- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406052351
感想・レビュー・書評
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第一部の、どのようにして「言葉」から作曲しているのか、というプロセスの話が面白かった。「当たり前のことは平然と言う」と聞いて、なるほどよく考えてみるとそうだなと思った。
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このシリーズ『空を見てますか・・・』はもう5册目。今まで多分読んだことはなかったと思うが,改めて遡り読んでみたいと思った。
著者は有名な音楽家で、この本のパート1は、「私たちが進みつづける理由」というアメリカ女性キム・ロザリオの詩に,どういう作曲をするかというスケッチがある。
原作の詩をどう読むか,それをどう音楽にするか,作曲を学ぶ人たちにとっても、得難いヒントがあるかも知れない。
パート2は、「週刊うたごえ新聞」に連載した2002年のコラム44篇。
われわれは他人のうわさ話をするときも、その座の人たちと噂の当事者との距離を測っていることがままある。
まして批評や批判をする場合には、更に難しい問題もあるだろう。しかもそれを関係者も含め,ともかく受け入れざるを得ないものとすることは更に困難だ。
ま、そこまでは行かないとしても、このコラムに登場するアメリカ大統領への批判などは、問題点を的確に指摘して決してゆるくは無いが,大統領フアンも含め読者を納得させるものがある。
これはやっぱりこの著者の視野の広さと人柄だろう。
また野口雨情や小川芋銭など同郷の芸術家にふれ、創作はあくまで真摯に、だがそれを立派に見せようとはしない雨情や芋銭のようにありたい、と願ってもいる。ここらあたりも好感を持てる。
この著者の交響曲を聴いてみたいなと思う。
[著者略歴]
茨城県水戸市出身。東京藝術大学大学院修了。中学・高校時代には、クラリネットを吹いていた経験もある。高校で合唱をしていたが、そこで宇野功芳(音楽評論家)が講師をしていた。
東京藝術大学で池内友次郎、三善晃、矢代秋雄に師事。大学で1年先輩の三枝成彰と親交があり(本人は半ば自虐的に「悪友」と言っている)、世間では共に当時の若手作曲家のホープとみなされていた。
在学中に書いた室内楽曲「クレパ七章」で注目され、武満徹の目に留まり一時期彼のアシスタントを務めた。7曲の交響曲をはじめとする演奏会用作品の他、黒澤明や今村昌平の監督作品をはじめとする映画音楽、NHK大河ドラマやアニメ『未来少年コナン』などのテレビ番組の音楽も多く手がけている。