- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406063586
作品紹介・あらすじ
リトアニアへのドイツ侵攻後、すぐに始まったユダヤ人への差別と迫害。グラジーナは、ユダヤ人の友人から「ゲットー」で生まれた赤ん坊を託されることに。「匿えば絞首刑」という恐怖におびえながら、グラジーナは、消される運命にある小さな命をどうしても見殺しにできない――。職場の同僚が救いの手をさしのべるが……。
感想・レビュー・書評
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ストーリーは、ナチスドイツがリトアニアでユダヤ人狩りを始めた時、ユダヤ人の友人から赤ちゃんを預かってしまい戸惑いながら匿うことになるというもの。
本文だけだと分かりにくいのですが、最後に訳者の解説で、ソ連とドイツの間で翻弄されたリトアニアのことを知りました。こうしたことを、もっと知りたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
リトアニア出身のユダヤ人作家で失くなっている人。独立してるのに、第二次世界大戦が開始すると、ソ連軍は無理矢理政府を解体させ、駐留させ、勝手に社会主義共和国を作り牛耳る。抵抗する人はシベリア送り。リトアニア人のいないリトアニアを作るつもりだった。その後ナチスドイツ軍に侵攻されユダヤ人撲滅。この時代の話。作家は実際にユダヤ人収容所で生活しなんとか生き延び、最近亡くなった。この人はイデッシュ語、リトアニア語、ロシア語で執筆されてる。陰惨な描写はなく、今日明日の生活を生きる様子が自然に書かれている。
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力無き国々の民は、時の大国の趨勢に無慈悲に蹂躙され、翻弄される。
こういう作品に触れた時、歴史の授業で語られる言葉の軽さの裏に潜む重みを感じます。
数多の無辜の命が散った先の対戦の中でも、やはりナチスドイツによる侵攻とユダヤ人虐殺は恐ろしいなと想いを新たにしました。
一個人の痛みに想いを馳せることもできないほどに、ユダヤの人々が受けた扱いは苛烈なものだったんだろうな。
きっとそれは、昔から連綿と続く負の遺産で、きっと今も変容しつつも根深く残っているんだろうな。
人類全体の前に立ちはだかる強大な外敵が出現したら、きっとこういう差別や区別は無くなるんだろうな。 -
一気に読めた。リトアニアでのユダヤ人迫害・虐殺にリトアニア人たちがどう関わったのか。ユルギスの”やな男”ぶりがいかにもいかにもで現実感溢れる。庶民の心に巣くう差別者の一面に戦慄する。
ちょうど『思いやる勇気』再刊本『ユダヤ人を命がけで救った人びと』を同時進行で読んでる -
リトアニアのホロコーストについて描かれている作品。生きる権利を否定された無念さが伝わる。