難民と生きる

  • 新日本出版社 (2017年3月13日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784406061285

感想・レビュー・書評

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    『一年で百万を超える難民が流入したヨーロッパ。排斥的な動きが強まる一方、難民を一般市民が自宅に受け入れるなどして支援する例が増えています。人々はなぜ、どのように難民と暮らしているのか。困難を抱えながらも、しなやかな支援を続けるドイツの人々を取材。十人十色の言葉が日本の私たちにも染みる最新リポートです。』(「新日本出版社」サイトより)

    『難民と生きる』
    著者:長坂 道子
    出版社 ‏: ‎新日本出版社
    単行本 ‏: ‎224ページ
    発売日 ‏: ‎2017/3/15

  • 東2法経図・6階開架:369.3A/N21n//K

  • ドイツで難民の支援をしている人々を取材し、そのうちの10人の話を取り上げています。
    難民の支援に消極的な日本ですが、こういう本が広く読まれて欲しいと思います。

    それにしても、この違いはどこから来るのか。それについても示唆されていて、とても考えさせられる一冊。


    [private]「自活できない貧しい人々を政府(国)が助けるべきである」
     ・非常に賛成:イギリス-53%、スウェーデン-56%、ドイツ-52%
            中近東、ロシア、アフリカ諸国-5割〜6割
            アメリカ-28%
            日本-15% (調査国47国おうち最下位)
     ・生活保護受給率も低い日本1.6%
      ドイツ9.7%、イギリス9.27%、フランス5.7%、

    日本の「他者への冷たさ」
    混雑した場でベビーカーを押す女性を「迷惑」と捉える社会と、見も知らぬ難民を自宅に迎え入れることも厭わない社会。「他者への態度」におけるこの違いは、一体どこから来るのだろう。

    シリア・・・国民の4人に1人が難民となり、2人に1人が国内で逃げまどっている。

    難民受け入れ(2015年度):欧州30国で130万人、ドイツ一国で89万人
                 日本:7586人が難民申請→承認は27人

    あるドイツ人 「今の繁栄や平和は決して、天から降って湧いたものではなく、我々が他者の助けを借りながら、自分の努力でそれを「獲得していかなければいけない、そのために努力し続けなければいけなかったんだ」という感覚、ある程度の年齢以上のドイツ人には共通にあると思います。P74

    ドイツには長い移民の歴史。移民の人々はどれだけドイツ語が話せるかで評価されてきた。でも少し状況は違ってきている。
    色んな移民たち、パシュトゥ語、ペルシャ語、トルコ語、アラビア語、ダリー語など、これまで一顧だにされなかった現ゴアが注目を浴び、需要が生まれた。彼らの力なしには難民問題には対処していけない。

    ドイツ人女性「夜、道端で寝てる人と関わることで、マイナス10度のところで人が寝るってどういうことなのか、という気づきが起きる、目が開かれるんだよ。そういう気づきをきっかけに、人って政治的な存在になっていくんじゃないかな」

    ドイツの国籍はたまたま天から降ってきたもの。それを得るために、じゃあ、あんたは何をしたっていうの、と人種差別者に言いたい。P164

    人々が抱く漠然とした「恐れの感情」というもの、これは相手の人間を知るや否や、消えるもの。相手のことを知らないと恐怖の感情が芽生える。でもそれは相手を同じ人間として知ることによって少しずつなくなっていく。この人も自分と同じ人間である、という気づきが訪れる。

    人々を「連帯」「相互扶助」「友愛的行動」に向かわせる背景は、宗教ではない別のところにある。
    ↑それはどこか。
    どんな人にも備わる(と思われる)素朴な親切心や善意が、家族や隣近所、友人仲間など、自分の内輪という柵を超えた広がりを持つ共感力になるためには、実は「社会的存在としての自分」というアイデンティティが鍵を握るのではないか。そして、それは「教育」に負うているのではないか。

    ドイツでは、憲法にあたる「基本法」の小冊子が生徒全員に配られる。
    歴史教育における現代史、とりわけ「ナチスの過去」や「全体主義」についての学習の比重は高く、一般市民の「知ろうとしなかった」「知っていて知らぬふりをした」責任にも言及する教科書が一般的だという。
    政治の授業では、「基本法」を教材に使いながら、民主主義、人権、社会正義といった事柄をディスカッションベースで学んでいくという。

    選挙に行くことは市民の義務であると考える若者:72%
    政治に関心がある:42%
    人間の多様性を認め、それをリスペクトするのは当然だ:60%
    社会的弱者は支援されるべきである:60%

    自分が社会の構成員であり、人権を享受する権利とともに、他者のものも含めてそれを擁護する義務を負うものであることを理解させるような教育。民主主義の良い点と脆弱な点を学ばせ、過去の悲劇を繰り返さないためにはいかに市民一人一人の意識が必要であるかを考えさせる教育。

    過去の戦争から、無関心や見て見ぬふりがとんでもない結果に繋がりうること、差別感情の滴が悲劇的な結末に発展しうること、人権や自由は不断の努力で守り続けなければいけない、それほど脆弱なものであることを痛いほど知った。

    顔の見える具体的な人間関係こそが、共感の源であり、その持続への力となる

    問題山積のヨーロッパから見ても日本は、物価が安く、給与も低い。失業率こそさほど高くないものの、それは世界標準に照らし合わせても非常に安い賃金、および過酷な労働条件で使い捨てられている非正規雇用の割合がとても大きいから。
    欧州では、法で定められた最低賃金を下回ったり、長時間労働、休暇の未消化が行われる企業に対する行政側の取り締まりが厳しい。人を1人雇うということは、有給休暇や福利厚生を含めた適正な労働条件を保障しなければならないため、企業側は新規採用に慎重になる。勢い、失業率が高くなる。[/private]

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著者プロフィール

1961年、愛知県生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。ファッション誌『25ans(ヴァンサンカン)』の編集を経て`88年渡仏。7年間のパリ滞在中より、フリーのジャーナリスト、エッセイストとして雑誌などに多数、記事を発表。ペンシルヴァニア、ロンドン、チューリッヒ、ジュネーブと移住し、現在はチューリッヒ在住。著書に『パリ妄想食堂』(角川文庫)、『フランス女』『裸足のコスモポリタン』(以上、マガジンハウス)、『世界一ぜいたくな子育て』『「モザイク一家」の国境なき人生』(光文社新書)など。

「2022年 『アルプスでこぼこ合唱団』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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