自然に生きて

  • 新日本出版社 (2002年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784406028431

みんなの感想まとめ

人生の信念や働くことの意味を深く掘り下げたエッセイは、著者の実体験に基づき、戦争や権力に対する警鐘を鳴らしています。モデルとなった小倉氏の生い立ちや、日航での経験を通じて、彼がどのようにして「沈まぬ太...

感想・レビュー・書評

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  • 本「沈まぬ太陽」が出てから、モデルとされる小倉氏は「話に来い」と呼ばれることも多くなった。今までの話をまとめ、疑似?講演会として新しくまとめた。

    第一部:「沈まぬ太陽」で触れられた以前の話で0巻ともいうべき内容
    第二部:「人に何が求められているか」として平和について、働くことについて、人類と環境について語る。
    ・「アセンボリの自然」(「エネルギーレビュー」1997.10月号)

    ・小説と事実のちがい
    親父は軍人として戦死したのではない。子供の順番は男女逆。また二人ともきちんと育ったのでは小説としておもしろくない、山崎氏は3人目にぐれたのをつくりましょう、と言ったが、そうすると隠し子でもいたのか、などといわれかねないので子供は2人にしてもらった。

    「企業と人間」で佐高氏と対談した内容でも触れられているが、旧制中学時代、大学時代、AIU就職、日航就職のいきさつ、日航で労働組合とかかわるいきさつが詳しく語られている。小倉氏の父親は軍需産業にかかわった、として公職追放を受けている。

    また仕事に対する考えとして、「余裕とユーモアと、ふてぶてしさ」とでいきていかなければいけないという。特に働くものは、ふてぶてしくなきゃいけない。伸び伸びとしませんか、と言っている。また、one of themで仕事をするな、と言う。その人にとっては、患者、お客さんは一期一会の唯一の関係だ、という。

    最後の「アセンボリの自然」では、ケニアは高地で、湿度も高くないため、暮らしやすいという。素晴らしい広い自然があるのだが、この地の遊牧民マサイ族は、牛が糧でその乳と血を食料としていたが、市場経済の広まりにより、牛が換金されるようになり商品となり、自然の許容量より数が増え放牧地が増え、すると野生生物は追い立てられ、自然の植生が破壊された。そして野生生物保全のため、人間の生活、産業を認めないナショナルパークにする必要が生じた。それがアセンボリナショナルパークだという。


    小倉寛太郎:1930-2002.10.9 この出版後間もなく亡くなっていた。

    2002.1.15初版 2002.2.5第4版 図書館

  • (2005/3/6)
    私の愛読するメルマガに村上龍のJMMがあるのだが、
    http://ryumurakami.jmm.co.jp/
    そこに紹介されていておもしろそうだと思った本を読んだのがこれ。
    最近の私の読書の傾向として、メルマガ、日経ビジネスでの紹介というのが非常に多い。
    それで濫読気味なのかも。

    この本の著者は、山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」のモデル。私は沈まぬ太陽は読んでないが、
    日本航空で組合活動を熱心にしたことで経営者ににらまれ、海外に長期にわたって転勤させられた、、、それがベースになった本というので、面白そうと思って読んだ。

    しかし、なかみはちょっとエキセントリックだった。
    すでに70歳を迎え、講演を頼まれることが多くなったそうで、その講演の内容という形を
    とって本は進んでいるのだが、戦争、天皇制にまで話題は及んでいる。内容的に間違っているとは
    思わなかったが、この本に求めることではなかった。
    正しいことを正しいという姿勢は大切で、今の日本になくなりつつあるもので危険だとは思うが、
    私はもっと「モデル」として語ってもらいたかった。それと、タイトルにあるように、自然について
    もっと語ってほしかった。「自然保護」「地球にやさしい」は人間のおごりとある。そうかもしれない。
    それはそれとして、次の、もう少し建設的な話しをしてほしかった。私はおごりであってもなにかを
    している人はしていない人よりはるかに意味があると思っている。
    批判が多すぎるとちょっと思った。

    あまり気分のよくない本だった。

  • 「沈まぬ太陽」のモデル小倉さんのエッセイ。人生論。
    日航労組であんなことがあったからというより、その前から子供のころから育まれてきた小倉さんの信念が、沈まぬ太陽になれた理由なんだろうな。
    ありがとう。

  • 小説「沈まぬ太陽」の主人公・恩地元のモデルと言われる著者が講演で話したことをまとめて本にしたものです。  
    本に書かれてあることは殆んど事実で山崎豊子の取材力には驚いている。
    この本には「沈まぬ太陽」のことよりも著者が軍国少年として育った頃のこと、日本の為政者が政府、軍部が日本国民を騙し戦争に駆り立てたこと。
    ポツダム宣言を21日伸ばした為に40万人の人が死んだこと。 
    それにより「もう再び騙されまい、権力のいう事は鵜呑みにしてはいけない、眉に唾をつけて聞かなきゃいかん」と思ったらしい。
    日航の組合つぶしに負けず、権力と闘ったのもうなずける。
    もっと早くこの本に出会いたかった。

  • 小説に実在のモデルがいても、小説だから多少なりともおもしろくあるいはオーバーに脚色されているだろうと思っていた。著者は「沈まぬ太陽」の主人公そのモデルとなった人である。小説そのものの人生いやその前に過ごした少年時代の戦争。幾度見聞きしても、体験された方の話は、身にしみてその残酷さは認識させられる。その時に培われた精神力があればこそ、過酷な不当人事にも耐える事が出来たのだろう。戦争時代に培われた精神力の礎となったもの「権力には従わない」小倉さんはずっとその精神でやってこられた。大変な勇気のいることだと思う。

  • こんな壮絶な人生を戦中から戦後にかけて生きてきた人がいたのかと非常に驚きました。「沈まぬ太陽」の後に本書を読みましたが、筆者の小倉さんが直接関わっていない御巣鷹山編以外は、ほとんどが実話のように感じました。特に労組委員長の就任経緯から、カラチ&テヘラン&ナイロビという海外たらい回しは非常に憤りを覚えます。そんな中でもアフリカの自然を通して世の中や歴史へ達観した姿勢を崩さず、人間は謙虚であるべきという筆者の思想には共感すると同時に、尊敬を抱きます。筆者のお父様が残した言葉のうち「天知る地知る我知る」は、私のお気に入りの言葉にもなりました。「お辞儀の角度をできるだけ同じに」というのも大事な考えです。相手によって態度を変えてはいけません。

    特攻作戦成立の経緯も初めて知りました。海軍の大西龍治郎が考案し、1944年のフィリピンとアメリカとの戦いの時に、ろくな戦力兵器がない中で一時しのぎの戦法として生み出されたようです。5機が出撃し、軽空母一隻を撃沈させるという大きな戦果を挙げた。そのため、一時的な作戦ではなく、有効な戦術として利用された。最初は割合まともな飛行であったものの、徐々に練習機や木製の飛行機などを活用した在庫整理の側面も出てきた。飛び立つ時に車輪を外す仕組みもあった、なぜ?もったいないから。筆者も木製飛行機の製造を行っていた。ちなみに筆者の従兄弟2人は人間魚雷で死んでいます。

    日本航空の労組委員長になった経緯は浪花節的な経緯こそあれど、前職のAIUでの行動力を知ると任せたくなる周囲の意見もわかります。大学卒業後にAIUに入社して、労働組合を作ったそうです。さまざまな意見をまとめ、退職金制度がないことに目をつけ、外資系企業であるAIUに訴え、権利を勝ち取ったようです。しかし、300人の組合所対では心もとないので、全日本損害保険労働組合という産業別組合のAIU支部として加盟させてもらったようです。筆者には行動力だけでなく戦略家としての一面も、そうしたところから垣間見えます。

    戦争、会社、アフリカそして動物を通して、人間のあり方を学び、考えさせられる一冊です。戦中の様子が描かれた本としても、戦後世代が多くなった今では、貴重な存在になってきたと思います。

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