ゲゲゲの女房

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 1171
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408107271

作品紹介・あらすじ

巨人・水木しげると連れ添って半世紀。赤貧の時代、人気マンガ家の時代、妖怪研究者の時代、そして幸福とは何かを語る現在…常に誰よりも身近に寄り添っていた妻がはじめて明かす、生きる伝説「水木サン」の真実!布枝夫人にとって、夫と歩んだ人生とは、どんなものだったのか…!?水木しげる夫人が、夫婦の半生を綴った初エッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • ゲゲゲの女房
    2010.09発行。大活字本。

    「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげるの妻・武良布枝(むら ぬのえ)さんの一代記です。

    波乱万丈ですね、平凡な家庭から嫁いだ布枝さんが、見合いの釣書(経歴書)と違って貧乏のどん底から超有名人になるまでの物語です。
    水木しげるさんは、一徹な人なんですね。こうと決めたら周りで何を言われても貫き通す気持ちが強い人だと感じ取れます。
    ここまで売れなく、食うや食わずの生活なら転職を考えたと思いますが、マンガを描くことに徹したのは凄いと思います。
    「墓場の鬼太郎」のタイトルを「ゲゲゲの鬼太郎」に変えて、テレビ化してからの注文が凄いです。これで一気に、売れっ子マンガ家になって行きます。

    【読後】
    最初読んでいたら面白くなかったのですが、水木さんと結婚してから、その生活のあまりに酷いのに笑いがよく出ます(⌒-⌒)ニコニコ… 
    質屋に入れるものも無くなり、子供のミルク代も無くなりと、どん底の貧しさでも、夫を誇りに思う夫婦の絆が強かったから今日が有ると言えます。

    【名言集】
    どんな生き方を選んだとしても、最初から最後まで順風満帆の人生なんてあり得ないのではないでしょうか。人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道で「どう生きていくか」なんだと、私は思います。

    【音読】
    11月19日~24日まで音読で、大活字文庫「ゲゲゲの女房」第1巻~第3巻まで3冊を読みました。

    【登録】
    大活字文庫「ゲゲゲの女房」の底本が、実業之日本社の「ゲゲゲの女房」のため、実業之日本社で登録します。
    2020.11.24読了

  •  タイトルからわかるとおり、水木しげる夫人の自叙伝である。
     水木しげるには何種類もの自伝があり、私はそのうち『ねぼけ人生』と『のんのんばあとオレ』をすでに読んでいる(とくに、『のんのんばあとオレ』は奔放なユーモアに満ちた少年記として出色で、中学生のころに読んで以来、折に触れ読み返している)。
     なので、「この本は読まなくてもいいかな」と思っていたのだが、来春のNHK朝ドラ(連続テレビ小説)になることが決まったと聞いて、手を伸ばしてみた。

     この手の本のあとがきに、「ライターの○○さんに資料収集をお手伝いいただいた」と書いてあったり、奥付に「編集協力」としてライターの名がクレジットされるのは、そのライターが「著者」を取材して談話をまとめたものであることを示している(ホントに資料集めや編集協力をしただけという場合も、例外的にはあるだろうが)。
     本書の場合、「あとがきにかえて」でライターの名を挙げて「執筆にあたっていろいろアドバイスをいただきました」と書かれているので、このライターが構成(=取材して談話をまとめる)を担当したのだろう。

     本書の場合、ライターがそつなくまとめてはいるのだが、文章が平板で滋味に乏しい。文章自体に深い味わいがあった『のんのんばあとオレ』などと比べてしまうと、はるかに見劣りがする。しかしそれでも、登場するエピソード自体が面白いので、楽しく読み通せる本だ。

     夫人の少女時代・独身時代を振り返った第一章は、正直言って退屈。水木と出会う第二章以降、俄然面白くなる。

     まず、当然のことながら夫婦愛の物語として感動的だ。いい場面がたくさんある。たとえば、結婚式を描いたくだりの、こんな一節――。

    《三三九度をすませると、みんなで記念写真をとりました。水木と私が寄り添うように座らされたのですが、そのとき、水木の左にはめた義手に私の体があたり、「コツッ」と小さな音がしました。その音を聞いたとき、ああ、私はこれからこの音を何度も聞くのだろうと思いました。
     実は水木は義手をはめるのが大嫌いで、「結婚式だから絶対にはずすな」と母親からいいわたされていたために嫌々はめていたのだということを、私はまったく知りませんでした。結婚式のあと、水木はもう二度と、義手をはめませんでした。コツッという音を聞いたのは、それが最初で最後となりました。》

     また、次に引く箇所などは、来年の朝ドラで全編のラストシーンにしてもよいくらい、印象的な一節である。

    《「私じゃない人と結婚してたら、どうだったのかなあ」
     以前、富士山の小屋に行ったときに、水木に聞いたことがありました。水木は小首をかしげた後に、空を見上げ、ポツリといいました。
    「よかったんじゃないか、おまえで。いつもぼんやりしていて」
    「ぼんやり? 私、ぼんやりしてる?」
    「とんでもなく、ぼんやりだ」
    「そうかなぁ」
    「ああ。横を見ると、いつもおまえがぼんやりと立ってたな」》

     そしてまた、水木のマンガ家としての歩みを夫人の目から振り返ったことで、本書はマンガ史研究の資料としても価値あるものとなっている。貸本マンガ時代の貧窮→『少年マガジン』への連載開始→『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ化による大ブームなど、水木の歩みは戦後マンガ史そのものなのである。

     水木の自伝マンガの中の夫人はいかにも水木キャラらしいヘンな顔に描かれているが、本書に掲載された若き日からの写真を見ると、なかなかの美人である。それも、女優っぽい美人ではなく、水木しげるワールドにふさわしい不思議な雰囲気の美人なのだ。

  • 朝ドラの原作ですが、
    ちょっと前に水木先生の自伝を読んだのが
    きっかけだったりします。
    水木先生が巨匠たるのは、この奥様ありきなのですね~、
    ってしみじみ思いました。
    かなり苦労したんだよね、きっと。
    それを軽やかな文章で軽妙に綴っているところが素晴らしいです。

  • 布枝さんの人や物事に対する眼差しがあたたかくて、読んでいてとても心地よかったです。
    とんでもないことがいろいろ起きても、布枝さんの茂さんへの揺らがない信頼や、関わる方々へのとても自然な感謝の念がじんわりと伝わってきて、とても穏やかな気持ちになれました。
    私にはとてもできない生き方ですが、純粋に、素敵な方だなぁと思いました。
    この二人だからぴったりあったのかなとほほえましかったです。

  • ドラマも映画も見ていない。
    ただ、今の女性には珍しい健気な妻の話というので、
    「あら、私かしら(笑)」と思って読みたいと思ったのでした。

    貧しい時代や、いろんな場面場面がついつい自分と重ねてしまう。
    こだわりを持った人の伴侶になるというのは本当に大変なものだ。
    でも、水木さんは家族を思いやってとても優しい方だ。
    有名になって忙しい時代は、水木さんも毎日ピリピリして、
    奥様もかなり辛い時もあったようだけど。
    「20メートルの家出」の場面は、私も涙してしまった。
    気持ちがわかり過ぎて。
    「すべてを受け入れるだけの人生」です。私も。

    「人生は、終わりよければ、すべてよし」
    と私も思える日が来るだろうか。
    よく頑張ってここまで来たねと自分を褒めてあげれる人生だといいな。

    とても読みやすく、素敵な本でした。奥様に感謝。

  • 漫画家水木しげる婦人武良布枝氏の自叙伝。
    極貧の時代から夫を献身的に支えてきた苦労が実によく分かる。

    今だから振り返って笑い話にも出来るのであろうが、
    現在置かれた環境に悲観せずに、真摯に向き合い、今できることをする。
    言葉にすれば簡単ながら、実践はなかなか難しいことを、
    なんなくやってのけた著者の生き方から学ぶべき点は多いと思う。
    写真・漫画も多用されていて、楽しく読める。

  • ご存じNHKテレビ小説の原案である。テレビの内容とほぼ同じで、あのアシスタントたちは、つげ義春や池上遼一たちだったのかと納得した。最近は、女も働くのが当然のように思われているが、専業主婦もしっかりとした生き方であることを示した。

  • 話題になっていた本だったので、読ませてもらいました。

    うちの祖父母もそうだったけど、
    家族や親族がもってきた縁談から始まる結婚生活。
    昔の人は忍耐強いな~というのを改めて感じました。

    今の時代には欠けている部分を読ませてもらい、心を洗われました。

  • 全体的に苦労話で終わるのかなって感じはしたけど
    この方の書き方がとてもやさしくて気持ちよく読めた
    暮らしは大変だったようだが明るくい人柄で困難を乗り切っていまがあるってことでしょうね
    水木さん、良い奥さんをもらいましたね

  • ドラマが人気のゲゲゲの女房

    ちょこっとしかみたことなかったので読んでみました。

    お見合い結婚とか
    一家の主とか
    夫をたてる貞淑な妻とか‥

    なるほど昔の結婚観が興味深かった。

    こういう夫婦の関係もあるんだな〜

    苦労したんだなあ・・

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