- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406051637
感想・レビュー・書評
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なるほど、「賃金、価格および利潤」では「資本論」では取り上げられていない「闘争無用論への反論」「経済闘争の必然性」「賃労働制度の廃止への展望」の論考過程が学べるという。また、マルクスの「ゴーダ綱領批判」やエンゲルスの「空想から科学へ」なども本著を横に置きながら学んでみようと思う。
それにしても日本共産党の幹部のここまでの研究熱心さには頭が下がる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この『古典への招待/中』に取り上げられた古典は、「賃労働と資本」「賃金,価格および利潤」「資本論綱要」「フランスにおける内乱」「ゴータ綱領批判」「自然の弁証法」「空想から科学へ」などだが、中でも「空想から科学へ」については思い出がある。
中学2年の頃,よく貸本屋で小説を読んでいたが、その頃の貸本屋には、退職した教員等が玄関に本棚を出しているというような所もあった。
そんなところの本棚を眺めていたら,たまたま『空想から科学へ』というタイトルが目についた。それをサブタイトルの<社会主義の発展>に気づかず、神話の時代から現代にかけての<自然科学の発達史>と思い違いして借りて来た。
ヘェーそういうことか、と読みながら世間を新鮮な目線で捉える、初めての一書となった記念すべき本。何だそんな本に関心あるならということで友人から、そう云う類いの読書会に誘われるようにもなったのだった。
今度この『古典への招待』を読んで新たに2つのことを知った。
一つは「空想から科学へ」が、「反デューリング論」の抜粋版であったこと。これは読んだ時は知っていたと思うが,なんせ昔のこと全く記憶になかった。
マルクス,エンゲルスに限らず,社会科学のこの時代は,もともと運動の中で論争を闘わせ,問題を展開させ新しい局面をつくる,といった類いの文章が多いように感じていたが,これもその一冊だった。
もう一つは,著者が「空想から科学へ」の中で<問題>として、三つの点をとりあげていること。
一つは, <資本主義的生産様式の矛盾をとらえる根本には,剰余価値の問題がすえられるべきではないか>。しかしエンゲルスのそれは、<生産が社会的になっているのに、取得形態は古いままに止まっている>ことを根本的矛盾とみていること。
二つには,エンゲルスはプロレタリアートとブルジョアジーの対立関係を,資本主義生産の基本的なものとみていない場合があり、したがって無理な叙述になっていることがあること。
三つには,エンゲルスは恐慌の究極の原因は<生産の無政府状態>にもとめているが、マルクスは<剰余価値の追求>においていること。
もう一度原典を読み直して見たい。