沖縄戦の戦争遺品

  • 新日本出版社 (2021年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (96ページ) / ISBN・EAN: 9784406065610

作品紹介・あらすじ

60年以上沖縄で「死者と対話するように」遺骨収集してきた国吉勇さん。その国吉さんに8年余り同行取材した、沖縄戦の遺品としては初の写真集です。63の遺品をカラーで収録し、国吉さんの活動について文と写真で紹介。焼けた万年筆、茶碗、被弾した水筒、認識票、手榴弾……。当時の様子を生々しく伝え想像させます。

みんなの感想まとめ

沖縄戦の遺品を通して、過去の痛みと向き合う重要性が伝わる作品です。国吉勇さんが長年にわたり収集した63点の遺品は、戦没者たちの息遣いを感じさせ、当時の状況を生々しく想像させます。写真と共に綴られる国吉...

感想・レビュー・書評

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  • 毎年8月には先の大戦に関する書籍を意識して手にするようにしています。

    戦争を知らない世代だからこそ、知っておかなければならない。

    そんな思いから、意識して読み続けてきたつもりです。

    昨年の夏は、「沖縄戦の実相を知る」を自分なりのテーマにして、沖縄戦について書かれた本を読みました。
    住民も巻き込まれた、あまりにも悲惨な地上戦。
    その歴史を知れば知るほど、「戦争」という言葉の向こう側に、一人ひとりの生活や人生があったことを考えさせられました。

    それでも…

    実は、自分の中でどうしても避けてきたテーマが二つあります。
    一つは「原爆」。
    そして、もう一つが「写真」です。
    特に、カラー写真。

    私は戦後生まれです。
    父も母も戦後生まれ。
    亡くなった祖父母も、当時のことをほとんど語りませんでした。

    だから、私は直接的に戦争を見聞きした経験がありません。

    なのに、怖い。

    子どもの頃に訪れた広島の原爆資料館。
    その記憶が今でも残っています。
    展示されていたもの、写真、遺品……
    あまりにも強烈で、まともに直視することができなかった。

    だから、戦争を知るために本を読むことはできても、「写真」という現実そのものを突きつけてくるものからは、どこか逃げていたのだと思います。

    そんな自分に、少しだけ変化を与えてくれた本があります。

    2年前に出会った、浜田ご夫妻の『ずっと、ずっと帰りを待っていました』。

    そこで知ったのが、沖縄戦の悲惨さだけではなく、戦後も続いている「遺骨収集」という活動でした。

    戦争は1945年に終わった。
    でも、すべてが終わったわけではない。

    地中や壕の中には、帰ることのできなかった人たちの遺骨が残されている。

    その事実を知ったことで、少しずつ「見る」ことから逃げない勇気をもらった気がします。

    そして今夏は、『カラー化写真で見る沖縄』、さらに『占領下の日本 カラーフィルム写真集』と、2冊の写真集を手にしました。

    以前なら、きっと避けていたと思います。
    でも、今なら向き合えるかもしれない。
    そう思ったのです。

    読後評価は☆4.8

    (´ρ`*)コホン
    ~一歩踏み出す勇気をもらった2026夏~

    そして昨日、図書館で手にしたのが、豊里友行さんの『写真集 沖縄戦の戦争遺品』でした。

    本書は、60年以上にわたって沖縄で遺骨収集を続けてきた国吉勇さんの活動に、著者が8年余り同行して記録した写真集です。

    掲載されているのは、焼けた万年筆、茶碗、被弾した水筒、認識票、手榴弾……

    戦場に残された63の「遺品」です。

    戦争を扱った写真集なのに、そこに写っているのは、必ずしも凄惨な戦闘場面ではありません。

    むしろ、一見すると何の変哲もない「物」です。

    でも、それが怖かった。

    万年筆。
    茶碗。
    水筒。

    どれも、誰かが使っていたものです。

    そこには、それを使っていた「人」がいた。

    ご飯を食べ、文字を書き、水を飲み、誰かと話し、誰かを待ち、そして生きようとしていた人がいた。

    そう考えた瞬間、ただの古びた遺品だったものが、まったく違うものに見えてきます。

    写真だからこそ伝わってくるものがあります。

    文章なら「被弾した水筒」と書いて終わるところを、写真は、その傷を目の前に突きつけてくる。

    「ここに弾が当たった」

    その事実が、言葉よりも直接的に伝わってくる。

    そして私は、途中で気づきました。
    知らないうちに、呼吸ができていなかった。
    息が吸えないのである。
    ページをめくりながら、無意識に息を止めていました。

    怖かった。

    やっぱり怖かった。

    でも、今度は目を背けたくありませんでした。

    本書で強く心に残ったのが、国吉さんの遺骨収集に対する思いです。

    著者は国吉さんに、「なぜそこまで遺骨収集に情熱を注ぐのか」と何度も尋ねたそうです。

    その問いに対して国吉さんが語った言葉。
    「そこに山があるから、というじゃない。それと同じ。そこ(沖縄)に遺骨があるから」
    この言葉が、ずっと頭から離れません。

    そこに遺骨がある。
    だから探す。
    ものすごくシンプルです。

    でも、そのシンプルさの中に、60年以上という途方もない時間が詰まっています。

    戦争が終わって何十年経とうが、そこに遺骨がある限り、終わったことにはしない。

    誰かの家族だった人。
    誰かに愛されていた人。
    名前が分からなくなってしまった人。

    その人たちを「戦没者」という一つの言葉でまとめてしまうのではなく、一人の人間として迎えに行く。

    国吉さんにとって遺骨収集は、単なる発掘作業ではなく、「死者との対話」なのだと思います。

    そして、この写真集を撮影した豊里さんもまた、8年以上にわたって国吉さんと歩き続けました。

    遺品の写真を見ることは、過去を見ることです。

    でも同時に、現在を見ることでもあります。

    なぜなら、戦争が終わって80年以上経った今も、沖縄の土の中には遺骨が残されているからです。

    私たちにとっては「歴史」でも、遺骨にとっては時間など関係ない。

    そこに、まだ帰っていない人がいる。

    その事実を、この写真集は静かに突きつけてきます。

    今年の8月も、私は戦争について書かれた本を読んでいます。

    それは、戦争を知りたいからというより、同じ過ちを繰り返さないために、何があったのかを「知らないままでいたくない」という気持ちのほうが近いのかもしれません。

    原爆も、写真も、まだ怖い。

    きっと、これからも怖いと思う。

    でも、怖いから見ないのではなく、怖いからこそ知る。

    そんなふうに少しずつ向き合えるようになったのは、これまで読んできた本のおかげです。

    そして今回の『沖縄戦の戦争遺品』は、私にとって、その一歩をさらに進めてくれた一冊になりました。

    ページを閉じたあと、深く息を吸いました。

    今度はちゃんと、呼吸ができました。

    そして思う。

    目を背けてはいけない。
    そこに遺骨があるから。
    そこに、帰りを待っている人がいるから。

    そして、その人たちが確かに生きていたことを、私たちが忘れないために。

    <あらすじ>
    豊里友行『沖縄戦の戦争遺品』は、沖縄戦で命を落とした人々の遺骨収集を60年以上にわたって続けてきた国吉勇さんの活動を、写真家・豊里友行さんが8年余りにわたって同行取材し、記録した写真集です。一般的な「沖縄戦の写真集」とは異なり、そこに写されているのは戦闘場面や兵士の姿ではなく、戦場に残された一つ一つの「遺品」。63点の遺品をカラー写真で紹介しながら、それらがどのような場所から、どのように発見されたのかを伝えていきます。
    本書の中心にいる国吉勇さんは、沖縄の山野や洞窟、壕などに入り、戦没者の遺骨を探し続けてきた人物です。その活動は単に骨を見つけ、収集するという作業ではありません。国吉さんは、遺骨や遺品を通して、そこで亡くなった「一人の人間」と向き合います。だからこそ、本書では遺骨収集のことを「死者との対話」と表現します。
    写真に収められているのは、焼け焦げた万年筆、茶碗、被弾した水筒、認識票、手榴弾など、戦場に取り残されたさまざまな品々です。一見すると、どれも古びた日用品や軍用品にすぎません。しかし、それらが実際の沖縄戦の現場から発見されたものだと知ると、その意味は大きく変わります。
    たとえば万年筆は、誰かが文字を書き、家族や友人とのつながりを持つための道具だったはずです。茶碗は、戦場にあっても食事をするという、ごく普通の生活が存在していたことを想像させます。水筒には弾痕が残り、そこで激しい戦闘が起きていたことを物語ります。認識票は、そこにいた人物が「名前を持つ一人の人間」であったことを強く意識させます。
    つまり、遺品は単なる「物」ではありません。
    その持ち主がどんな人物だったのか、どこから来たのか、何を考えながらこの場所にいたのか。そして、最後にどのような状況で命を失ったのか。物そのものから答えが語られるわけではありませんが、傷や汚れ、焼け跡、発見された場所などから、見る者にさまざまな想像を促します。
    本書では、そうした遺品の写真とともに、国吉さんの遺骨収集の様子も紹介されます。沖縄の地中や壕の中には、戦後80年以上が経過した現在でも、沖縄戦の痕跡が残されています。時間の経過によって風化し、植物や土に覆われていても、そこにはかつて戦場だった場所の記憶が眠っています。
    国吉さんは、その場所を一つ一つ訪ね、土を掘り、遺骨や遺品を探します。そこには長い年月をかけて積み重ねられてきた経験と、亡くなった人々への敬意があります。
    豊里さんは、そんな国吉さんの活動に8年余り同行することで、遺品そのものだけではなく、「遺品を探す人」の姿も記録しました。カメラは、過去の戦争と現在をつなぐ役割を果たしています。
    沖縄戦について語るとき、私たちは「○○万人が犠牲になった」「激しい地上戦が行われた」といった数字や言葉で理解することがあります。しかし数字だけでは、一人ひとりの死を実感することは難しい。本書は、そこに残された小さな品物を見せることで、戦争を「一人の人間の人生」という単位まで引き寄せます。
    焼けた万年筆一本、欠けた茶碗一枚、穴の開いた水筒一つ。
    それらは何も語りません。しかし、語らないからこそ、見る側に問いかけてきます。
    「この品を使っていたのは、どんな人だったのか」
    「この場所で何が起きたのか」
    「この人は、最後に何を思っていたのか」
    本書が伝えるのは、戦争の悲惨さだけではありません。戦争が終わったあとも、遺骨を探し続け、死者と向き合い続ける人がいるという事実です。
    沖縄戦から長い年月が経った現在でも、戦争は完全に過去のものにはなっていません。地中に残された遺骨や遺品が、いまもそのことを証明しています。
    『沖縄戦の戦争遺品』は、63点の遺品を通して、沖縄戦を「歴史上の出来事」から「そこに生きていた一人ひとりの人生」へと引き寄せる写真集です。物言わぬ遺品を前にして、死者の声に耳を澄ます――。その「死者との対話」を、写真という形で現代の私たちに手渡してくれる一冊です。



    本の概要
    60年以上沖縄で「死者と対話するように」遺骨収集してきた国吉勇さん。その国吉さんに8年余り同行取材した、沖縄戦の遺品としては初の写真集です。63の遺品をカラーで収録し、国吉さんの活動について文と写真で紹介。焼けた万年筆、茶碗、被弾した水筒、認識票、手榴弾……。当時の様子を生々しく伝え想像させます。

    出版社からのコメント
    知られざる遺品の写真集――「死者との対話」のために

    著者について
    豊里友行
    俳人、写真家。1976 年、沖縄県生まれ。1995 年、沖縄県立コザ高等学校卒業。1999 年、日本写真芸術専門学校(樋口健二ゼミ)卒業。沖縄に帰郷し、写真活動をスタート。「天荒俳句賞」第1 回、第6 回、第7 回受賞。第37 回沖縄タイムス芸術選賞奨励賞(文学部門・俳句)受賞。2017 年、写真集『オキナワンブルー--抗う海と集魂の唄』(未來社)によりフォトシティさがみはら2017・プロの部「さがみはら写真新人奨励賞」を受賞。現在、沖縄市文化協会写真部部長、「月と太陽(ティダ)」俳句会代表。 主な著作は次の通り。句集『バーコードの森』(2002 年、天荒俳句会)、写真集『東京ベクトル』(2008 年、沖縄書房)、アンソロジー句集『新撰21』(2009 年、邑書林、共著)、写真録『彫刻家金城実の世界』(2010 年、沖縄書房)、写真集『沖縄1999-2010--戦世・普天間・辺野古』(2010 年、沖縄書房)、写真集・増補改訂版『沖縄1999-2010--戦世・普天間・辺野古』(2010 年、沖縄書房)、写真集『辺野古』(2014 年、沖縄書房)、写真集・増補改訂版『辺野古』(2015 年、沖縄書房)、写真集『オキナワンブルー--抗う海と集魂の唄』(2015 年、未來社)、句集『地球の音符』(2015 年、沖縄書房)、写真集『南風の根--沖縄1995-2017』(2017 年、沖縄書房)、写真集『おきなわ 辺野古--怒り・抵抗・希望』(2018 年、沖縄書房)、写真集『遺骨が呼んでいる--国吉勇さんの遺骨収集人生』(2018 年、沖縄書房)、『現代俳句精鋭選集18』(2019 年、東京四季出版、共著)、写真録『市場んちゅ 旧・那覇市第--牧志公設市場』(2019 年、沖縄書房)、『おきなわ辺野古の貌--今を撮る 豊里友行フォト・アイ』(2020年、榕樹書林)、句集『宇宙の音符』(2020年、沖縄書房)、写真録『コザ銀天街』(2020年、沖縄書房)

  • <書評>『沖縄戦の戦争遺品』 声なき声に聞き耳立てる - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
    https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1333991.html

    /新日本出版社/一般書/分野別/人文・自然科学/歴史/歴史一般/沖縄戦の戦争遺品
    https://www.shinnihon-net.co.jp/general/detail/code/978-4-406-06561-0

  • 国吉勇さんは長年、沖縄戦の遺骨と遺品を収集してきた。戦没者たちの遺物は、長い時を経て国吉さんの手で沖縄の懐かしい太陽の光を浴びる。
    祖父・祖母が沖縄戦を体験した沖縄出身の豊里さんは2007年に豊里さんと出会い、国吉さんの遺骨と遺品の収集活動に同行し写真に収めるようになる。
    2人と、その活動を支援する人々は、“痛み”を後世に届けている。わたしたちや、さらに未来の人たちが受け継ぎ“断ち切られた生”と“死”を考えるために。

    〇「沖縄という土地そのものが、戦争遺品だ。」
    〇数多くの遺品の向こうに、それらを使っていた方々の息遣いが聞こえる。地面が揺れる気がする。
    〇石や鉄やガラスなどの生活雑貨が融けている。火炎放射器の恐ろしさ。これを自分に向けられたのか。
    〇国吉さんが遺物に一つ一つ丁寧に、いつ・何処で収集したものかを記録している。
    〇沖縄人も、日本人もアメリカ人も朝鮮人も、軍人・民間人も、人種・職種を問わず。
    〇笑顔で銃剣を持って突撃する様子を描いたイラストの茶碗
    〇辺野古基地のための海の埋め立て土砂に、遺骨が眠る土地の土砂を使おうとしている。
    ←恥ずかしながら知らなかった。これは、酷いと思う。ジュゴンのことも。

  • 遺品の写真をじっくり眺めるだけでも、当時の状況を想像できる。この遺品や遺骨がまだ眠っている土地の土を埋め立てに使うのかと思うとぞっとする。

  • 図書館の新書コーナーに置かれていたのがすごく気になって読んだ一冊です。

    時が経った今でも強烈に残る「沖縄へ修学旅行で行き、戦争の歴史を学んだ時の記憶」があるから、読もうと思ったのかもしれない。気づいたら手に取ってました。

    ヒメユリの塔に飾られた白黒写真、戦時中に使われた洞窟の模型…時が経った今でも鮮明に覚えてます。すごく怖かった。

    この写真集に頭蓋骨の映った写真が出てきますが、それが撮られたのはなんと2012年。そして、まだまだ見つかっていない遺骨があり、これらが眠る土砂が米軍基地造設に使われようとしている事を読んだ時は衝撃でした。

    私は戦争体験者ではなく、親も同様です。

    「中学生の年齢で、あの沖縄の修学旅行内容はエグくないか?」と思ったものでしたが、体験者ではなく、身内から戦争の話をあまり聞かなかった身としては「怖い」と思うくらいでないとわかりづらいものなのかもしれない。

    ヒメユリの塔や平和記念館、場所は変わりますが広島の原爆ドームとその資料館。

    そして今回のような戦争に関する写真集。

    戦争の悲惨な歴史、その歴史を残すために活動を行う方々の存在はホント大きいなァって思います。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/759309

  • SDGs|目標16 平和と公正をすべての人に|

    【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/759309

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