あきらめないで: 足みじかおじさんの旅

  • 新日本出版社
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本棚登録 : 39
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784406054812

感想・レビュー・書評

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  • やなせたかしさんの大人のためのファンタジー集です。
    本の折り返しに書かれた作者の言葉がこの作品を端的かつ的確に表現しています。

    『その人は目立たず無名で顔もさだかでないが、愛の悩みにもきちんと答えてくれる。
    第一集に続いて第二集が出版されることになったのは嬉しい。
    ショートメルヘンなのでごくごく気軽に読める。少しも疲れないはずである。
    いくらかでも疲れた心を慰める事ができれば、それは作者として望外の喜びである。』

    こう書かれているように、この本は第二集という事になります。
    こちらから先に見てしまったけど、作者の言葉を見ると、第一集にもこのお話の主人公といえる「足みじかおじさん」が出てくるのだと思います。
    1話読み切りのショート集なので、第二集から見ても全然違和感はありませんでした。

    足みじかおじさんとは、ボーラーハットをかぶり、名前の通り足の短いおじさんで、顔もはっきりしない全体的に影のような存在です。
    そのおじさんが色々な悩みを抱える人の所に表れて、悩みを解決するというお話で、その設定や悩みを抱えている人たちを見ると、やはりこれは大人のためのメルヘンだと思いました。
    どのお話にもやなせたかしさんのイラストつきです。
    それもペン画で大人っぽい雰囲気です。
    作者が書かれているように、何も考えずにただ感じるままに読む本だと思いました。
    あとがきを読むと、この「足みじかおじさん」はシリーズ化されていて、アンパンマンよりも昔から四コママンガやショートメルヘンで発表されているとの事でちょっとビックリ!
    作者のお気に入りのシリーズなのかな~と思いました。

    作者のあとがき
    『現代のケバケバしい時代にはあまり似合わないと思うが、こんな時代だからこそこういう本が必要なんだとも思う。』
    に共感です。

  • 一篇3分で読める(やなせ先生談)、大人向けショートメルヘン集。
    今作は脱国や強姦が話に登場するあたり、前作より少しブラックな展開が多かったように見受けられる。
    とある老人が二十歳の少女に恋する『老人病』の話が妙に印象に残った。
    二十歳の少女と釣り合うために若返ることを望む老人の願いをあしみじかおじさんは叶えるけど、それだけで本当に恋人同士になれるかはまた別の話な訳で。
    この話だけでなく、自分の願いが必ずしも幸せに繋がるわけではないということを改めて感じさせてくれるストーリーが多かった。

著者プロフィール

1919年生まれ、高知県出身。百貨店宣伝部にグラフィックデザイナーとして勤務の後、漫画家・絵本作家として活動を始める。絵本の作品に『やさしいライオン』『チリンのすず』『あんぱんまん』(フレーベル館)など多数。2013年永眠。

「2022年 『アンパンマンかみしばい③』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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