニアになる人が増えるのではなかろか。