『少女の友』創刊100周年記念号 明治・大正・昭和ベストセレクション
- 実業之日本社 (2009年3月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408107561
作品紹介・あらすじ
伝説の少女雑誌が1号だけ復活!明治41(1908)年の創刊から、昭和30(1955)年の終刊まで、日本の出版史上もっとも長きにわたり刊行された少女雑誌、『少女の友』の傑作記事を、たっぷり載録。
感想・レビュー・書評
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少女の友の100周年記念号ということで、復刻記事と現在の記事を合わせた、分厚い、かなり立派な本であった。少女小説を、文学研究のテクストとして読めないかなあ、と、ずっと考えていた私にとって、女学生文化の中核のような、大事な部分を補う、よく整理された資料として有用であったし、レトロ乙女文化のタグを作ってしまうほど、この頃の文化・文芸を愛好する読者としても、楽しく充実した1冊である。
私に、中原淳一氏の絵や、吉屋信子女史の作品を教えたのは母であったが、彼女の口の端に上るのは、いつも『それいゆ』や『ひまわり』で、『少女の友』ではなかった。今般、この本を見てみると、どうもこの3誌を混同して覚えていたのではないか、と思えてならないのだ。
『花物語』は好きではないのに、『七本椿』や『からたちの花』『あの道この道』は好き。蕗谷虹児や中原淳一は好きなのに、藤井千秋は覚えていない、などなど。考えてみれば、年齢的にぜんぜん合わないし、話がまばらである。
結婚してから『婦人之友』を愛読していたようなひとである。家にこれらの雑誌が…もっともっと上の世代の残したアンティークのものとして混在していて、「女の子の本だから」と、娘になった頃の母に与えられていたのではないか。物を捨てない質の祖母だったら、ありそうな話である。家の蔵にしまってあって、どうやらたくさん揃っていた。その後散逸した…というのだから。
ひまわりやそれいゆを、手芸のお稽古帳にして、母は洋裁や和裁を祖母に教わったという。その思い出が懐かしくて、インタビューを試みても、作品や掲載誌のあれこれ、雑誌についての記憶がちゃんと合わない。
懐かしさ、というベールを被った、古い記憶の聞き書きよりも、きちんとまとめられたこの本のおかげで、随分いろんな知識が整理できたのは、たいへん大きな収穫であった。思えば母も、古本の『少女の友』『ひまわり』『それいゆ』を読み耽って、少女から若い時期を過ごし、今よりもっと若い婚期で妻になって、『婦人之友』を読んでいたというのだから、大変クラシカルで、贅沢な読書体験をしていたものだと思う。
娘の私はといえば、令和の御代になって、今更に『乙女の港』や『わすれなぐさ』が好きである。時代に関係なく、これらの雑誌たちの力は、なんとすごいものか。今、こんな雑誌はあるかなぁ、と考えると…。かつての『Olive』とか『MOE』あたりであろうか…。でもちょっと違うし…。それにしても、友の読者の方々の、なんと高雅な言葉遣いであることか…。雑誌は今なくっても、見習いたいものである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中原淳一の素敵な絵も、少女文学も、昔の広告も載ってる贅沢な一冊!
老若男女問わず、当時のカワイイ風俗史を知ることの出来る素敵な資料集です! -
『彼方の友へ』を読んで、こちらも。
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川村邦光『オトメの祈り 近代女性イメージの誕生』で女学生向けの雑誌に興味を持ち、本書みつけて早速注文しました。実際にどんなものか読んで見たかったので。
装丁も表紙絵も可愛らしく、付録として絵葉書セットまでついています。本が到着した時など女学生のようにワクワクしました。一貫した美意識で作られているせいか、持ってるだけでお金持ちのお嬢様になったような、特別な気分になれるんですね。これぞ物の魔力でしょう。デジタル本には絶対に出せないパワーだと思います。
小説も広告も面白いのですが、中原淳一氏のイラストと、少女的な美に対するこだわりには特に感心いたしました。中原淳一氏の作品は見ているだけで一気に「少女たちの美しい叙情世界」へトリップさせてくれます。この雑誌が戦時中に規制されたのもうなずけます。
人気連載小説『港の乙女』第1回も、猛烈に続きが読みたくなる楽しさでした。皮脂のことを「脂肪」と表現してしまう当時の感覚にも新鮮さを感じます。現在のおばあちゃん世代も若い頃はこんな言葉遣いだったのでしょうか。こうした少女小説を読んで乙女心をときめかせていたのだと思うと急に親近感がわいてきます。
最後まで読むのがもったいないような本でした。 -
母にプレゼントしたものですが(o^^o)
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懐かしいなぁ
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明治〜昭和中期迄乙女にときめく心を与えてくれた少女雑誌「少女の友」が創刊100周年記念に一号限りの復刊。中原淳一の全表紙や華麗なる付録の世界も素晴らしいのですが熟読したのは「トモチャンクラブ」という読者の投稿欄とかつての少女読者たちの対談でした。乙女たちは上品な老婦人へと歳を重ねてらっしゃいましたが少女の友への思い出を語っておられる姿は少女の友から豊かな心を貰っておられたのだなあと目頭が熱くなりました。時局に屈せず毅然と乙女たちへの読み物を提供し続けた「少女の友」へ強い敬意を払います。
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購入
発売当時、本屋さんにあったのを見つけて高かったけどすぐ購入。
創刊号からの表紙のカラー写真は壮観。
当時の広告なんかも、興味深くて面白い。
封筒に入った絵葉書の付録♡
当時の女学生気分になれるステキな本。 -
作業机の横に置いておいて、息抜きに手を伸ばすと思った以上の幸せをもたらしてくれる。